2014年1月27日月曜日

Josh Kalis Interview by JENKEM


JENLEMに掲載されているJosh Kalisのインタビューです。

今回も熱いっす。美学があるって大事だなと思います。

元記事:
http://www.jenkemmag.com/home/2014/01/06/the-josh-kalis-interview/
JENKEM:
http://www.jenkemmag.com/

photo courtesy of DC

ジョシュ・ケイリスと、俺が今までインタビューしてきた他のスケーターたちが違うところは、ジョシュは実際に(スケートのことを)気にかけているところだ。自身のキャリアやスポンサーについてだけではなく、彼はスケートボーディングとそのカルチャーについてのより大きな視点を持っている。カリフォルニアあたりのエリートだけが滑れるプライベートパークでしかスケートしないような他のプロスケーターと違って、ジョシュはJKwonプラザに毎週日曜日にやってきて、誰とでも、みんなとスケートしている。彼をインタビューするのは、その辺のスポットにいるスケートが大好きな奴と話をしているのに近い。ジョークを飛ばしあったり、いろいろな噂話やスケート話に夢中になったり。もしスケートにポリティカルなシステムがあったとして、君や俺みたいなやつが誰かに投票して、スケートボーディングの世界で俺たちの声を代表してもらうとしたら、俺はジョシュに一票入れるだろう。


2年かそこらで入れ替わるプロスケーターの世界で、君は15年以上ものキャリアを保ち、トレンドや景気の上下に左右されずに生き残っているよね。どうやったらそんなに長い間プロスケーターでいられるの?

俺はただ好きなだけだよ。スケートするのが大好きなんだ。俺が唯一スケートやプロスケーターの世界に関わりたくないなと思う時ってのは、それが退屈で、JKwonやEMB、Love Parkみたいなスポットも無く、カルチャーが無くなってるような時だけだよ。もし自分がスケートカルチャーに属せなくなったら、それは俺がもう関心を持てなくなったってことで、最悪な時さ。前からずっと言ってきてることだけど、一度スケートで金をもらったら、好き嫌いに関わらず、その瞬間にスケートは仕事になる。俺はスケートを自分のキャリアにすることを選んだ。そこに対しては真摯でいないといけない。俺は自分ができる限りのベストを、できる限り長い間やらなくちゃならないんだ。スケートは常に自由や自己表現、楽しさ、ルールに縛られないことなんかを表すものだけど、金を受け取るようになったら、そこには責任が生まれるんだ。たとえ金をもらっていても、好き勝手にやってていいんだって思ってる奴らもいるけどね。でも現実としては、たとえば法廷で人々を代表して、それでお金をもらってるようなことと、なんら変わらないんだよ。わかる?俺はそういう風に考えてるよ。

スケート業界に入りたがっている友達たちにはいつも言うんだけど、もしその扉が開いたなら、自分でプッシュして入っていかなくちゃならない。だって誰も君を引き入れてなんてくれないんだからね。毎日俺は見てるよ。キッズたちはフローになったり、月に何百ドルとかお金をもらい始めたりしても、何もしないんだ。ただ待つだけ。フォトグラファーやフィルマーを待って待って、待ち続ける。そして気づいたら7年とか経ってて、まだフローのままだ。自分でプッシュし続けないとダメなんだよ。俺は今37歳で、プロボード、プロシューズ、プロウィールを出して、すべてやり尽くしたように思えるけど、実際はまだ扉は開き続けてる。俺はリタイアなんてできないよ。まだまだプッシュするものがあるし、使うべきリソースや、手助けするべき人たちがいる。俺には前に進む以外に道はないんだ。

photo: mike blabac

君は今はDGKのライダーだけど、今まで自分のボードブランドを始めようとか思ったことってある?

わかんない。一度も自分のボードブランドを持ったことがないから間違ってるかもしれないけど、今は(ボードブランドにとっては)かなり大変な時期なんじゃないかな。そんなに儲かるとは思えないんだ。eBayでボード100枚が10ドルで落とせたりするんだぜ?俺が見る限り、板とかのハードグッズで金を稼ぐのは相当大変だよ。考えても見てよ、俺がスケートを始めた1987年とか88年のころ、板の値段は50ドルだった。今も板の値段は50ドルだけど、他のすべての費用が上がってる。でもだからと言って、1週間くらいしか板がもたないのに、どうやって(板の値段を上げて)キッズたちから金をもっと取れっていうんだ?

だから会社はTシャツやスウェット、パンツとかのソフトグッズを売ってお金を稼いでるんだよね。

そうだね。でもそこでも軋轢があるんだけど、もしスケーターが別でアパレルブランドと契約してたