2014年6月29日日曜日

Jamie Thomas インタビュー By JENKEM

JENKEMのジェイミー・トーマスのインタビューです。

BLACK BOXの経営がヤバいという噂は聞いていたんですが、ついにこの日が…

とはいえブランドが消滅するわけではないので、そこは一安心。さすがにZEROが無くなるのはあり得ないっしょ!FALLENはここ最近、シューズデザイン的に迷走を繰り返していた感じがするので、これを機に立て直して欲しいですね。

MysteryのライダーだったTrevor Coldenが、辞めるときに150万支払わされたって話もあって、子供相手にけっこうエグいことするなーと思ってたんですが、ジェイミーからの話を聞いて納得です。

それにしてもナイキって野郎は!

あと、Chris Coleが辞めちゃったみたいです。Shit!!

今回も素晴らしいインタビューをしてくれたJenkemとIanに感謝です!

元記事:http://www.jenkemmag.com/home/2014/06/24/the-future-of-zero-fallen-with-jamie-thomas/

JENKEM: http://www.jenkemmag.com/home/


photo: blabac

ZEROやFALLENといったJamie Thomasの会社、Black Box Distribution傘下のスケートブランドが、ここ数年上手く行っていなかったのは公然の事実だ。チームはコンスタントに変わるし、解雇も日常茶飯事だったため、誰もが何か大きな発表が近々されるんじゃないかと思っていた。驚いたことに、ジェイミーは俺たちにこのことについて話をさせてくれることになり、今朝このニュースを発表するために彼と電話で話をした。現在のところ、ZEROとFALLENはDwindle Distributionの傘下に入るようだが、ブランドは当然引き続きジェイミーが新しい管理のもとで指揮をとる。

ZEROとFALLENはBlack Box(ジェイミーの会社)を離れて、Dwindle Distributionの傘下に入るってことだけど、それってブランドにはどのように影響するの?

来月から、Dwindleがブランドのセールス、財政、プロダクトの生産、ディストリビューションを担当するってことだよ。でもブランドのチームとマーケティング、それにクリエイティブな部分は俺たちのクルーが引き続き担当する。俺が覚えている限り、俺はかなり多くの方向性を打ち出してきたけど、一つのことに集中する時間が十分じゃなくて、ポジティブなインパクトを起こすことができていないと常に感じていたんだ。そもそもToy Machineでチームやマーケティングに関してEdの手助けをした後で、俺がZEROを始めたのはそういったものへの情熱があったからなんだけどね。皮肉なことに、そういう自分が一番情熱を持っていることに使える時間がどんどん減ってしまって、それで今までのやり方はもうやめようって気持ちになった。別に俺個人だけの話じゃないけどね。チームや社員にも安定が必要だったし。ここ5年間の業界の変化のおかげで、FALLENは根幹から揺さぶられてしまったよ。

変化に関しては、近々Dwindleが俺たちのブランドを買い取ることになる。いいニュースは、俺たちのセールス担当者全員に(Dwindleに移ってからも)ポジションが与えられることになっているから、上手く行けば長年付き合ってきた担当者と変わらないままだよ。全てについて俺は興奮してる。ZEROもFALLENも安定性を持って、再び成長することに集中できるからね。必要なことだよ。

Threat、Mystery、Slaveなんかの、他のBlack Box傘下のブランドについてはどうなるの?終了?


Threatは今出ているボードが終わったら終了だね。他のブランドは、今のところ引き続きBlack Box傘下のままだよ。

photo: nick adams

最近Trevor ColdenがMysteryを抜けたけど、彼が君たちとの契約を破棄してSkate Mentalのライダーになるために、君はTrevorに彼自身の口座から15,000ドル(約150万円)を支払わさせたよね?どうして15,000ドルだったの?そしてどうしてSkate Mentalにではなく、Trevor個人に支払わせたの?

Trevorは俺たちのブランドの契約を買い取らないといけなくなった最初の人間だよ。普通は両者とも合意してから辞めるから、そんなことする必要なんてないんだけど、Trevorの場合は無理だった。TrevorがMysteryのライダーになった頃から、彼は自分を育ててくれたスポンサーに対する忠誠心がないってすでに評判だっだ。それは常に気になるところではあったんだ。

そうは言っても彼は素晴らしいスケートボーダーだから、俺たちはそのリスクを負うことにしたんだ。彼は急速に成長して、脚光を浴びるようになっていった。そうして脚光を浴びることで彼は自信を持つようになり、継続的な給料のアップと将来についての計画を要求してくるようになった。もし別のより良いオファーがあれば彼は辞めるつもりだろうなって察したから、俺は彼に、計画的に君にここ2、3年での給料のアップとプロボードの約束をするためにには、契約書を作らないといけないよってことを話したんだ。そうすることで、俺たちが彼に投資した分を回収して利益として返ってくるまでは、彼がチームに留まるっていう保証ができるからね。一方で、彼は自分が辞めるスポンサーのことなんてほとんど考えずに、すでにいくつかスポンサーを鞍替えしてた。彼をプロにするっていう要望があったから、俺たちは彼のプロボードの計画を立てたし、彼はグラフィックのアイデアにもサインをして、そして俺たちは彼のプロボードを作ったんだ。彼はMysteryの次の年の、大きな一押しになるはずだった。

ところが一ヶ月後に、彼は(Mystery)を辞めてSkate Mentalのライダーになりたいと言ってきたんだ。俺は彼に、俺たちは既にいろんなことを進めていて、そんなに簡単な話じゃないってことを話した。そして既に彼自身も同意していた俺たちの計画をそのまま進めるために、6ヶ月間だけ留まるよう説得しようとしたんだ。次の展示会までには彼を自由にするってことでね。

NIKEの奴らが、Skete Mentalに移籍するようにって彼を後押ししてたって聞いた。それで、もし彼らやSkate Mentalが今すぐにでもそうしたいって言うなら、彼らはMysteryがTrevorを失うことによって被る損害を支払うべきだって感じたんだ。彼との契約の期間を考えて計算してみたら、だいたい30,000ドル(約300万円)になった。でもそれは誰にとっても払う額としては明らかに大きすぎるから、俺たちは彼に、もしNIKEとSkate Mentalに15,000ドルを支払わせられるのなら、君を出してやるし、残りは俺たちで何とかするって言ったんだよ。その次の日、彼はインスタグラムでMysteryを辞めたって発表してた。俺はStaba(Skate Mentalのオーナー)に電話して、彼との契約についての話をしたんだけど、「それはあいつの問題だから」って言われたんだ。

それでTrevor自身で支払うことになったってわけさ。俺も全然いい気持ちになれなかったよ。それに彼個人に支払わせるのは俺が意図していたことじゃなかったしね。でも彼のやり方が彼自身をそういう状況に追い込んだわけで、誰のせいでもなく、彼自身の責任だよ。

その金はそのままMysteryのマーケティングの予算に使って、彼の元チームライダーたちの給料の為に使った。この件では顔にクソを塗られたこと以外、何も得るものなんてなかったよ。

photo: matt price

大きな予算を持ってる大手のシューズブランドが市場を牛耳ってる今、FALLENのような小さくてインディペンデントなシューズブランドはどうやったら生き残れると思う?戦車相手に棒で戦うようなもんじゃない?

(大手のシューズブランドと)競争する唯一の方法は、彼らとの違いを明確にし、ライダーと社員たちが心からブランドを信じることだ。今はショップだけでなくキッズたちも、主流とは違ったものを探し求めているように見える。これはコアなブランドにとってはチャンスだよ。例えば、Active(有名なスケートショップ)はNIKEの取り扱いをやめた。なぜならNIKEとは目と目を合わせて話し合うってことが出来ないからさ。それから彼らは売り上げをカバーするために、EmericaやLakai、FALLENをもっと取り扱うようになったんだ。Active は全米で21店舗もあるからね、キテるよ!

90年代や00年代初期に設立されたブランドの多くは今苦戦していているか、もう無くなっちゃったか売られちゃったかしてるけど、これって単純にスケートカンパニーの自然な寿命(だいたい10年〜20年)だと思う?それとも他の外的要因があるのかな?

もちろん寿命ってのもあると思うよ。でもこういったブランドのほとんどは同じ試練に直面してる。自分自身を新しく生まれ変わらせるっていう試練さ。それと、多くのブランドのオーナーたちは疲れきってしまって、ブランドを売ってしまってリスクを無くしてしまいたいと思ってる。

ZEROのイメージって飽きられてしまったと思う?ZEROみたいなブランドが新しく生まれ変わるのってどうしたらいいの?

ハハ、飽きられたとは思いたくないね!自分を新しく生まれ変わらせるには色んな方法があると思うけど、俺にとってはっきりとした例は「Cold War」(ZEROが去年2013年に出したビデオ)だね。俺は自分たちのルーツに戻って、自分たちが90年代に作ったビデオと同じような感じのビデオを作る必要があると感じだんだ。時に新しく生まれ変わるってことは、自分がどこから来たかってとこに戻るってこともでもあるのさ。もちろん全く新しい方向性に行くって方法もあるよ。でも俺たちにとっては、自分たちの過去からインスピレーションを引き出す必要があったのは明らかだった。チームのライダーたちは皆、小さいときに「Misled Youth」を観て育ったからね。だからその頃のZEROを身近に感じられるんだ。だから俺たちの挑戦は、「Misled Youth」をもう一度作るってことだった。


(Threatの)プロスケーターのForrest EdwardsはThreatが無くなってしまった後どうするの?

Forrestには次のZEROのツアーに一緒に来ないかって言ってる。そこで彼がチームの他のライダーたちとうまく行くかどうかを見るためにね。なるようになるさ。

2014年4月30日水曜日

SPENCER HAMILTON VS モンサント

Expedition Oneのプロ、Spencer Hamiltonがプロに昇格したときのインタビューです。グラフィックが遺伝子組み換え作物に反対するメッセージ全開のグラフィックだったんですが、そのことについて話しています。

スケートだけじゃなくかっこいいぜスペンサー!!

TPPとも思いっきり関係しています。TPPによって遺伝子組み換え作物が日本にめちゃくちゃ入ってくることになります。

このインタビューにも出てきますが、手っ取り早いのは「モンサントの不自然な食べ物」というドキュメンタリーを観るのがおすすめです。






Interview: Seb Carayol

元記事:http://www.skateboardermag.com/features/spencer-hamilton-vs-the-food-industry/

「Monsanto kills(モンサントに殺される)」、これが2013年の初めごろにExpedition Oneのプロとなったスペンサー・ハミルトンの、一番最初のプロモデルデッキのグラフィックだ。モンサントとは、この地球上でもっとも批判を受けている多国籍食品企業だが、このカナダ出身の活動家、スペンサーがこのメッセージを世界に向けて発信することになったのは、単なる偶然なのだろうか?いや、そうではない。以下のインタビューで、スペンサーはこの板のグラフィックのこと、なぜこの物議をかもしている巨大な私企業の名前を載せることにしたのかについて話してくれた。インタビューを読めば、この23歳のプロスケーターが素晴らしいスケートスタイルを持っているだけでなく、政治的な道義心も持ち合わせていることが分かるだろう。


どういう風にして、反モンサントになったの?

はっきりと「これだ」っていう理由を挙げることはできないんだけど、食品に関するものをたくさん読んでたってのはあるね。当時目にするものは、何かしら食品に関わりのあるものだったんだ。その中でモンサントの名前がいつも出てきてた。それからChanny(Expedition Oneのボス)や他のみんなから「モンサント」とか「モンス」とかあだ名で呼ばれるようになるくらい、俺はモンサントの話をするようになったんだよね。

そういった食の安全について、気を付けながら育ったの?

いや、全く。正直、実家から離れて暮らすようになったのが一番大きいね。家を出た瞬間から、自分の食べるものは自分で買って、自分の面倒は自分でみないといけなくなる。自分で稼いだ金は、何か良いものに使いたいと思うだろ。でも、今みたいな考えになるには時間がかかったけどね。俺が実家を出たのは18歳のときで、長い間ロクなもんを食ってなかったよ。そういう段階だった。実家を出て最初のころの1年半は、コーヒーとツナメルト(シーチキンサンド)ばかり食べてたよ。

ツナメルトばかり食べ続けるのを辞めた、何かきっかけってあるの?

幸運にも、意識の高い人たちと出会えたことだろうね。Geoff Dermerには特に影響を受けたよ。彼はカナダでKitschっていうスケートボードのカンパニーをやってて、俺が17歳のときに初めて彼に会ったんだ。彼から「なあ、ちょっとしたスケートツアーをやるんだけど、お前も来るか?」ってすんごい軽い感じで誘われて、それで一緒にツアーに出たんだけど、ツアーでは草を吸ったり、いろんなクレイジーな話をしたんだ。もうその時には、俺も(食品のことについて)なんとなくは興味があったんだけど、まだまだGeoffとは比べ物にならなかった。彼は別にヴィーガンでも説教くさい人でもないんだけど、とにかく物知りな人なんだ。その時の会話がきっかけで、食品産業や特定の食品についての本を読むようになった。俺は18か19になってたね。そしてその頃から、肉をあまり食べなくなった。だから肉を食べるときは、(たまにしか食べないから)よりおいしく感じるよ。ちょっとの間は肉なんて食いたくもなかったけどね。


Ollie. Photo: Shad Lambert


この問題についておすすめの本ってある?

著者でいうと、Michael Pollanはいいね。でもぶっちゃけ俺は本を読んで育ったような奴じゃないんだよ。初めてちゃんと本を読んだのは、マジで高校に入ってからだったし。でも自分が興味のある本を見つけたときから、読書はやめられなくなったね。学校で読まされるものは読む気なんてしなかったけど。くだらなくてさ。

Michael Pollanの本でいいやつは、「The Omnivores' Dilemma」かな。彼のいいところは、科学者みたいなアプローチじゃないところだね。彼は今何が起きているのかを知ろうとしている普通の人で、そういう人がたまたまジャーナリストだったって感じなんだ。彼の書き方は事実に基づきながらも面白くて、退屈でもドライでもないんだ。

そうしてめちゃくちゃ本を読みまくってた時期は、インターネットでも調べて、読んだ本の著者たちがやってるレクチャーを何時間も観まくったよ。でもまぁ他の誰かと一緒に観て楽しむようなものじゃないからさ、「ヤベー、この食品の問題について3時間もやる会議を観ようぜ!」みたいにはならないけど、ハマって観てたよ。

それで君の普段の生活って劇的に変わったりした?

ある意味そうだね。物の考え方とかにも関わってくるからね。昔は馬鹿みたいに不安になったり、ちょっとうつ状態になったり、異様にムカついたりとか色々あったんだけど、今はもうない。どうしてそういう風だったのか分からない。だって俺にはムカつく理由なんてなかったんだからね。実家を出て一人立ちを始めてから、俺は自分の考え方や、周りで何が起こっているのか、そしてもっと一般的に、どういう風に人と接していけばいいのかとかを、学んできたよ。

「The World According to Monsanto (邦題:モンサントの不自然な食べ物)」はいつごろ観たの?この映画で、この会社が地球の食料品を根本的に独占しようとしていることが分かるよね。

19歳のころ、2009年に中国に行ったんだけど、(映画はその時に観た)。この映画のいいところは、今起きていることについての大きな視点を持てることだね。ベーシックで、包括的で、そして理解しやすい。監督の語り口も普通の人だし。映画を見れば、食品がどこからきて、そして実際に何が行われているのかが分かる。


自分の板のグラフィックには絶対に「Monsant Kills」を載せるべきだ!って感じだったの?

いやいや全然!実はこのグラフィックに関しては俺は全く口出ししてないんだ。マジだよ。そこがおもしろいけどね。単純にExpedition Oneのチーム内で俺がどういう風に見えてるのかってことだよ。俺はいつもモンサントについて話をしてるからさ、だから彼らはこれが俺にぴったりのグラフィックだと思ったんだよ。

俺としては、自分の板のグラフィックは何かリアルなものにしたくて、適当なグラフィックにはしたくなかった。それなりの人間じゃないと、そういうグラフィックは持てないし。俺にとってはリスキーだったけどね。なんていうか、マリファナの葉っぱを使ったグラフィックのほうが、板を売るためには安全策だからね。

でもこのグラフィックにしてマジで良かったと思うのは、確実に誰かはこのボードのメッセージを目にするってことだね。それにたくさんのいい反応が返ってきてるよ。みんなの中に、こういう考え方の種を植えられたらいいな。インスタグラムでキッズから「モンサントって何?」って聞かれたから、「気になるなら調べてみな!」って返したよ。超クールだよ。もし誰かがビデオゲームにドハマりしてたとしてさ、そいつがビデオゲームやってるグラフィックの板なんか出したって、誰が欲しがるんだ?っていう。まぁそれをいいと思う人たちっているかもしれないけど、俺個人としては、(グラフィックで)何かメッセージを出したいんだ。


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Thank you Seb for giving me permission to translate this interview!!

さてこのインタビューをしたセブが、新しい本を出したそうです。
その名も「Agents Provocateurs ~The 100 Most Subversive Skateboard Graphics of All Time~」!

The interviewer, Seb Carayol has this new book coming up called "Agents Provocateurs The 100 Most Subversive Skateboard Graphics of All Time"!

http://gingkopress.com/shop/agents-provocateurs/



今回のスペンサーのプロボードのグラフィックも入ってるのかな?物議を醸すような熱いメッセージの入ったスケートボードのグラフィックを集めた本です。超おもしろそう!!

2014年4月2日水曜日

THE PONTUS ALV INTERVIEW by JENKEM



JENKEMに掲載されたポンタスのインタビューです。

インタビューっていうか、もはや人生の教えを説かれているような感じです。

元記事: http://www.jenkemmag.com/home/2014/02/17/pontus-alv-interview/

JENKEM: http://www.jenkemmag.com/home/


In Search Of The Miraculousの冒頭で、ポンタスが彼のじいさんの屍体と一緒に座っている姿が映し出される。
俺の知る限り、スケートボーディングの歴史上こんなことをやった奴は今までいない。有名なビッグスポットであるEl Toroでキックフリップをトライするとか、ウォールライドをかますとか、他のこともできただろうに、彼は死についてじっくりと考える、というほうを選んだ。これは奇妙な選択だし、勇気のある選択でもある。結局彼のこういうところがスケートの歴史に刻まれることになるんだろう。ポンタス・アルヴは単なるスケートボーダーじゃない。彼は奇妙で、頑強で、そしてロマンティックな人間で、彼のビジョンは今のムーヴメントを形作る後押しをした。成長を続けるPolar Skateboardのボスとして、ポンタスはスケートボーディングのアンダーグラウンドを引っ張り、その有能な精神とヨーロッパでも屈指のクイックなスケートスタイルで、フォロワーたちを牽引し続けている。


アメリカ人のほとんどは、何人かの「スーパースター」以外、ヨーロッパのスケーターのことを注目も意識もしていないけど、それはどうしてだと思う?

それはものすごくアメリカ式の物の見方なんだと思うよ。スケートボードの歴史を見てみても、全てはカリフォルニアから始まったし、アメリカのメディア、カンパニー、そしてマガジンによって、あらゆることが決められてきた。もしスケートの世界で何者かになりたかったら、アメリカに行かないといけなかった。俺がガキのころはそういう感じだったよ。他に選択肢なんてなくて、世界中の人たちはアメリカを見ていた。もし君がアメリカにいなければ、それは存在していないことと同じだったんだ。

そういう物の考え方って今でも残っているとは思うけど、でも変わってきているよ。すごい速さで変わってきてる。今みたいにみんなが(アメリカ以外の)海外、ヨーロッパに注意を向けるになったのは、長いスケートの歴史のなかで初めてのことだよ。みんな新しいことや、他とは異なるものに注目している。(ヨーロッパのスケートは)カルフォルニア式のスケートや、カリフォルニア式の撮影方法とはかなり違うんだ。それに世界中のシーンが台頭してきている。日本のシーンは素晴らしい作品を生み出しているし、オーストラリアのPassportクルーもヤバいし、東海岸もかっこいいことをやっている。(こういうスケートシーンは)アメリカから離れて行ってるような感じがするよ。俺たちのヨーロッパ、日本、オーストラリアのシーンは全て繋がっていて、カルフォルニア式のスケートと激しく競い合ってる。それははっきりと見て取れるよ。かといって、別に警告とかそういうことを言いたいわけじゃない。今多くのカンパニーが、どうして自分たちはうまくいっていないのかってことを考えているけど、基本的には他に新しいものが生まれてるからなんだよ。今じゃヤバいヨーロッパ出身のスケーターが一人いるってもんじゃない。チーム全体、ブランド全体の規模なんだ。そしてインターネットのお蔭で、世界はものすごく狭くなってる。


photo: josh stewart


君はお父さんのアートワークを使ったり、普通とは違ったボードグラフィックを手掛けてるよね。どうしてああいったボードを出す必要があると感じたの?どうしてキッズたちはああいったものに興味があるだろうと思ったの?

自分のカンパニーを始める理由ってのは、基本的に自分がやりたいと思うことをなんでもできるからなんだ。それがメインの理由だよ。もちろん、カンパニーが大きくなれば、そこには定番モノも生まれるし、どんなものが売れるのか、売れないのかも分かってくる。でもだからといって、数字をカンパニーのベースにしちゃダメだよ。俺のじいさんも親父も、二人とも強烈なキャラだった。彼らはインスピレーションの源なんだ。たくさん影響を受けたよ。今は二人とも亡くなっているけど、素晴らしいアートワーク、写真、ペインティングなんかを残してくれた。俺はパーソナルなものを作るのが好きなんだ。だからウチのライダーたちにも、なにか自分の家族とか歴史にまつわるものはないかっていつも聞くんだ。家族の記録とか、写真、映像、アートワークとかね。板のグラフィックがパーソナルなものなのってイイよ。俺はそのライダーにとって意味のあるグラフィックが好きだ。

こういうことをやり続けることはとても大事だよ。利益や売り上げのためだけにモノを作るなんてことはやっちゃだめだ。もちろんたくさんの人たちが、ロゴボードやシンプルでクリーンなやつを欲しがってるのも分かってるよ。そういうのが売れるのも分かってる。でも、そういうのは俺たちのやりたいことじゃないんだ。俺にとっては、アートワークやグラフィックを前面に出すことは大事なことなんだ。時には他の人にとってちょっと謎だったり、違っていたり、パーソナルなものだったり、単純に変な感じのグラフィックの板を出すこともあるかもしれないけど、そういうものがこのカンパニーを形作っているんだ。それが全てのポイントだよ。俺たちは金が欲しくてやってるんじゃない。俺たちは自分たちの(スケートへの)パッション、愛のためにやっているんだ。もちろん会社が大きくなれば、ビジネス的なこともやらないといけないけどね。自分たちのMoney Cow(Cash Cow。ドル箱、黒字部門のこと)を持っていないといけない。楽しいことを続けるためにね。

オールドスクールな指なし手袋を作りたいんだ。指なし手袋をはめてスケートするのが個人的に大好きなんだよね。手のひらを守れるからさ。他の人からは、ちょっとゲイっぽいとかホモっぽいとか色々言われるかもしれないけど気にしないよ。俺は作りたいんだ。作った手袋が5つしか売れなくて、1000ユーロ大損することになるとしても俺は作る。知ったこっちゃないよ。でもたいていの場合うまくいくよ。実際に市場に出してみるまで、何が売れるか分からなかったりするからね。


ollie shifty nyc / photo: nils svensson


君のお父さんって、君が若いころに亡くなったの?

そうだね、俺は10歳だった。

それは君にとってかなり大きく影響したんじゃない?たとえばやる気やモチベーションの元になったり?どう思う?

そうだね。親父が病気になって、俺はまだ子供のころに自分の父親の看病をしなくちゃならなかった。彼が亡くなるまでね。亡くなるときまで、俺はずっと親父の傍にいた。子供ながらに自分の父親の看病をし、亡くなるのを見て、人生は永遠じゃないってのを悟ったんだ。俺たちは誰だっていつかは死ぬってことを分かっているけど、皆それをあえて考えようとはしない。In Search Of The Miraculousも同じことだよ。ビデオの冒頭で、俺はじいさんの隣で座っている。もちろん彼は死んでるよ。俺は彼と共にそこに座って、ただ死を見つめ、死を感じているんだ。死は危険なものじゃない。それは人生のごく自然な一部なんだ。俺たちはみんな死ぬ。だから死に慣れ親しんでおくんだ。そのために俺はそこに座り、じいさんの死体を見ながら彼にさよならを告げ、死と友人になっているんだ。そうすることで人生は少しだけ怖いものじゃなくなる。

それにモチベーションも上がるしね。朝起きて目を覚ますためには、俺たちには死ってものが必要なんだ。死というものがなかったら、人生は意味の分からないものになる。永遠の命を持っていたらって想像してみてよ。くだらないだろ。死があるから人生は生きる価値があるんだ。君が今若くて美しければ、それを最大限に生かすんだ。今から10年後には、俺は44歳になる。そのころにはちょっと太ってしまっているだろうし、あんまり魅力的でもないだろう。だから俺は今やらないといけない。今この人生を生きないといけないんだ。死の床につきながら、「ちくしょう、やり残したことがある」なんて思いたくない。俺は人生を生きて、自分の可能性を出し切ったってこと、たくさんの最高の友達を持てたってこと、いくつかの素晴らしい作品を残せたってこと、たくさんの素晴らしい経験をしたってこと、世界を見れたってこと、そういうことを分かって死にたい。

同感だね。死は自分のやっていることに背景を与えるのに役立つよね。

人生はそこにある。いつだって君の目の前にあるんだ。それを欲しければ、掴みに行かないといけないってことを、君は理解する必要がある。じっと座ったまま、夢が実現するのを待っているなんてダメだよ。全力でそれに向けて動き出さないと。そうすれば、夢は叶うかもしれない。もちろん頑張ったからって夢が実現できるっていう保証はないよ。でも挑戦しなけりゃ始まらない。もしかしたら夢は叶わないかもしれない。君はハリウッドの映画スターや、ロックスターにはなれないかもしれない。でもだから何だっていうんだ。君は挑戦する過程で何かを学ぶだろうし、そうすることで君は自分の人生を生きたことになるんだ。



君はいつもスケーターがオーナーの会社をサポートするべきだって言ってるけど、何年か前にEmericaを辞めて、スケートの外で誕生した会社(訳注:コンバース)からサポートされるようになったよね。これってちょっと偽善的だとは思わない?

スケート業界/文化のコアな部分やリーダーってのは、俺の意見では常にスケートボードのカンパニーが何をし、何を作るのかってことがベースになってる。全てはそこから始まって、それ以外のことは後からついてくるんだ。シューズのスポンサーや洋服のブランドの契約とかは、コアのムーヴメントを支えるものさ。コアなものってのは普通はあまり売れないから、100%インディペンデントのままで、スケーターがフルタイムでスケートできるようにサポートすることは難しい。でもドープなボードブランドのライダーになれば、ドープなシューズや洋服のスポンサーも付いてきて、それで生活できるようになる。これは業界内の秘密でもなんでもないよ。もし君がダサいボードカンパニーのライダーなら、普通、業界の人間は誰一人として君に近づこうとはしない。俺は実際にそういうことを経験してきたんだ。俺がMad Circleのライダーだったときは、イケてると思われていたから誰もが友達だった。俺がArcade Skateboardsのライダーだったときは、誰も俺のことなんか気にもしなかった。厳しい現実だけど、それはそういうもんなんだよ。イケてるブランドのチームに在籍して、ジャジーに君のスケートをプレゼンしてもらえなければ、君のスケートなんて何の意味もないんだ。

俺はCarhartt WIP(スケーターがオーナーのブランドじゃないけど、それは誰も気にしてないみたいだ)からサポートを受けている。彼らは12年もの間、俺のアイデアやビジョンを実現するサポートをしてくれた。Emericaにも10年サポートしてもらったけど、俺たちの関係は最終的にうまくいかなくなった。長年にわたってEmericaから受けてきたサポートには、本当に感謝しているよ。コンバースに関しては、俺はもともと彼らのシューズのファンだったんだ。ジャックパーセル、ワンスター・クラシックとか、クールだよ!一緒に仕事をする人たちは俺のビジョンやアイデアを理解してくれて、それが実現できるようにサポートしてくれる。でも俺はブランドにコントロールされたりしないし、何をしろとか言わせたりしない。俺の側からの取引はとてもクリアだし、俺のビジョンにはサポートが必要なんだ。でも俺のミッションは同じだよ。スケートボーディングのためにクールなことをするんだ。

カーハートやコンバースからの基本給がなかったら、俺は家賃や食費なんかをまかなうことができないし、Polar Skate Co.は今のような形にはなってなかっただろう。彼らがいなければ俺は他に仕事をしないといけなかっただろうね。俺は、スケートボードカンパニー(ボードブランド)はスケーターによって運営されることが大事だと思う。それだけだよ。


artwork by pontus alv


君がEmericaのライダーだったとき、あるインタビューで、Emericaは君をUSのチームに入れてくれないし、宣伝もしてくれないって言ってたね。どうしてだと思う?

それが理由で俺はEmericaを辞めたんだ。俺は自分がUSAの本当のチームのライダーだって気がしなかったから辞めたんだ。俺はヨーロッパチームの一人ってだけで、彼らは別に俺たちに何かしてくれるってわけでもなかった。スケーターとして君自身を表現するためのプラットフォームを持てるかどうか、そしてスポンサーは君の考えたアイデアを基に、君をスケーターとしてバックアップしてくれるかどうか。そこが問題なんだ。俺たちはいつも単なるヨーロッパチームにすぎないって感じだった。ヨーロッパの代理店、もしくは何かのヨーロッパ用のプログラムに組み込まれているに過ぎないだけ。いつだって3軍チームにいるような気分さ。DVDのボーナスの、ヨーロッパセクションにフッテージが収録されるくらいのもんでさ。俺たちはそういうのに嫌気がさして、自分たちで自分たちのことをやろうぜってことになったんだ。そして実行した。そして今、俺たちは彼らと競い合ってる。興味深いよね。

全てのカンパニーとまでは言わないけど、カリフォルニアの多くのカンパニーは今ビビっていると思う。なぜなら、スケートボーディングがもはやLAとかオレンジカウンティ―とかをベースとしたものではなくなってしまったからさ。今じゃスケートボーディングはグローバルなカルチャーで、世界中で動きが生まれている。もし世界中でプロダクトを売りたければ、世界中でアクティブに動いて、そしてサポートしないといけないんだ。マーケティングをして、チームを使ってグローバルなアプローチをする必要がある。俺たちはヨーロッパのいろんなところにライダーがいるし、日本にもサポートしているスケーターがいる。アクティブに何かをしていかないといけない。LAにいたまま、グローバルなマーケティングができるなんて考えちゃ駄目だよ。もうそういう時代じゃない。悪いけど、目を覚ませって感じだね。

アメリカのスケーターって他の国のスケーターとは違う態度をしていると思う?

いや、昔俺がサンフランシスコに住んでた時も今も、みんないいバイブスだよ。俺はアメリカのシーンからいつも歓迎されていると感じる。でも、もちろん嫌な奴ってのは世界中のどこにでもいるよ。嫌な奴は嫌な奴さ。俺はそうならないように気を付けてる。俺のことを嫌な奴だっていう人もいるかもしれないけど、俺はちょっとシャイなんだ。新しい人たちに囲まれすぎると、なんだか緊張してしまう。もし自分が他の人たちに対して親切であれば、他の人たちも自分に親切にしてくれると思うんだ。もちろん常にその通りとはいかないけどね。でも嫌な奴らだって、そのうち気付くよ。スーパースター気取りの嫌な奴でいたって、何の得にもなりはしないってね。そんな態度じゃ人生はいい方向に導かれていかないよ。注目されるようになって、自分のことをイケてると思って態度が悪くなるスケーターっているけど、お笑いだよ。自分がスケートボードでやっていることのお蔭で、何をやってもいいっていう許可証をもらったと考えるなんて馬鹿さ。君のスケートは素晴らしいよ、でも人としてはどうなんだ?ってね。スケートボードが上手いからって、それで嫌な奴になっていいってことにはならないよ。

more artwork from pontus alv


宗教とか、スピリチュアルな力とか、そういうのって信じてる?

正式な宗教とかは持ってない。俺はクリスチャンじゃないし、特定の神も持たない。でもカルマに関してはある程度信じてる。俺は誠実に生きて、正しいことを行うように心がけてる。もしそうせずに、嘘をついたり誰かをひどい目に合わせてしまったりしたら、そういうことは自分に返ってくると思ってる。だから俺は昆虫を殺すときとかも時々嫌な気持ちになる。でも肉は食うんだよ。意味わかんないよね。

映像を作っているときに、スピリチュアルなパワーと繋がったような感覚になったことはあるよ。6ヶ月7ヶ月も、1日10時間も座り続けて、2秒間のシークエンスのためにフレームを一つずつ動かしていくような作業をしてるとさ、何日も、何週間も、何か月も瞑想しているのと同じような感じになってくるんだ。編集作業にどっぷり浸かっているときに、自分の内側になにかエネルギーのようなものを感じ始めるような、瞑想みたいに何かと繋がったような経験をしたことがある。説明できないけど、それは恐いものじゃない。自分をオープンにして、そのエナジーを自分の中に入りこませるんだ。俺はそういった力を自分の体の中に入れることや、何をするべきかについてそれらのエナジーの声を聞くことを恐れたりしない。

Do you find that alcohol, weed or any substances help you skate better or be more creative?
アルコールとかウィード(訳注:大麻です)とか、そういったものは上手にスケートしたり、よりクリエイティブになるための手助けになると思う?

酒を飲むのは大好きだよ。大麻を吸うのも好きだ。俺がまた大麻を吸いだしたのは、Aaron Herringtonのおかげだよ。彼はアメリカ人だからさ、大麻を吸うの好きなんだよね。俺は会社のことですごくストレスが溜まってたから、夜とか仕事終わりとかにリラックスするために、また吸い始めたんだ。ジョイント吸ってちょっとぼーっとするのさ。むちゃくちゃ草好きってわけじゃないよ。若干馬鹿っぽいけど、今はそういう感じだね。クリエイティブでいることとスケートに関しては、シラフか、たまにはちょっと酔っぱらっているぐらいでもいいね。でも撮影するときは駄目だ。俺はシャープに、細かいところまで正確でいたいんだ。



今後5年とかそこらの間に、スケートの業界はどういう風になっていると思う?

もっとグローバルなものになると思う。スケートボーディングはバブルみたいになるだろうね(訳注:いわゆる日本で言う「バブル」とは違う意味です)。いろんな違うシーン、ローカルで繋がったブランドやスケーターたちが、泡の様にたくさん出てくると思うんだ。それらのいくつかはお互いに交流しあって、色んなことをしていくと思う。今みたいにLAのバブルひとつで世界中をコントロールしているような状況にはならないだろうね。俺の予想は間違ってるかもしれないけどね。もちろん商業的なものも、もっと入ってくるだろうけど、俺からすると、それは大きな贈り物さ。Monster、Street League、そういうもの全てに感謝さ。ああいうのはアンダーグラウンドをより強くするだけだよ。たくさんの人たちが、ああいうものとは違う方向に方向転換している。それは俺たちにとってはプレゼントだよ。

そうだね、そういう両極端なものがないとスケートは面白くないよね。

その通り。素晴らしいことだよ。奴らがオリンピック的な考え方や、ESPNみたいなスポーツチャンネル、Street Leagueみたいなコンテストをスケートボーディングに持ち込もうとすればするほど、たくさんの人たちがふざけんなってなって、コインの別の面を見ようとする。俺たち(Polar)や、Palace、Magenta、Welcome Skateboards、Hopps、Theories of Atlantisが扱っているすべてのブランド、こういったブランドが生まれ、オリジナルなことをやっている。最高だよ。でも心配も常にあるけどね。もし俺たちがビッグになってしまったら、どうなるだろう?はたして今と同じでいられるだろうか?っていう心配がね。俺はそのことをしっかりと認識しているよ。スケートボーディングの歴史を見てみればさ、GirlはRocco(World Industries)がいやになって生まれたんだし、そのRoccoはPowellやH-Streetとかから抜け出した人だ。(会社が)大きくなってしまって、自分が何になりたかったのかを見失うかもしれないってのは、マジでこわいよ。

pontus films hjalte halberg / photo: josh stewart


そうだね。そんなに長い間ブランドを維持するってのはかなり大変だろうと思う。Girlは去年20周年だったけど、ハンパないよね。

そうだね。でも物事ってのは古くなる。どんなに君のやっていることが素晴らしくても、みんな「ああ、これ知ってるよ」って感じになってしまう。一つの領域であまりにも確立してしまうと、そこから変化することが難しくなる。きっと彼ら(Girlのライダー)の多くはVX-1000(訳注:HD登場以前にスケートでよく使われていたビデオカメラ。未だに愛好者多し。)を持って、LAで何か適当に撮影して回りたがっていると思うんだけど、そういうことはGirl全体の方針や歴史とは完全に反することになってしまう。もしMike CarrollとKostonがVXで撮影した映像を出したとしたら、みんな変に感じると思うんだ。そういうのはPretty Sweetや彼らが辿ってきた道とは正反対だからね。自分自身のアイデアの枠に囚われてしまうんだ。だから一つのコーナー、ひとつの領域に自分自身を閉じ込めてしまわないようにするのは、本当に大事なことなんだ。バリエーションを持って、新しいことや違ったことを同時にやらないといけない。そうすれば一つのイメージに固定されずに済む。それがうまく長く続けるコツだと思う。

いままで自己中心的だって言われたことってある?

うーん、そうだね、わからない。「エゴが強い奴だ」って言われても気にしないけどね。ただ俺は自分が何をしたいのか、どのようにするべきか、どのように見えるか、そういうことについてものすごく明確なビジョンがあるんだ。俺は他人を喜ばすために自分のビジョンを曲げたりしない。そういうことを、ビジョンを持っていると言うのか、エゴを持っているというのかは分からない。でも理解してくれる人たちがいて、「ポンタスのやりたいようにやらせよう、それをみんなが気に入ってくれたらいいじゃないか」って感じでいてくれる。俺は他人を喜ばせるためじゃなく、自分のやりたいようにやる。それか何もやらない。そういう風じゃないと俺は何もできないんだ。

オーケーありがとう。インタビューはこれで終わりだよ。

スケートボードの話はしなくていいの?

2014年2月21日金曜日

Anthony Pappalardo Interview by 48 Blocks



48 Blocksのパッパラードのインタビューです。1年以上前のインタビューですが、気になってた人多いと思うので、訳しました。


翻訳はちゃんと48 Blocksから許可を得ました。ありがとう!
Thank you 48 Blocks for allowing me to translate this interview!

元記事: http://site.48blocks.com/anthony-pappalardo
48 Blocks: http://site.48blocks.com/

Anthony Pappalardoに一体何があったのか?そう思っている人は多いと思う。彼はすべてを手に入れていたように見えていたのに、ある日突然姿を消してしまった。はたして彼はドラッグにハマってしまったのか?それとも怠け者でモチベーションをなくしてしまったのか?それとも何か深刻な怪我でもしてしまったのか?残念ながらこうした推測は、実際に彼が経験したことに比べたら、よっぽどマシなものだった。これは暗い話だが、俺たちはここから価値のあるレッスンを学ぶことができる。4か月前、何があったのかを話してくれることを期待して、アンソニーに連絡した。そして彼から正直で、そして自己反省的な話を聞かされることになった。

48 Blocks:コンバースの話から始めようか。君のシューズのスポンサー契約に何があったの?

Anthony:ネガティブだったりビターな感じのインタビューって、ダセーなってずっと思ってたんだけど…誰かが悪口とか不満を言っているのを読んだり聞いたりした後は、スケートに出かける気がなくなるからね。悪口とか不満をぶちまけるのは簡単さ。それよりもスケートしに出かけろよ、そっちのほうが難しいんだから、っていう。…俺はこの質問をもらってから、それに対して答えることを避けたり、話を作っちゃったり、あからさまに嘘をついたりしている自分がいることに気付いたんだ。(答えを書いては)全文選択して、コピーして、デリートして…明日またやろうっていうことの繰り返しだった。この質問に対して正直に答えようとするなら、最悪だけど、どうしたってポジティブなものに変えることはできないってことを納得できるまで、そんな感じだったんだ。

俺がこういうインタビューを受けたり、ビデオパートに参加したりするのは、他の人たちに「スケートしに行きたい」っていうインスピレーションを与えられることを願っているからなんだ。それが動機なんだよ。もし俺の願いの通り、誰かがスケートしたいと思ってくれれば、それ以上の喜びはないよ。今までも、そしてこれからも、それは価値のあることさ。今まで俺がスケートでやってきたことを気に入ってくれている人たち、いや、そんなのどうだっていい。俺のことを好きじゃなくても、スケートしてるみんなに対して、俺は真実を語る義務を負ってると思うんだ。


過去15年間(実際に自分にチャンスが与えられてたのは12、3年かな)、俺は懸命に働いてきたけど、憶測や嘘、勝手な推測で、俺はすっかり燃え尽きてしまったとみんなから思われるようになってしまった。そもそもそういう嘘が作られたり存在している理由に最初に気付いたのも俺なんだけどね。多かれ少なかれ、俺は自分のキャリアを通じて常にそういう嘘や憶測と付き合ってきた。もし誰も本当のことを知らなければ、そういう嘘だったり憶測ってのは生まれてしまうものなんだ。

今すべてを振り返ってみると、幸運にも経験できたこと、自分自身を誇りに思えること、光栄に思うこと、何かを成し遂げたという感覚、そういう自分の指では数えきれないほどの多くのものを、俺はスケートボードからもらったよ。君の質問に直接関係している話っていうのは、そういうものの中でも最後のもので、なおかつ一番最近のことだから、それまでの経緯を踏まえて話すね。俺は関わってきてくれた全ての人たちに感謝したい。そして君の質問にきちんと答えられるようにがんばるよ。


―学校から帰って留守電を聞いたら、(Rob)Drydekからメッセージがきてた。

―それから正式にAlien Workshopのアマになったとき、Castrucciがコマーシャルを作ってくれた。

―路上で歩いたりプッシュしたりしながら(今でもどの通りだったか覚えてる)、携帯でRick HowardとChocolateのチームに入ることについて話した。一か月後にMezaからメールがきて、Crailtapを見てみろって言われて見てみたら、Evan Hecoxが描いた俺のポートレートが載ってたんだ。

―Lakaiのビデオ(Fully Flared)でパートを残した。


―そして最後は、友人たち、家族、プロスケーター、俺がこれまで生きてきて尊敬してきた人々、そういう人たち全員が、コンバースのシューズに俺の名前が載ることを祝うために、パーティに集まってくれた。そこにいた全員が認めてくれて、悪口なんかもなく、みんなで俺を祝福してくれたし、俺自身も物事は順調に前に進んでいると思ってた。みんなもメディアも喜んでいたし、それにおそらく、俺はそれを受けるのに値していたんだと思う。今から3年前のことだね。



これが俺とあの会社(コンバース)について、俺が知ってたことだよ。俺はあの会社に自分のキャリアすべてを賭けて、10年以上在籍した良好な関係だったシューズカンパニーを辞めたんだ。俺がコンバースのライダーにならないかって誘われたのは、ここ10年で一番デカくて、一番観られたスケートビデオ(訳注:要するにFully Flared)で俺が残したパートが世に出た、1か月後のことだった。

その時のコンバースは、まだ具体的なアイデアもなかったし、シューズのデザインもチームもなく、彼らは人を集めるのに苦労していた。理由は明らかさ。今まで懸命に働いて投資をした結果手に入れた、人生の安定を捨てるリスクを負ってまで、まだ存在すらしていない会社のライダーになりたいと普通は思わないよ。それに(コンバースは)過去に少なくとも2、3回スケートシューズに参入して、失敗してきてるっていう歴史もあったからね。それに彼らは一生安泰な契約を提示してきたってわけでもない。少なくとも俺にはそういう契約は来なかったよ。

色々やりとりした結果、最低でも俺がLakaiから当時もらっていたのと同じ給料を払ってもらうってことは約束させたんだ。危ない橋だったよ。デカいリスクさ。でも俺はそれを選んだ以上、それをやり通さないといけなくなった。俺はうまくいくと信じる必要があったし、ちゃんとしたやり方でやればうまくいくってことは分かってた。俺も彼らも、どうやって形にしていくのか同じ意見だった。当時はLakaiのビデオが出たばかりの時で、彼らは俺を必要としていて、そして実際に俺を手に入れたんだ。たいした話じゃないよ。ビジネスさ。

(コンバースのライダーになって)最初の2年間はメローな感じだったよ。今まで在籍した他のスポンサーと同じ感じだった。で、ちょうどその頃に、俺のモデルを出そうっていう話にもなってたんだ。順調に見えたよ。コンバースはうまいこと行きはじめて、ようやく安定してきていた。立ち上げ当初にあったリスクも、その頃にはもうなくなっていたんだ。すると突然みんなライダーになりたがったり、何かしら関わりたがるようになった。

そういう状況は大歓迎だったよ。俺はこのコンバースのスケートラインがうまくいくように、いろんな意見を出したり、誰々を入れようとか、いろいろ手助けをしてきたからね。会社にとって最善なこと以外何も望まなかったよ。他の俺が在籍している会社と同じさ。良い方に成長を続けていけるようにってね。そしてその通りになってた。うれしかったよ。俺は自分が在籍する会社には誇りを持ってる。俺はベストでかっこいいチームやカンパニーのライダーにしかならない。それ以外に自分のためになる道ってのはない。俺は幸運にも、そうしたチャンスに恵まれてきたんだ。




でも2年が経ったその同じ時期に、コンバースは俺のメディア露出が少ないって文句をちょろちょろ言い出し始めたんだ。クソな話だけど、メディアに出た際の著作権とかは全部コンバースが所有することになってた。彼らは俺のモデルのリリースやそのプロモーションの為に金を使ってたから、それは理解できるんだ。で、そのころEpicly Later’dの俺のエピソードが公開されて、いい反応が返ってきてたし、Mezaがこっちにやってきて一緒にRedのコマーシャルを作った。それまでの12年間となんら変わりなく、順調に物事は進んでいるように思えたよ。このころには、みんなが俺のLakaiのパートを理解し始めてくれたみたいで、キッズたちが興奮して俺のところに来てポジティブな反応やサポートをくれるようになってた。気持ちよかったし、俺はその頃も今日と同じように、そして2年前とも、5年前とも、初めてスケートボードを手にした次の日とも同じように、スケートしてたんだ。

その頃はコンバースとの契約更新の時期だった。オリジナルのチームライダーは契約の再交渉をする必要があった。そして、彼らは新しいライダーをチームに入れようとしていた。皮肉な話だけど、俺が自分の15年のキャリアの中で、順調だなっていう自信がちょっとでもあった時期ってのは、この頃の数ヶ月だったよ。コンバースは俺のモデルの最初のラインをリリースしようって頃で、それを祝うパーティをその2週間前に開いてくれたばかりだった。俺はどっかの南の島でマイタイを飲んでるようなクソ野郎なんかじゃなかったよ。そもそも俺は5年前に酒をやめてたし。

でも文字通り突然、まったく理由もなく、彼らは俺に対して物凄く汚く冷淡な態度を取りはじめたんだ。マジでどうしてだか分からないよ。噂では、俺のモデルは売れてるって話だった。正直それが本当だったかどうか、俺は今でも分からない。でもニューヨークのキッズはみんな俺のモデルを履いていて、どこに行っても見かけるように思えた。コンバースは俺のモデルをトータルで3年間、つい4、5か月前までに20色以上ものカラーウェイを出してたことから考えると、俺のモデルは成功したって言っていいんじゃないだろうか。

―でも俺のモデルの最初のラインが出た後で、コンバースは俺のことも、俺のモデルのサポートもやめてしまって、俺は完全に干されてる状態になった。




そして俺は彼らから、「お前が今までスケートでやってきたことが理由で、お前のモデルを買ったりサポートしたりする奴なんか一人もいない。だからシューズにお前の名前が載ってることは(売上とは)関係ないってあきらめろ」って言われていたんだ。思い返すと、そのことを聞かされて、俺は精神的に狂わされてしまったんだ。なぜなら俺はそれを信じてしまったんだよ。その頃俺がスケートに出かけると、毎日、一日中、キッズたちからポジティブな反応をもらったけど、俺はそれを信じなかった。今はそれから約3年が経ったけど、今でも俺は自分のプロスケーターのキャリアのどの時期よりも、多くのキッズたちに話しかけられる。俺は今でもそのことで辛い気持ちになるんだ。

マジで俺があの会社のために、手助け以外の何をやったのか教えてほしい。色んな方法で、彼らが必要としているものを提供し、会社を軌道に乗せる手助けをしてきた。成功したプロモデルシューズ、Googleで検索すれば俺とコンバースのことについての、キッズたち、スケートショップ、みんなからの100ページ以上にわたるポジティブな反応。今でも「Cons skateboarding」って検索すれば、画像で一番最初に上がってくるのは俺の画像だし、しばらくはずっとそのままだと思うよ。俺はもう今じゃコンバースのステッカーが欲しいと思っても、誰に連絡したらいいのかも分からないのにね。

6か月前に、ニューヨークのブロードウェイにある大きなコンバース・ストアに行ってみたんだ。俺が店に入ったとき、親戚と旅行で来ている風の2人のスケーターのキッズがいて、最終的に俺の名前が載ったシューズを買ったんだ。俺は店の半分くらいからそれを見てたんだけど、気持ちが凹みすぎて、すぐに店の外に飛び出さないといけなかった。そのキッズのひとりはChocolateのTシャツを着てたんだ。もしその日俺のポケットに10セントでもあったら、コンバースの誰とでも賭けをしてたよ。キッズたちが俺のことを知ってるかどうかってね。

この出来事は、コンバースから俺が関係しているものをサポートしたいと思うキッズも、ショップも存在しないっていわれた2年後のことだった。むちゃくちゃだけど、そうやって彼らは俺をとことんまで搾取したことを正当化したんだ。話には聞いたことがあっても、君がコスタリカの掘立小屋に住んでるヒッピーでもない限り、とても信じられないようなことを彼らは実際にやろうとしていたんだよ。まさか人間がそんな汚いまねをできるなんて、普通だったら考えないよ。

俺がライダーとして在籍し、そしてまた契約を更新しようとしていたこの会社の人たちにとって、俺の価値や功績ってのは俺が彼らと契約していた2年間のことだけで、そして俺は彼らの基準を満たしていないって言われたんだ。でもそんなの完全なデタラメだよ。俺はその頃も今まで通りのことをやってたんだからね。それから後のことは俺の責任だし、それは受け入れるけど、俺が彼らから言われたことは、偽善的で空々しいとしか言いようがないよ。

そもそも俺がコンバースと契約するきっかけになったのは、彼らとの契約の1か月前に出たビデオパート(Fully Flared)だろ。彼らが俺のキャリアのある時期だけをピックアップして選べる、なんてわけにはいかないんだ。今までだって(プロスケーターのキャリアっていうのは)そういうもんじゃなかった。簡単なコンセプトさ。もし誰かのスポンサーになるっていうことは、その人が持ってる全て、全ての歴史をひっくるめてってことさ。これは明白な事実だよ。




これは、たとえばKenny Andersonみたいな人にとっては常にアドバンテージになるし、そうあるべきだ。なぜなら彼は20年間もキャリアを続けていて、懸命な努力と才能がなければできないものを築き上げたんだからね。彼と同じものを築き上げることができる人は多くないよ。多くのトライと失敗を経た結果、彼は会社にたくさんの貢献をしているんだ。まだ本当のフル・ビデオパートを残していなかったり、最近残したばかりの奴らとは比べられないよ。別に初めてのパート自体は何も悪くはないけどね。誰にだって初めてのパートってのはあるんだから。俺にだってある。でもさ、デカいパート(Fully Flared)をコンバースとの契約の1か月前に出してたってのに、まるで俺が今までスケートで何もやってきたことがないかのように扱われるとしたらさ、それは見え透いた汚いビジネスさ。


“再契約交渉”の電話をしてるとき、目の前が真っ暗になった。むちゃくちゃなことばかりだった。相手がこう言ってたのを今でも覚えてるよ。

「アンソニー、コンバースのライダーってのは全員Aランクのプロなんだ。それが俺たちのブランドなんだよ。正直言って、君はCランクのプロだ」

俺は今までの人生で、これほど侮辱されたことも、あ然とさせられたこともなかったよ。どういう神経してたら、そんなことが言えるんだ?ただ無言のままシーンっとなってたのを今でもはっきり覚えてる。その間、めちゃくちゃ色んな事が頭ん中を駆け巡ったけど、一つも言葉にできなかった。相手は1か月前に俺のシューズのリリースパーティを開いてくれて、目と目を合わせて話してた奴らなんだぜ?ただもう、死ぬほど気持ち悪かった。

でもその時は、きちんと挨拶して電話を切ったんだ。そして正式に「俺はスポンサーを受ける資格のあるレベルじゃないんだ、だから再契約もない」ってことが分かった。文字通り、俺はコンバースからはもうスポンサードされてなかった。おまけにその前日には、Elwoodがスケートチームにはもう給料を払わないってことを決めたって話も聞かされてたんだ。ラカイのビデオの後で、俺は他のオファーも受けてたけど、それらを断ってElwoodに残ることを決めたんだけどね。これで終わりさ。文字通り、彼らは指先ひとつで俺のキャリアを思い通りにし、そして早々と終わらせたんだ。この会社は俺からすべてのものを奪い去ってしまった。俺以外のチームのみんなは再契約し、他に新しいライダーも加わった。1か月前に、彼らは俺の名前の載ったシューズをリリースしたってのにね(そしてそのシューズはつい2か月くらい前まで出続けていた)。俺にどれだけの市場価値があるのかをテストするには最高の方法だっただろうね。

みんなが分かってないことは、俺からするとなんで分かんないのか分かんないけど、君がもし実家に住んでる15歳なんかじゃない限り、スケートに乗ることで発生していた給料が支払われなくなったら、その時点で終了だよ。もう、自分が考えていたトリックを撮影するためにはどうすればいいか、なんて考えて努力することも、時間をかけることもできないんだ。そうしたことは全て窓から外に出て行ってしまった。その窓こそが、スポンサーシップの要点さ。

電話を切ってから1日とたたないうちに、その日の夕飯をどうやって食おうかってことが心配になった。もはや純粋に自分の生存本能に従って生きるしかなくなって、そして一番キツかったのが、俺がこの嘘と真実の二重生活を送っていたってことを、誰も知らなかったってことだね。俺はまだ、彼らの期待に応えるために「(コンバースの)プロスケーターとして」スケートしている、ていう嘘さ。でもそんなフリを続けるのは無理だよ。信じてほしい。俺はそれでも頑張ってやろうとしたんだ。ここ2年半、俺はそうやって過ごして、だからコンバースが俺に対してやった仕打ちが明るみに出ることもなかったんだ。

―その夜2時間後くらいに、「アンソニー、こうなってしまったのは非常に残念だと思っているよ。だから、次の2年間の契約はこういうのでどうだろう?・・・」っていうメールがきたんだ。(その契約の内容は)屈辱的だったよ。俺がラカイのアマチュアライダーだったときのほうが、よっぽどいい給料をもらってた。でも俺は壁を背にして考えたんだ。他に俺には選択肢はない。これにサインするしかないってね。その時コンバースは俺のモデルを出したばかりだった。そして今自分に必要なのは、Chocolateのビデオのための撮影ができる状態を作ることだって自分に言い聞かせたんだ。つらかったよ。だってそのコンバースの給料じゃ、それ(Chocolateのビデオのために撮影する状況を整えること)は難しいだろうってこと、そもそも家賃すら満足に払える金額じゃないってことが分かってたからね。

それでも、コンバースがその契約を守っていたなら、俺はその少ない給料でも心待ちにしただろうけど、彼らはその契約すら守らなかったんだ。そしてその間でも俺はコンバースに忠実だった。今でも毎日、俺は興奮したキッズに会う。たぶん俺は彼らの好きなプロスケーターなんだろうと思うよ。でもキッズたちは、俺が今日の夕飯を食うために、道に落ちてる屑金を拾ってるってことを知らないんだ。事態はそのくらい悪くなってた。なぜなら俺がサインした契約書ってのは単なるギミックだったんだ。コンバースは俺のモデルが一番売れてるってことに気が付いて、それでまだ俺がコンバースのライダーであるように見せないとマズいから、俺が必要だったんだ。それから半年ごとに、それがどのくらい続いたのか知らないけど、俺の名前の載ったシューズが色違いでリリースされ続けた。




もし俺がクビになったって話が出回ったら、特にその時期はすごく変な感じに見えただろうね。だって俺はまだツアーに出てたからね。Kenny (Anderson)のコマーシャルの手伝いをするためにVegasに行ったときのことを覚えているよ。俺は電話で「マジな話ポケットに一銭も入ってないよ。旅の計画をしてたけど、空港まで行く金すらない」って話をした。でも気合いでその旅は実行したんだ。そして例の偽の契約だけど、結局その通り、偽物の契約になった。彼らは契約を実行しなかったんだ。月日が過ぎても俺が聞かされるのは言い訳と作り話ばかりだった。「小切手を確認する担当者は今休暇中で、いつ戻るか分からない」みたいにね。俺はマジでうんざりしながら「俺は今本当に腹が減ってて、食わなきゃならないんだよ」って話してた。俺は「コンバースのライダー」なのに、金を払ってもらえず、完全に地獄の日々を過ごしてたんだ。そして彼らからは「スケートしてない」だの「何か残せ」だの言われていた。実際傍目から見たら、俺はそういう風に見えただろうね。

その再契約のメールから、実際に彼らが俺に何かしてくれるまでには1年以上かかった。そしてその頃には、そんなこと何の意味もなくなってったんだ。最初の月で俺は家賃を払えなくなり、3か月たったころには俺は家を立ち退くように言われ、4か月たった頃には、持ってる物をどうしたらいいのか分からなくて、不安でたまらなくなった。なぜなら俺はもう基本的に家を失ってたからさ。でも半年もしないうちに、そうした心配は無用になった。俺は自分が持っていたものを全て、売るか質に出すことになったんだ。俺は文字通り人生と戦ってた。

この頃の3年間のあいだに、俺はコンバースから自分のプロモデルを出したんだけど、そのうちの2年半は、たとえ俺が欲しいと思っても、俺は自分のモデルを買う金すら持ってなかったんだ。そして悔しいのは、この時期も俺はほとんどの全ての人たちから支持されてたってことさ。毎日スケートに出かけてキッズたちに出会ったし、そして俺は彼らの期待応える自信もあった。でも、俺は嘘の中で生きていて、そして周りからは何もしていないように見えていた。俺が皆の期待に応えるために必要な生活は、彼ら(コンバースに)にかかってたんだけど、彼らからのサポートは得られなかった。ストリートの名声だけじゃ家賃は払えない。そしてショックなことに、会社が自分の名前が載ったシューズを、20種類以上のカラーウェイでリリースしていても、家賃を払えないんだ。俺はただ、スケートして生活できるだけのチャンスが欲しかっただけなのに、俺はそのチャンスを与えられなかった。

48 Blocks:今でも木の椅子とかってたくさん作ってるの?最近はスケート以外のクリエイティブなものに、どのくらい時間を使ってるの?

Anthony:いや、今はやってない。俺の小さな作業場は約3年前になくなったよ。ふたつ冬を越えるくらいの期間、俺は幸運にもニューヨークで自分の場所を持つことができ、忙しくもの作りをすることができた。素晴らしい経験だったし、短い期間だったけど色んな事を学んだよ。スケート以外のクリエイティブなものに時間を使うってことからは、だいぶ長い間遠ざかっているね。でも十分やったよ。(木の椅子を作ったりすることは)クリエイティブな欲求を吐き出すには十分だけど、完璧な満足感や、充足感を得られるほどじゃない。それに(慣れると)簡単になりすぎて、ある日起きると退屈なものになっちゃうんだ。考えることをやめたら、そうなると思うよ。



48 Blocks:君は昔からクリエイティブなスケートをしてきているよね。インタビューでも、君はギャラリーに行ったり絵を見たりするところからスケートのインスピレーションを得ているって言ってたけど、君がスポットを探すときは、写真や映像を残すのにかっこいいなと思えるスポットを、意識して探すようにしているの?そういう要素って、君のスケートのどのくらいの部分を占めてるの?

Anthony:そうだね。(スポットの見た目は)ほとんど異常なレベルで気にしてるね。褒めてくれてありがとう。

48 Blocks:Ginoも君もロングアイランド出身で、二人ともツンとしてるし、Chocolateのライダーだし、どうしても二人を比べたくなっちゃうんだけど、君が小さいころ、ロングライランドでGinoを見かけたりした?その頃に一緒に滑ったりしたことってある?

Anthony:俺がGinoと比べられるとき、いつもとんでもないって思うんだけど(理由は明らか)・・・彼にはすごく影響されたけど、それとロングアイランド出身なのとは関係ないよ。俺がやっと家の敷地から出られるようになったくらいの小さいころには、彼はすでにLAにいたんだからね。だから一度もGinoを(ロングアイランドで)見たことはないよ。初めて会ったのは、スケートボーダー(雑誌)のイタリアツアーの時だと思う。他にGuy(Mariano)、(Mike)Carroll、Keenan(Milton)、(Jason)Dillとかがいたよ。みんな俺の大好きなスケーターだった。今でも当時と同じ理由で彼らのことが好きだ。彼らは他の誰よりもスケートボードにうまく乗ってたんだ。

48Blocks:君のスケートキャリアを通じて、ほとんどのフッテージはBill Strobeckが撮っている気がするんだけど、Billが他のフィルマーと違うところっていうのはどういうところなの?

Anthony:ビルは友達さ。彼のことをちゃんと話そうとしたらすごく長くなるよ。何かしら特別な存在だね。俺がまだ15歳のころのある夜、スケートの撮影をしに行かないかってBillからいきなり電話がかかってきたんだ。そして次の日の朝10時に集合して、シーポートの近くでやったラインを撮影したんだ。結果は知っての通り、YouTubeにもたぶん上がってると思うよ。




他にもTy(Evans)や(Arron)Mezaとかとも撮影してきたけど、正直みんな同じいいバイブスだよ。もし俺が誰かと撮影をするとしたら、その時点で必要な信頼関係はすでにできてるんだ。Billは撮影もうまいし、自分だけのスタイルを持ってるから、余計にいいよね。

48 Blocks:今まで数えきれないくらい同じ質問されてきたと思うけど、Brian Wenningとのことを聞かせて。君たちは昔親友同士だったけど、それから何があったの?今のBrianの状況をどう思う?今また会うようになったりした?最後に彼と話をしたのっていつ?

Anthony:少なくとも10年はBrianと会ってないね。最後に会ったのがいつどこだったかなんて、もう思い出せないよ。今何をしているのかも知らない。もちろんみんなと同じように時々噂話だったり、インタビューとかを見たり聞いたりはするけど、彼も個人的なこととかでタフな何年間かを過ごしたみたいだね。彼だって人間さ。彼には健康で、そしてハッピーでいて欲しい。本当にそう思う。

48 Blocks:君は色々とツアーに行くよりも、ニューヨークかその近郊でほとんど撮影していたみたいだね。ニューヨークに限定してスケートするのはどういう魅力があるの?

Anthony:ただ俺がそれしか知らないだけだよ。

48 Blocks:君はインスタグラムで自分のChocolateのポートレイトをいろんな髪型をに変えて、その画像にコメントしていたね。最近のスケートの世界ってイメージ先行になりすぎてると思う?

Anthony:そうだね。いつだってそうだよ。そうじゃなかった時なんてなかった。羊は人間を真似ようとなんてしない。でも残念なことに、人間はそうじゃない。

48 Blocks:今のChocolateとの関係はどうなってるの?まだ彼らからスポンサードされてるの?もしそうなら、財政的な問題以外に、君がPretty Sweetで1トリックも入ってなかった理由ってあるの?もしもうChocolateのライダーじゃないなら、何が起きたのか、そしていつ正式にChocolateを抜けることになったのかを教えて。

Anthony:残念ながら、この小さなメロドラマはハッピーエンドじゃないんだ。俺の過去15年間を形作る手助けをしてくれた、全ての人には感謝したい。特にここ2、3年の俺を助けてくれた、限られた少ない人たちには本当に感謝したい。人生の流れ(の厳しさ)と人々(の優しさ)との違いはかなりドラマティックだよ。この人たちのお蔭で俺は住むところがあったし、腹が減ってるときに食わせてもらえた。その人たちの名前をここでリストアップとかはしないけどね。彼らは自分のことだって分かってるから。

今のコンバースと俺の関係がどうなってるかなんて、誰にも分からないよ。会う人の90%は、俺がまだコンバースのライダーだと思ってる。無理もないよ。ほんの半年前まで、俺のモデルの22、23、24つめのカラーウェイが出てたんだからね。コンバースが電話やメール、その他で俺に約束していたことは、それに近いものすら払われなかった。俺はクビになったとか、準備しておくようにとか、そういうことも言われなかった。彼らは臆病者で、この2年間嘘ばかりつき続け、月を追うごとに俺の人生をどん底へと突き落としていったんだ。あらゆる意味で彼らが俺にやったことは、絶対に間違ってる。だから今でも、コンバースからは誰も、自分たちが俺に対してやったことを正当化して俺にクビを言い渡す電話をするような度胸のあるやつは一人もいないんだ。もし俺が本当にチームのお荷物だったとしたら、世間もそういう風に反応するし、コンバースは喜んで俺を叱りつけて、ツケを払わせようとするはずだよ。まぁでも、君と同じく俺もわからないよ。

俺とGirl、Chocolateとの関係は、今までと変わらないよ。他の時期と今とで少しも変わりはない。彼らのことは心からリスペクトしてる。俺が小さいころから見てきた昔からのスケーターたち、今いるチームの全員、裏方にいるみんな、彼らの歴史と始まり方まで全てリスペクトしているよ。それら全てが合わさって、俺にとってスケートボーディングの中でも最高のものが生まれたんだ。

10年くらい前に、俺は自分がサポートしたい、参加したいボードカンパニーはGirl/Chocolate(以下Crailtap)だけだって決めたんだ。だからWorkshopを辞めた。当時はそんなことする奴なんていなかったけどね。それに、一般に信じられているのとは違って、俺はGirlのライダーになることが決まってからAlienを辞めたんじゃないんだ。そうじゃなくて、俺はまずAlienを辞めて、それからしばらくはスケートショップで板を買ってんたんだ。もしCrailtapが俺にアプローチしてくれてチャンスをくれたら、ありがたいし最高だろうなって考えてたのを覚えてるよ。



一方で、みんからは色々言われたよ。お前は狂ってる、そんなことやめろ、なんとかAlienに戻れるようにしろ、Crailtapはお前をチームに入れたりしない、とかね。でも俺はそんなこと気にしなかった。そんな周りからの言葉なんか右耳から入って、左耳からもっと早い速さで抜けてくって感じさ。次の給料はどこからもらえばいいのかなんて、まったく心配してなかった。もしCrailtapからアプローチされなくても、それはそれだし、だからと言って別の会社にいく気もしなかった。だからその時ってのは自分で自分のキャリアを放棄してるような感じだったね。

でも何週間か後に、ラッキーにも彼らから電話をもらったんだ。Crailtapはいつも他とは違うんだってことが、それで証明されたね。ただ、タイミングが悪くて、彼らはその年の予算をすでに組んでしまった後だったんだ。だからチームにも入れるしプロボードも出すって言ってくれたけど、次の年まで待ってほしいってことだった。一定の固定給は出せないけど、ロイヤリティは出すってことだったんだけど、具体的なことは何も決まってなかった。でもそんなこと全然気にしなかったね。そういう感じが1年続いたけど、彼らからチャンスをもらえて、それが自分の欲しかったことだった。そのチャンスを与えらえれたお蔭で、俺はスケートすることができて、最終的にうまく落ち着いたんだ。

今もまだChocolateから板をもらってるよ。ただ今は自分のプロボードは出てないけど、それは俺がちゃんとしたビデオパートを出して、メディアに露出してないと、出るべきじゃないと思ってる。だからこういう風になった(プロボードがなくなった)のは論理的だし、俺とCrailtapの間には悪い感情なんて少しもないよ。彼らに中指を立てるなんてありえないし、正直、彼らは俺のこの何年間かのシビアな状況のことを知らなかったと思うんだ。だからもし俺が彼らの立場だったら、全く同じようにしてたと思うよ。

俺はいろいろと自分に対してかなり厳しい人間なんだ。俺はスケーターで、俺っていう人間はスケートボードでできているんだ。俺は自分の失敗や、やらかしたこととかを他人のせいにして、中指立ててまわるような奴じゃない。自分で自分の責任を取るのは問題ないよ。別にそれで状況が変わるわけでもないしね。ただ、もし不幸にも俺に与えられてしまった状況が違うものだったら、ビデオパートを残せていたかもしれない、とは思う。俺は人間だから、それで絶対パートを残せていたとは言えないけどね。人生は何があるかわからないよ。何か理由をつけて結局できなかったかもしれない。それでも俺はビデオパートを残せてたっていうほうに賭けただろうね。今でも俺ができることってのはそれしかないんだから。正直言って、ビデオパートの作り方に関しては、自信を持って分かってるって言える。(俺を批判する奴がよく言うように)オーリーと50-50ばっかりのパートになってたかもしれないし、そうならなかったかもしれない。ていうか、いつ俺がオーリーと50-50ばっかりのパートを作ったって言うんだろう?俺の最後のパートはLakaiのビデオで、最初の2トリックはバックトゥーバックのオーリーだけど、それから後は一回もオーリーは出てこないよ。それについて別に賭けるつもりもないけどね。変えられないものに対してあれこれ推測するのは意味がないよ。

オーケー、もうテキストを携帯に書き込むのは疲れた。スケートボードに乗っている全ての人に感謝するよ。君が望んでたほど、俺は妄想野郎じゃない。いわゆるカムバックなんてのは期待しないでくれ。だって俺は消えたりしてないんだから。待たせたままにはしないよ。


2014年2月7日金曜日

SKATEBOARDING VS. THE OLYMPICS: A BRIEF HISTORY by JENKEM



JENKEMに載っている、スケートがオリンピックになることについての記事です。インタビューではありません。

けっこう知らなかった動きがアメリカでは進行してたんですね。







スケートボードの外から入ってきた企業が、俺たちの愛するスケートボードを本来のものとは違う形で世の中に提示しているのを見るのは、見るに耐えないものだ。1995年の第1回目のXゲームの時もそうだった。Xゲームはスケートボードを「エクストリーム・スポーツ」として取り上げ、それはスケートコミュニティからは嫌われたが、一般的には大ウケしてブームが生まれた(もしくは、スケートが大衆ウケした別の時代もカウントするなら、再燃したと言ったほうがいいかもしれない)。大抵の場合、俺たちはこういうでっちあげられた大会で誰が優勝しようが気にしない。ただ俺たちスケーターがやっていることのほんの一部を、一般大衆が垣間見ることができる珍しい機会ってくらいのものだ。そこに参加している金儲けしたい企業のことについても同じだ。

Xゲームの第一回目から15年が過ぎ、スケートボードはすっかり大衆に受け入れられて、今じゃ奴らは2016年夏のオリンピックの競技にスケートボードを入れようと躍起になりはじめている。俺たちスケーターがそうなって欲しいと思っているかどうかなんてお構いナシに、だ。そしてはっきり言っておくと、俺たちスケーターはスケートボードがオリンピックの競技になって欲しいなんて思ってない。少なくとも俺はそうだ。



そこでローカルのパークに行き、そこにいるやつらにスケートがオリンピックの競技になることについてどう思うのかを聞いてみた。驚いたことに、ほとんどのキッズたちは賛成のようだった。「エストニアとかの国のスケートがどういうものなのか見られるのは、結構クールだと思うよ」とは俺の友人のオリバー。そのパークでのみんなの考え方は、概して俺が考えていたよりもずっと、スケートがオリンピック競技になることに肯定的だった。若い世代のスケーターたちが、こうしたスケートの未来に対してオープンだってのは中々新鮮な発見だった。しかし、これはオープンなのだろうか、それとも何も考えてないだけなのだろうか。たぶん、キッズたちは実際にスケートボードがオリンピック競技になってしまったら、俺たちスケーターの歴史が、どういう風にでっちあげられてしまうことになるのか、気付いていないんだろう。



90年代の初期から、俺たちスケーターのシーンやクリエイティビティを代表してきたジェイソン・ジェシーというプロスケーターがいるんだが、彼が言っていたこんな言葉を思い出す。

「俺はスケートボードを愛しているんだ。だからスケートボードに死んで欲しい」

最初にこれを聞いたときは意味が分からなかったが、スケートボードのスピリットが変わっていくのを理解するにつれて、このジェイソンの言葉に共感するようになった。スケートボードがリトルリーグみたいになるくらいなら、いっそのことスケートボードは無くなったほうがいい。

今のキッズたちはスケートボードはスポーツじゃないってことを分かっていないのか?キッズたちは、俺たちが変人扱いされてむしろ喜ぶような奴らだってことを、分かってないのか?オリンピック競技にスケートボードが入ってしまうってことは、スケートボードが代表している全てのものに反するものだってことを、分かっていないのか?奴らは分かっちゃいない。なぜならおそらく、スケートボードはもう何か別のものになり始めているからだ。



スケートボードがどんなものになろうとしているにせよ、NBC(アメリカのTV局)とIOC(国際オリンピック協議会)は、今のうちに若い世代の注意を引いておかないと、将来オリンピックの価値と利益を下げることに繋がってしまうってことを理解していて、そのために、スケートボードは今なんとも微妙な立場に立たされている。スケートボードで最も名が知られている「アスリート」であるトニー・ホークは、このスケートボードが立たされている状況に気がついている。「夏の大会に関して言えば、スケートボードがオリンピックを必要としている以上に、オリンピックはスケートボードを必要としているよ。「クール」の要素が欲しいなら、今すぐにでも競技に入れるべきだろうね」


しかし、オリンピックの競技になるためには、その競技は完全に組織化されていなくてはならない。スケートボーダーにとっては関係のない世界だ。スケートボードにはそうした公式組織がないため、IOCは別の組織を使ってスケートボードをオリンピックの競技にしようと画策した。

スケートボードを自分たちのスポーツだと主張する組織のひとつに、ローラースケーターたちで作られたFIRS(国際ローラースポーツ協議会)という団体があった。ローラースケートをスケートボードの公式組織にしてしまうことは、スノーボードの公式組織をスキーの団体にしてしまうようなものだ。そしてそれは2008年の冬季オリンピックで実際に起きたことでもある。スノーボードは冬季オリンピックで大きな成功を収め、新しい観客と大きな利益をもたらしたが、全てがむちゃくちゃで、スノーボーダーたちとIOCの間に激しい対立を生んだ。この結果を受けて、IOCは2016年のオリンピックでスケートボードを競技に入れるために、組む相手を考え直すようになった。


そして今、ローラースケーターの代わりに、あるスケートボーダーたちが俺たちスケーターの公式組織になろうとしている。この組織はISF(国際スケートボード連盟)という名前で、そこに名を連ねている人々の顔ぶれはなかなかのものだ。トニー・ホーク、クリス・ミラー、トッド・スワンク。彼らはスケート業界の主要人物たちだ。そのリストの中に、ひときわISFにスケーター組織としての信頼性を与える名前があった。その人物とは、これまでスケートボードがメインストリームになること、スポーツになること、そしておそらくオリンピックの競技になってしまうことに、誰よりも反対してきた人物、デイヴ・カーニーその人だ。




カーニーは悪名高き(そして最高な)Big Brotherマガジンのライターおよび編集者として、長年カウンターカルチャーのアイコン的存在となってきた。カーニーは彼独特のユーモアと、スケートボードのトレンドやスケートボードを利用しようとする奴らに対する鋭いツッコミで知られている。かつてアメリカのいたるところに安っぽい組み立て式のスケートパークが出来始めたとき、カーニーは明確に反対を表明し、こうしたパークを作っている企業や政治家を名指しで批判してきた。カーニーはスケートボードがオリンピックの競技になることについて、反対の意見を出した最初の人でもある。それだけに、カーニーがISFに参加しているのは、非常に不思議だ。


「俺らが望もうが望むまいが、スケートボードはオリンピック競技になるよ」

スケートボードとオリンピックについての記事の中で、カーニーはこのように書いている。

「俺は嫌だよ。でもNBCとIOCはスケートボードを欲しがってる。どんな方法を使ってもね。もし俺たちスケーターがやらなければ、他にスケートボードの公式組織を名乗る奴らが出てきてやるよ。」

今はなきBig Brotherマガジンの熱心な読者であった俺にとって、カーニーは尊敬するジャーナリストの一人で、俺は何か分からない話があると時々カーニーにメールを送ったりしていた。そこで今回も、ISFについてカーニーにメールで質問を送ってみることにした。


「ISFが俺たちスケーターの公式な団体組織となって、単純にIOCの要求、つまりスケートボードをオリンピック競技にしたいっていう要請を断ればいいんじゃないの?」

カーニーから返信が来た。

「正直な話、俺たちは拒否したんだ。俺たちは今とてもユニークな立場にいて、『もしお前がスケートボードを欲しいのなら、スケートボードのやり方でならいいぜ』って言えるんだ。」


しかし、物事はそう単純じゃない。オリンピックは古い組織だ。スケートボードのような、評価の仕方が難しいアブストラクトなものに合わせて、それまでの堅苦しいオリンピックのジャッジのシステムを変えるのは難しいだろう。IOCがスケートボードをありのままの姿のまま、オリンピックの競技として成立させるために、どのように変わっていくのか見ものだ。

こうなると、他のISFの幹部の中の、スケーターではないメンバーのことが気になってくる。特に取締役のゲイリー・リアムの動機が知りたいところだ。ゲイリー・リアムはCamp Woodwardというサマーキャンプ施設のオーナーで、子供たちはそこで夏休みにスケートボード、BMX、ローラーブレード、体操、チアリーディングなどの活動に参加する。

リアムについて、そして彼がISFに参加していることについてのいくつかの記事を読んだが、その中に彼や彼の動機について否定的に書かれたものがあった。その記事では、IOCからスポーツ振興のために巨額の金がISFに流れるだろうということ、そしてリアムが所有するWoodwardへの参加者も確実に増えるだろうということが書いてあった。こうした記事を読むにつれて、自分の中で疑念が出てきた。


だが、カーニーに話を聞いて、リアムの動機について少し安心できるようになった。

「俺はゲイリー(リアム)のことをよく知ってるから言えるけど、彼はスケートボードをレイプしようとなんて考えてないよ」

「長年サマーキャンプを開いて子供たちがスケートできる場所を提供してきているし、実際よくやっているよ。彼はもっと大きな絵を描いているんじゃないかと思うんだ。スケートボードと、それが子供たちに与える独立心やクリエイティビティ、自信なんかの価値についてね。」


実際にリアムと話がしたいと思いカーニーに相談すると、彼は電話でリアムと話せるようにしてくれた。そこでリアムから、今まで自分では思いもよらなかった話を聞かされた。アメリカでは、スポーツに特に政府から補助金が出たりはしないが、他の国ではそういったお金があるそうだ。そしてスケートボードがオリンピック競技になれば、そうしたアメリカ以外の国のスケーターたちにとって大きな恩恵があるという。

例えば、オリンピックから得たお金で、エストニアなんかにもスケートパークが沢山できるようになる。リアム自身はスケーターではないけれども、俺たちスケーターがやっていることのクリエイティブな部分を理解し、それを守っていくべきだと考えている。スケートボードがオリンピック競技になることで彼が一番心配しているのは、フィギアスケートや体操のように、オリンピックの古臭い堅苦しい採点方法によって、スケートボードのクリエイティビティが殺されてしまうことだ。リアムは、オリンピック委員会には、スケートボードは他のスケートコンテストと同様の採点方法を取らせ、体操やアイススケートのような採点方法にはさせない、ということを話してくれた。リアムや他のISFのメンバーたちが願っているのは、「勝者と敗者」に分けるオリンピックのメンタリティの中で、スケートボードのクリエイティブな精神を保つことだ。


そこに金が生まれている限り、スケートボードを利用して、パッケージ化し大儲けしようと企む連中は出てくる。そして間違いなく、将来オリンピックはスケートボードを競技に加えることになるだろう。それが2016年か2024年か、それともその後になるとしても。最悪だ。しかし、デイヴ・カーニーやトニー・ホークのような人たちがいて、スケートがオリンピック競技になることのダメージを最低限に食い止めようとしているのを知って、俺は少しだけ安心できるようになった。まだ俺たちには希望があるのかもしれない。



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上の記事が出たのが2012年9月4日。

で、約一年後の2013年10月22日にこの件の情報が更新されました。

元記事:
http://www.jenkemmag.com/home/2013/10/22/the-push-for-skateboarding-the-olympics-continues/

ISFからこんな動画が出てました。今はISFのHPから削除されてますが(たぶん苦情が半端なかったんだと思う)、Vimeoに残ってます。



ひどい。へぼい。ダサい。ありえん。
なんすかこれは。

しかも上の記事だとISFにはトニー・ホーク、クリス・ミラー、トッド・スワンク、デイヴ・カーニーらが関わってると書かれていますが、サイトを確認しても彼らの名前はありません。

で、役員のページを見てみると、はっきり言って誰やねんお前ら状態です。

勝手にオリンピック競技にされちゃう前に、我々もいろいろと知ってないとマズイかもですね。



2014年1月27日月曜日

Josh Kalis Interview by JENKEM


JENLEMに掲載されているJosh Kalisのインタビューです。

今回も熱いっす。美学があるって大事だなと思います。

元記事:
http://www.jenkemmag.com/home/2014/01/06/the-josh-kalis-interview/
JENKEM:
http://www.jenkemmag.com/

photo courtesy of DC

ジョシュ・ケイリスと、俺が今までインタビューしてきた他のスケーターたちが違うところは、ジョシュは実際に(スケートのことを)気にかけているところだ。自身のキャリアやスポンサーについてだけではなく、彼はスケートボーディングとそのカルチャーについてのより大きな視点を持っている。カリフォルニアあたりのエリートだけが滑れるプライベートパークでしかスケートしないような他のプロスケーターと違って、ジョシュはJKwonプラザに毎週日曜日にやってきて、誰とでも、みんなとスケートしている。彼をインタビューするのは、その辺のスポットにいるスケートが大好きな奴と話をしているのに近い。ジョークを飛ばしあったり、いろいろな噂話やスケート話に夢中になったり。もしスケートにポリティカルなシステムがあったとして、君や俺みたいなやつが誰かに投票して、スケートボーディングの世界で俺たちの声を代表してもらうとしたら、俺はジョシュに一票入れるだろう。


2年かそこらで入れ替わるプロスケーターの世界で、君は15年以上ものキャリアを保ち、トレンドや景気の上下に左右されずに生き残っているよね。どうやったらそんなに長い間プロスケーターでいられるの?

俺はただ好きなだけだよ。スケートするのが大好きなんだ。俺が唯一スケートやプロスケーターの世界に関わりたくないなと思う時ってのは、それが退屈で、JKwonやEMB、Love Parkみたいなスポットも無く、カルチャーが無くなってるような時だけだよ。もし自分がスケートカルチャーに属せなくなったら、それは俺がもう関心を持てなくなったってことで、最悪な時さ。前からずっと言ってきてることだけど、一度スケートで金をもらったら、好き嫌いに関わらず、その瞬間にスケートは仕事になる。俺はスケートを自分のキャリアにすることを選んだ。そこに対しては真摯でいないといけない。俺は自分ができる限りのベストを、できる限り長い間やらなくちゃならないんだ。スケートは常に自由や自己表現、楽しさ、ルールに縛られないことなんかを表すものだけど、金を受け取るようになったら、そこには責任が生まれるんだ。たとえ金をもらっていても、好き勝手にやってていいんだって思ってる奴らもいるけどね。でも現実としては、たとえば法廷で人々を代表して、それでお金をもらってるようなことと、なんら変わらないんだよ。わかる?俺はそういう風に考えてるよ。

スケート業界に入りたがっている友達たちにはいつも言うんだけど、もしその扉が開いたなら、自分でプッシュして入っていかなくちゃならない。だって誰も君を引き入れてなんてくれないんだからね。毎日俺は見てるよ。キッズたちはフローになったり、月に何百ドルとかお金をもらい始めたりしても、何もしないんだ。ただ待つだけ。フォトグラファーやフィルマーを待って待って、待ち続ける。そして気づいたら7年とか経ってて、まだフローのままだ。自分でプッシュし続けないとダメなんだよ。俺は今37歳で、プロボード、プロシューズ、プロウィールを出して、すべてやり尽くしたように思えるけど、実際はまだ扉は開き続けてる。俺はリタイアなんてできないよ。まだまだプッシュするものがあるし、使うべきリソースや、手助けするべき人たちがいる。俺には前に進む以外に道はないんだ。

photo: mike blabac

君は今はDGKのライダーだけど、今まで自分のボードブランドを始めようとか思ったことってある?

わかんない。一度も自分のボードブランドを持ったことがないから間違ってるかもしれないけど、今は(ボードブランドにとっては)かなり大変な時期なんじゃないかな。そんなに儲かるとは思えないんだ。eBayでボード100枚が10ドルで落とせたりするんだぜ?俺が見る限り、板とかのハードグッズで金を稼ぐのは相当大変だよ。考えても見てよ、俺がスケートを始めた1987年とか88年のころ、板の値段は50ドルだった。今も板の値段は50ドルだけど、他のすべての費用が上がってる。でもだからと言って、1週間くらいしか板がもたないのに、どうやって(板の値段を上げて)キッズたちから金をもっと取れっていうんだ?

だから会社はTシャツやスウェット、パンツとかのソフトグッズを売ってお金を稼いでるんだよね。

そうだね。でもそこでも軋轢があるんだけど、もしスケーターが別でアパレルブランドと契約してたら、そのスケーターはスケートのハードグッズブランドの服は着ちゃいけなかったりするんだ。かなり謎なことが起こってる。だからコンテストとかで上位に入るようなスケーターは、(違うブランドの)ロゴがふたつ付いてる服を着てたりするんだよ。あるスニーカーの会社なんか、契約で板にそのスニーカーブランドのステッカーを貼らなくちゃいけなかったりするんだけど、それやっちゃうと板のグラフィックが見えなくなるから、今度はボードブランドが困ることになる。わかんないけど、最近はすごく変な、情け容赦ない状況だよ。

全体として、ここ2年くらいでプロボードのセールスって世界的に落ちてきてると思う?

そうだと思うよ。間違いなく。2000年は月に6000本くらい俺の板が売れてたのに、2004年までには1000本にまで減ってたからね。これってプロスケーターの名前が通用しなくなったとか、そういうことじゃなくて、単純にプロボードってのが以前のようには売れなくなったんだよ。今はショップボード、ブランクボード、eBayボードとか色々あるからね。ショップのオーナーにとっても変な感じだよ。だって俺はたくさんのショップとも友達だからさ、ショップに行ってキッズたちにプロボードを買うように説教することなんて、俺にはできないよ。そんなクソ野郎にはなれない。

でも将来プロになりたいっていうキッズに対しては、「もし今君がスケート業界をサポートするなら、君がプロになる頃になっても業界は残っているだろう。でももし今サポートしなければ、君がプロになる年頃には業界はなくなってるよ」って言うよ。(ロブ)デューデックは10年前に、将来プロスケーターって存在はいなくなるだろうって話してた。10人くらいのプロが、すべてを支配してる大企業の傘下ブランドのライダーとして存在しているだけだろうってね。彼の考えでは、10人くらいのメジャーなプロが大金を稼いで、残りの奴らはただ楽しみのために滑ってるか、僅かな金を稼いでるくらいだろうってことだった。俺はそれを聞いて、そんなことは起こらないよって思ってる半面、たったここ5年での大きな変化ってのも見てきてるからね・・・

scan courtesy of chromeball

まだ君がスケートでお金を稼ぐようになる前、君はMortal Kombat(2D格闘ゲーム)で賭けゲームをやってたって言ってたけど、どのくらいのお金を賭けてたの?他に毎日の生活を支えるためにやってた事についても教えて。

1ゲームにつき10ドルから40ドル賭けてたね。だいたいいつもセブンイレブンでプレイして、大きなゲームのときはモールに行ってた。負けた奴が金を払いたくないからって、俺に銃を向けてきたなんてこともあったよ。



あと、セブンイレブンは午後の2時に、あの一日中ぐるぐる回ってるホットドッグを交換するから、その時間に行ってたね。ホットドッグを新しいのと交換して古いのを捨てるから、その捨てるやつをもらってたんだ。他にはCountry Fried Chickenっていうチキン食べ放題のスポットがレストランの裏にあってさ、誰かが食い終わったら、テーブルに皿がそのまま残るだろ?その皿を使ってフロントまで行って「ポテトが気に入らなかったから新しい皿に変えていいか?」って聞いてさ、新しい皿をゲットして食いまくってたよ。

でも色々やってた中でもベストのやつは、アントってやつがいてさ、今じゃ彼は親友だよ。そいつはフルタイムの仕事をしてたんだけど、俺らは毎週金曜日にそいつの給料を勝手に取りに行って、その金をアントに渡さなかったりしてたね。アントは今じゃファミリーだよ。俺らはもうみんな大人になったからさ、今じゃそういう馬鹿なこととかは笑い話さ。でもアントが俺たちと一緒につるみたがってたんだからさ、まぁそうなるよって話だよね。

別のインタビューで、君が初めてサンフランシスコに来たとき、EMBに行ったらローカルの奴らが超感じ悪かったって言ってたよね?君にはそういう風に見えて、そしてそうあるべきだとも言ってたね。どうしてそういうことって大事なことだと思うの?

正直にいうと、たぶん環境のせいだと思う。俺は他人から受け入れられるためには何かをしないといけない時代で育ったからね。今の時代はもうそういう必要はないけど。でも俺はそういう風に育って、それが俺の知ってることだった。キッズたちは何かをして、自分でリスペクトを勝ち取らないといけなかったんだ。でも今でもそういう考え方をしていたら、ちょっと嫌な奴になっちゃうけどね。俺は今でも、カルフォルニアのカールスバッドで、どこかに行くときに誘われなかったりすることもあり得るよ。俺がそういう嫌な奴になる可能性があるからね。(笑)(昔と今では)違う世界だよ。俺がEMBやLovePark、Pulaskiパークとかのスポットに行ったとき、俺は自分のやるべきことをやって、リスペクトを得る必要があった。じゃないと俺は板を盗まれて終わってたと思うよ。奴らにカツアゲされてた可能性もあったけど、やり方を間違えずに自分のために立ち上がっていれば、認められるっていう感じだったね。


AVEとDillがMikey(Taylor)をAlien Workshopから追い出したあとで、彼らまで出て行ってしまったね。ムチャクチャだなって思う?

正直思うね。実際わけわかんないよ。そもそもDillとAVEがエイリアンを抜けたってことが考えられない。俺は今でもエイリアンのことを愛してる。彼らとは長いこと一緒だったからね。Carter(Alien Workshop創始者)は俺にとって親父みたいなもんだし、デューデックは俺にとってメンターみたいなもんだよ。何があっても、俺はエイリアンのことが本当に好きなんだ。エイリアンが進んでいた方向も、どこに行こうとしていたのかも知ってる。俺がエイリアンを辞めたとき、DillとAVEは自分たちの友達をチームに入れ始めた。Kevin(Terpening)とかね。DillとAVEがMikey TaylorやデューデックのMeatyのグラフィックの板とかについて、どういう風に思っていたのかも知ってる。

でもさ、ハードグッズのカンパニーはマジで大変だってさっき言っただろ?よく考えてみればわかるけどさ、エイリアンがライダーたちに払ってる給料はものすごい額のはずだよ。エイリアンとハビタット(兄弟ブランド)は特にそうさ。でもソフトグッズの売り上げがいいってわけでもない。どこに行ってもエイリアンの服を着てる奴を見かける、なんてことないだろ?だから俺個人としては、Meatyボードとかそういうものに対してムカついたりとかはなかったよ。だってそういうのが売れまくれば、それでプロたちに給料を払えるんだからね。問題ないよ。

俺がAlien Workshopを辞めたのは、自分の発言権がなくなったからさ。AVEやDillとかあいつらは発言権を持ってたけど、俺は自分ひとりの世界だった。それが今じゃあいつらが辞めただって?発言権を持つために?俺からしたら「お前らマジかよ」って感じだよ。しかもGrant(Taylor)まで抜けたんだって?マジで最悪だし、悲しくなる。ロブ(デューデック)は俺の友達だし、こういうライダーがどんどん抜けてくってことが、どれほどカンパニーにとってダメージになるかも分かってる。俺は個人的に、Carterや他のみんなに同情するよ。
          
ほんと信じられないよ。Mikeyがやられたみたいに俺もAVEとDillに辞めさせられた、とは言わないけど、まあほぼ同じようなもんさ。俺は奴らから直接面と向かって辞めろとか言われたわけじゃないけどね。で、今は奴らも辞めちまった。やりきれないよ。TransworldのCinematographer Projectのエイリアンのパートを観たけど、超ヤバかったよ。時々観るんだけど、かっこよすぎて感情的になる。でも、俺がそこにハマらないってことも分かるんだ。それでも俺はAlien Workshopが好きだし、彼らには成功して欲しい。だからエイリアンが崩壊していくのを見るのはマジできついよ。Gilbert(Crockett)には残ってほしいな。あいつはマジでかっこいいよ。Jake(Johnson)も好きだし、(Tyler)Bledsoeもだね。Bledsoeは今はもう体の調子もいいと思う。

たぶん今はただ、そういう大変な時期なんだろうね。Alien Workshopはまたオーナーシップが一部変わったけど、それはいいことだと思う?(訳注:財政上の問題で、Alienは2008年にBurtonに身売りしたが、2012年に初期からのライダーであるRob Dyrdek がBurtonから買い戻した経緯がある)

正直に本当のことを話すけど、ロブは真剣にエイリアンをあるべき姿に保つために努力してたんだ。プロライダーたちにも発言権を与えて、みんなで正しい方向に進もうとしてた。でもロブはAlien Workshopをキープするために破産しそうになってたんだよ。これはみんなが知らないことだけどね。俺から見た印象だと、彼は自分のポケットマネーで全ての支払いをしていた。他のすべてのものから得ている収入よりも、エイリアンのために支払っているお金のほうが多かったんだ。相当きつかったみたいだよ。だからロブは何かしなくちゃならなかった。エイリアンを存続させるために何百万ドルって金を失ってた。ロブはそれを、元々のエイリアンのオーナーたちや、抱えているプロたち、俺たち全員のためにやってたんだ。単純に大変すぎたよ。今は、エイリアンのオーナーシップは別の会社と半々になってる。この別の新しい会社はチャドってやつが社長で、彼はジェイミー・トーマスの会社Black Box(Zero、Mystery、Fallen Footwearなど)を築き上げる手助けをした男だ。だから良くなっていくと思うよ。
kalis at jkwon plaza / photo: daisuke takahashi

エナジー・ドリンクの会社から契約のオファーが来てたって聞いたけど、どうして断ったの?かなりいい給料をもらえるはずだったと思うけど?

それはサインをすれば成立するってくらいまで話が行ってたわけじゃなくて、ちょっとそういう話があったってだけだよ。契約の話を続けるかどうかは、半分は俺次第、もう半分は向こう次第ってとこだった。でも俺はそういう会社と契約したくなかったんだ。あるサイン会の会場でさ、テーブルの上にエナジードリンクが所狭しと並べられてて、キッズたちがそれを手に取って飲んでるのを見たんだ。自分の娘がこういう飲み物を飲んでもいいと思うかって?絶対ダメだ。間違ってもない。入ってるカフェインとか、それが何なのかも分からないような色んなもんのことを考えてみろよ。自分の子供にあげられないようなものに、自分の名前は使わせられない。だから電話をかけ直さなかったし、向こうからもかかってこなかった。だから(契約しなかったのは)お互いにとって良かったと思うよ。でも確かにそういう契約のチャンスはあった。ただ俺はそれに乗っかりたくなかったんだ。

君みたいに長く健康なキャリアを持つために、これからのスケーターたちにアドバイスとかってある?

ほとんどの人が理解していないのは、トリックについてだね。単純にトリックだけじゃ、キャリアは長続きしないよ。パーソナリティ、ライフスタイル、カルチャー、そういうスケートカルチャーを生き、リスペクトしてるスケーターだけが長く続けることができる。そういうスケーターなら、何もクレイジーなトリックをやらなくても、板は売れるしシューズも売れる。なぜなら彼らはスケートボードに生きて、スケートボードを呼吸しているからなんだ。Gino(Ianuucci)とかがそうだね。何でもいいから、彼がやりたいことをやってビデオパートを作ってくれたら、それだけで最高さ。

若いキッズたちはそういうことに気づいてなくて、Nyjah(Huston)やShane O’Neillがどんだけ難しいトリックを更新してくれるかってことを見たがってる。別にNyjahやShaneのことを悪く言おうとしてるわけじゃないよ。ただ彼らはトリックに関してマジでヤバいから名前を出しただけさ。今から10年も経てば、今の若いヤバいプロたちの中で、どいつらがアイコン的存在になっているのかを知ることができるだろう。誰が40歳になってもまだプロでい続けているかをね。そういう奴らはきっと、個性やライフスタイルを持っていて、スケートカルチャーを生きている奴らさ。(Marc)Suciuとかね。Suciuのことも、Ishodのことも俺は個人的に知らないけど、この二人はずっとプロでい続けると思うよ。



もう一つの要素としては、一度にやりすぎるなってことだね。ほとんどの人はどういう風に、ビデオパートを残していけばいいかってことを理解していない。たった一つのビデオパートのためだけに、自分の全てを賭けて自殺行為をするなってこと。それから先も(キャリアは)何年もあるんだぜ?うまく分散させないと、パートを追いかけ続けることになるよ。クレイジーにスケートするんじゃなくて、賢くスケートして、どういうトリックをやるのかを、ある意味戦略的に考えるんだ。あんまり早く自分が持ってるものを出し切っちゃうと、4年くらいで君のパートは下り坂になっていくよ。今までもクソヤバい奴らは登場してきたけど、4年間のうちに3回膝の手術をしたりして、それっきりさ。ものすごいパートを残す奴らっているけどさ、それから5年間次のパートが作れないなんてことになっちゃダメだよ。俺的に、そういうのは賢くない。

スケートって時代によって色々あるけど、今の時代(2010~2015年)はどういう時代だったって将来言われると思う?

うーんどうだろう?今は色んな事が起きてるからね。トラニー(パーク、プール系スケート)の人気が復活してすごい勢いだし。すごくいい質問だね。今の時代が将来どういう時代だったって言われるか?「Hodgepodge(ごちゃ混ぜ)」かな。(笑)最初に頭に浮かんだのはこの言葉だね。二つ目は、「Survival of the Fittest(適者生存)」。昔からのプロにとっても、新しいプロにとっても、アマチュアにとっても、みんなに厳しい時代だよ。今これからプロになろうってキッズはかわいそうだね。むちゃくちゃ大変だよ。


Mobb Deep "Survival Of the Fittest" Remix


2014年1月13日月曜日

Alex Olson Interview by JENKEM


JENKEMに掲載されてたアレックス・オルソンのインタビューです。
リクエストあったので訳しました。

どうしてガールを辞めたのか、さらにどうしてブライアン・アンダーソンの3Dまで始まる前に辞めてしまったのか、そして自身で立ち上げるという新ブランドについて話してます。

なかなか面白いです。けっこう共感できます

彼のゲイ疑惑ははっきりしませんが、ブライアン・アンダーソンは確定っぽい気がします。


元記事↓

JENKEM↓


アレックス・オルソンが3D Skateboardsを辞めると聞いたときは、クソ野郎だと思った。2か月前に彼はGirl Skateboardsを辞め、ブライアン・アンダーソンの立ち上げた新しいカンパニー、3D Skateboardsに加入したばかりだった。そして今、3Dの最初のボードもリリースされないうちに、3Dも辞めてしまった。これはインスタグラム上で騒ぎを起こして楽しんでいるだけなのか、それとも何かの変なドッキリなのか。Alexに電話で話し、物事の真相を聞くことができた。

5月に君はガールを辞めたよね。辞める時はうまくいった?

いや、あんまり。ていうか、誰だって他の人からダサいとか言われたくないだろ。別に俺がマジで「お前らダサいんだよ!」なんて言ったわけじゃないけど、俺は彼らに自分が感じていることを正直に伝えたんだ。言われたほうにしたら、そういうのを受け入れるのは難しいよ。彼女から別れ話をされて、その理由を聞かされてるようなもんさ。最悪に決まってるじゃん。彼らにその話をするのはマジでキツかったよ。だって、彼らが俺のことを信じてくれて、いろいろと手助けしてくれたおかげで今の俺があるんだからね。

どうして辞めたかったの?

俺が小さい頃から見てきたスケーターたちは、もう既にガールのライダーじゃなかったり、スケートをしてなかった。ジノ、スコット・ジョンストン、ブライアン・アンダーソンとかね。彼らは単純に年を取ってしまったし、俺は年齢的にチームの真ん中にいて、自分と同じ年頃のライダーがいなかった。他のライダーはみんな俺よりもだいぶ若いし、チームの中で自分がまるで態度の悪い厄介者のように思えたんだ。若いやつらは最近酒を覚え始めたばかりでさ、俺もそれに付き合ったりしたけど、なんだか立場的に微妙な感じになっていったんだ。「Pretty Sweet」の扱われ方も好きになれなかったし。まあ、それはそれだけど。彼らはああいう風にする以外、他に選択肢はなかったしね。タイ(エヴァンス)はフッテージを人質にとって、彼らがフッテージで何かやろうとするのを妨げていたみたいで、どうにもならない感じになってた。ある意味かなり強引なやり方だったよ。彼らの責任じゃないけどね。俺は別に悪口を言おうとしてるわけじゃなくて、単純に出来上がったものが「製品」っぽいんだよね。(Pretty Sweetに)参加できて有難いとは思ってるよ。キッズたちはこういうビデオを観て、そしてキッズたちの人生が変わるんだからね。そういう面からみると、Pretty Sweetみたいなプロジェクトに参加できたのは素晴らしいことだよ。俺らが子供のころに観たパウエルのビデオや、アニマル・チンみたいなもんさ。

ガールのチームでは、誰と一番つるんでたの?

ブライアン(アンダーソン)だね。だからブライアンがガールを辞めるって言ったとき、俺が残る理由はもうないな、って思ったんだ。俺がかっこいいと思う人はブライアンと、あとマイク(キャロル)くらいだった。マイクはアートや音楽に興味を持って楽しむことができる人で、そういうことにオープンだったけど、他のライダーはそういうのに興味がなかったり、オープンじゃなかった。



でもせっかくブライアン・アンダーソンと一緒にガールを辞めて、彼の新しいカンパニー3D Skateboardsのライダーになることになっていたのに、それもまた辞めちゃったね。

オーケー、3Dについては、Pretty Sweetの撮影をしているときから話してたことで、もし新しい会社を立ち上げるならっていうアイデアを出し合って楽しんでたんだ。それから1年が過ぎて、ブライアンから自分の会社を立ち上げるからライダーになってほしいって話を聞かされたんだ。それで俺は「もちろん!君がガールを辞めるんなら、俺は君のライダーになるよ。君は俺がガールに乗ってる理由の一つなんだから」って言ったんだ。そしてブライアンは会社を立ち上げ、俺はただ彼を信じるだけだった。彼のビジョンとか、クエイティブの方向性とか全部をね。

で、長い話を短くまとめると、3Dはなんだかガールと同じように見えたんだ。俺としては、Palaceがやってるようなことをやりたいって考えてた。そっちのほうがかっこよく思えたんだ。俺たちは別のビジョンを持ってたんだよ。ブライアンは安定した何かを求めていて、俺は何か実験的なことがしたかった。それで俺はブライアンに、「君は自分のやりたいことをやって、俺はそのお蔭で生活できるって感じだけど、俺もそうしたいんだ。俺も自分のカンパニーを始めたい」って言ったんだ。ブライアンは俺の親友だから、「迷惑をかけたくないから、辞めるなら今のほうがいいと思う。2シーズンとか経って俺が3Dに深く関わり過ぎてしまう前に」ってことも話した。俺はもうちょっと変わった感じのものが欲しかったんだ。個人的に、スケートは今すごく代わり映えしないものに感じる。だから小さなボードカンパニーが生まれている、今の流れはとてもいいと思うよ。

もしPalaceのチームから誘われたらどうする?それとも自分で一から全部を始めようとしてるの?

全部一から始めようとしてる。もう基本的に動き始めてるよ。おかげでモチベーションも取り戻したしね。だからガールを辞めたってところもあるんだ。Pretty Sweetが終わってから、全然滑らなくなってた。5ヵ月くらい板に触れさえしなかったよ。だから何か新しいことを始めれば、モチベーションが上がってスケートしたくなるだろうって思ったんだ。James Murphy(LCD Sound System)のビデオをたくさん観てたんだけど、彼はツアーだったり一度ついてしまった自分のイメージだったりが嫌になってしまって、自分の人生を取り戻すためにバンドを辞めたんだけど、俺も似たような感じだなって思った。だからそれからも少し影響を受けてるね。俺は何かクリエイティブなことがしたいんだ。スケートの外からの影響をスケートに持ち込んだり、スケートをまた別の何かに持ち込んだりしたい。同じような焼き直しの曲やダンスにはちょっと嫌気がさしてたし、俺はPalaceのビデオが好きなんだよね。俺の好きなスケートを表現してるんだ。Polarもだね。超難しいことをやろうとするんじゃなくて、もっとリアルなスケートなんだ。

たしかに。

ひとつのトリックをメイクするのに7日かかって、やっとメイクったと思ったら、同じような難しいトリックをあと15個やんないといけない、とかじゃなくてね。もしかしたら俺が怠け者なだけなのかもしれないけど、Mouse(1997年のGirlのビデオ。クラシック)のアップデート版みたいなのを観たいんだ。それだと進歩にならないっていうのも分かってるけど、俺はただノーマルな良いスケートが見たいだけなんだ。どういうラインかに関係なく、AVE(Anthony Van Engelen)がラインをやってるのを見るほうが好きだ。Crailtap(Girl、Choco、Lakaiのこと)が小さなビデオを出すときは、君はアガると思うんだ。単純にスケートだからね。死ぬほど難しいこととかをやるわけじゃないから、身近に感じることができる。今のスケートってのは奇妙だよ。みんな「俺はメイクするためにこんなに頑張ったぞ!見てくれ!」みたいなメンタリティなんだよ。そしてそれが進歩で、それもいいけどさ、俺はスケートして楽しんで、そしてそういう楽しいところを見せたいんだ。今のスケートからは音楽やクリエイティビティの側面がどこかに行ってしまっていて、みんな「一番売れているもの」の焼き直しばかりだよ。たとえばマリファナの葉をのせれば物が売れるから、みんな作ってるんだ。アメリカや企業ってのはそういうもんさ。「iPodが売れてるらしいな、俺たちもMP3プレーヤーを作らないと」ってね。

5パネルのキャップやバケットハットとかもそうだね。

その通りだよ。「あいつら上手いこと稼いでるな、俺らもやろう」って感じさ。俺はそういうのが嫌なんだ。マジでそういうのから離れたい。俺はレコードをたくさん買うんだけど、たくさんのDJがディスコソングをリミックスしててさ、そのリミックス曲のホワイトレーベルのレコードが200枚しか出てなかったりするんだよ。リエディットものってマジで見つけるの大変なんだけど、そういう限定の、手に入る時にしか手に入らないものに魅かれるんだ。それがけっこう大事な部分だったりする。クオリティの高いものを作るんだ。そしてもしすごく売れるTシャツがあったとしても、同じTシャツの色違いを5つも作ったりなんてことはしない。そういうのは好きじゃないんだ。正直イラッとくる。クオリティの低いTシャツで経費を最小限に抑えて、最大限に儲けよう…みたいなメンタリティは今じゃマジで馬鹿だよ。俺からしたらさ、どうしてプレミアムなものを作らないんだろう?って思うんだ。クオリティが高ければみんな買うだろうし、いいものだって分かってるんだから、次もまた買うと思うんだ。



バイナルのレコードの売れ方を見て、俺はそう思ったんだ。もちろん大きな市場じゃないけど、俺は別に大企業になりたいわけじゃないし、売上とかも気にしない。俺が気にするのはかっこいいものを作るってことで、それで会社を維持することができたらそれでいいよ。面白いビデオを作りたい。もしナイキからパートを作るように言われたら、全力で気合入れたパートを作るよ。でもその一方で、よりクリエイティブなものにもしたい。安っぽいありきたりな風に聞こえるかもしれないけど、今俺がスケート界に感じているのはこんなところかな。音楽はスケートの世界で失われたものの中でも大きいよ。俺はそれを取り戻したい。今じゃ音楽とスケートって全然リンクしてないだろ。悲しいよ。

俺は若いキッズに音楽を紹介することができる。キッズたちはただ単にShazamを使って音楽を探す、なんてことはできないんだ。俺は音楽のそういうところも好きなんだ。これは若い奴らに音楽のジャンルを紹介するようなものなんだよ。ベタな言い方だけど、深いところでは、それが俺のアイデアなんだ。たとえばPalaceはセオ・パリッシュのようなバイブスを持ってる。俺はDJハーヴェイみたいなバイブスが欲しい。なんだかPalaceからかなり影響されてる感じだけど、俺と彼らはだいたい同じ年代で、だいたい同じような音楽が好きなんだよ。

君の会社を立ち上げるのに、手助けしてくれる人はいるの?

財政的なこととかを手助けしてくれる友達がいるよ。クリエイティブな部分は俺がソロでやる感じ。もしキッズたちが自分たちのやってることとかを俺に送ってくれて、俺がそれを気に入れば、キッズたちはそのバイブスを感じるし、俺も最高さ。ていうか、これって基本的にPalaceのパクリだね。(笑)残念ながら。Lev(Palaceの創始者)には、彼からインスピレーションを受けて、自分の会社を始めようと思ったってことをちゃんと話したよ。あとPolarもだね。他の人の気に障るようなことはしたくないからさ。

新しい会社の名前とかって決まってるの?White Labelとかってどう?

それ俺も思いついたんだけど、ちょっとそれだとBlack Labelに似すぎなんだよね。名前を考えるのってマジで超大変だよ。でも同時に名前なんて大したことないんだけどね。何にせよその周りのものがブランドのアイデンティティを作っていくわけだから。イメージが先に来て、名前はほとんど二の次になる。


別のインタビューで、スケートに一時期飽き飽きしていたけど、自分のブログのおかげでやる気を失わずにすんだって言ってるのをみたけど、どういうことなの?

自分のことを気にしてくれてるってわけじゃないけど、何かしら興味を持ってくれてる人がいるってことに気が付いたってことかな、たぶん。その頃ってのはちょうどVansのライダーになったばかりの頃で、ニューメキシコへのツアーがあったんだ。そのツアーにはDaniel Lutheranもいたんだけど、どうやら俺は彼に対して嫌味な感じだったみたいなんだ。ニューメキシコって何もやることないからさ、感じ悪くなっちゃったんだ。俺は嫌なクソガキだったんだよ。

そのツアーから戻ったら、Vansのクリエイティブ・ディレクターから電話がきて「おい、一体何だっていうんだ?お前全然ツアーに乗り気じゃなかったらしいじゃないか。いいか、これはチャンスなんだ・・・」とかなんとか言われたんだ。その電話でヤラレちゃってさ、もし明日Vansをクビになったとしたら、俺はどこに行けばいいんだろう?トレードとかも何もない。自分の拠り所を持つには何をしたらいいだろう?って考えだんだ。それで写真を撮り始めて、ブログを始めてキッズたちからの質問に答えるようになって、そこでキッズたちから励まされたんだ。実際に俺のことを気にかけてくれるキッズたちがいるんだよ。そこから、俺はこれに背を向けちゃいけないってことに気付いたんだ。その頃の俺は、スケートがもうクリエイティブなものじゃなくなってしまったってイラついててさ、でもまだ23歳で、ちょうど大人になり始めの時期だったんだよね。

同じインタビューで、スケート業界のこともずっと気に入らなかったって言ってたけど、特にどういうものが気に入らないの?

すごくコントロールされてる感じとかが嫌だね。わかる?たぶん俺は80年代とか90年代を美化しすぎてるんだろうけど、それにしても昔はみんなクリエイティブだったと思うんだ。でももしかしたら、今と別に変わらないのかもしれない。同じだって言う人も当然いると思う。俺はいつもLord Of The Flies(邦題:蠅の王。小説)を引き合いに出すんだけど、当時はキッズが業界を支配していて、誰も気にしてなかった。誰も金なんて稼いでなかったから、もっとクリエイティブだった。今は誰も選択肢を持ってない。選択肢を持っている人にとっては・・・

君は反抗的な奴らが好きなんだね

その通り。今じゃもう誰も選択肢を持ってない。スケートコンテストに行けば、みんなドラッグでキマってるみたいに全員がハッピーだ。トムクルーズの嫁がロボットになっちゃう映画ってなんだっけ?Stepford Wivesだっけ?(訳注:ステップフォードという町に引っ越した主人公が、その町の住人の妻たちが皆、判で押したように完璧な妻であることに気付くところから始まるコメディ・ホラー)

「アレックスは甘やかされたクソガキだ。自分がどんなに素晴らしい会社を辞めたのか分かってない」みたいなコメントを読んで、悩んじゃったりする?

そういうコメントをしてくる奴らは俺のことを知らないのに、なんで俺のことを気にするんだろう?別にそういうコメントは全然気にならないよ。一度も会ったことがないんだから。もし俺のことをそれなりに長く知ってる人からそういうことを言われたら、もう少し影響されると思うけど。でも、全然分かってないのに俺のことを既に嫌ってる人もいる。たぶんジェラシーなのかな、それか、もし自分が同じチャンスを与えられていたら、もっと違うようにやってたのに、って思うからかなのかな。別にいいけどね。人それぞれ意見があっていい。たまにそういうコメント読むのって楽しいよ。

君のお父さん(Steve Olson)は、君の決断を応援してくれてる?そもそも彼に話した?

親父に3Dを辞めて、自分の会社を立ち上げるって話をしたとき、「おおいいじゃん、お前が何をやろうとも応援するぞ」って言ってくれたよ。親父は俺を110%応援してくれてる。もし俺が明日性転換の手術をするって言ったとしても、たぶん「それがお前のやりたいことなら、いいと思うよ」って言ってくれるよ。

君の新しいブランドで、お父さんにゲストアートとかやってもらう?

いや、ゲストアートの前にゲストパートだね。年取ったライダーのチームってのも考えてみたんだ。親父と、あとScott Oster。彼らに選択権はないよ。もうチームの一員さ。

他に新しいブランドのことで、話せることってある?

ブライアン・アンダーソンから、Fire Islandって本を買ってもらったんだけど、それが新しいブランドの雰囲気になるかな。人によってはトゥーマッチかもしれないけど。ざっくり言うと、Fire Islandっていうゲイのための大きな場所があって、そこに行けばゲイたちは自由にくつろげて、他人にゲイだってことを知られることを心配する必要もないんだ。それはLong Islandにあって、そこではゲイの人たちみんなオープンにゲイでいられるんだ。そして彼らは普通の仕事をして、誰にも彼らがゲイだってことを知られない。マジでクレイジーで、そして少し悲しい話だよ。彼らのほとんどはエイズが大流行したときに死んでしまったからね。クレイジーな時期の話なんだけど、俺はすごく興味があるんだ。

ってことは、君のカンパニーはすごくゲイな感じになるの?

すごいゲイな感じにはならないけど、同性愛差別と対極のものにはなるね。スケートの世界は完全に男の世界だけどさ、スケーターの中にもゲイは結構たくさんいるはずなんだ。ゲイだって知られてるプロが3人かそこらなんてことはあり得ないよ。だって一般に10人に1人はゲイだって言われてるんだぜ?今どのくらいの数のスケーターがいると思ってるんだ?将来スケーターの同窓会があったとして、みんな45歳くらいになっててさ、そこで「俺ゲイなんだ!」って言ってくれたらいいなと思うよ。

プロスケーターのキャリアの最中で、ゲイだって公に言うプロっていると思う?

わかんない。でも必要だよ。みんなが知るべき事のひとつだよ。(カミングアウトすることは)その人を強くするし、より多くの人にアピールできる。他のプロアスリートとかじゃカミングアウトする人たちがいるのに、スケーターには一人もいないなんて馬鹿げてるよ。(カミングアウトしても)悪いことなんて起きないし、スポンサーが付かなくなることもないし、チームを追い出されるなんてこともないよ。もしそんなことが起きたら、それはそいつらが逆に問題だよ。馬鹿な話さ。この業界はこんなに大きいのに、誰ひとりカミングアウトしてない。クレイジーだよ。

最後に、もうスケートなんて全部やめてしまおう、とか考えたことある?

そうだね。ていうか、だからクソくらえって言うんだよ。俺は自分のことをやる。もしそれが上手くいかなくても、俺は挑戦したし、自分ができるあらゆるスケートてのをやったし、スケートの全ての部分を見てきた。そして結局人は自分ができることしかできないんだよ。だから別にそんなに不安にもならないし、人生は続いていくし、スケート以外にも世の中には色んなものがあって、俺は他のことにも興味があるんだ。とは言っても俺はスケートを続けるけど、それは必ずしもスケートでお金を稼がないといけないってことじゃない。スケートは俺が生きていく上でやっていくもので、誤魔化したりウソをついたりする必要なんてない。もし明日スポンサー全部を失ったとしても、たぶん俺はスケートを続けるし、自分が作りたいものを作り続ける。人からサポートしてもらえれば有難いけど、してもらえなかったとしてもどうってことないよ。セラヴィ(フランスの慣用句で「人生なんてそんなもん」みたいな意味)さ。もしかしたらIn-N-Out(ハンバーガー屋)で将来働いているかもしれない。誰にも分からないよ。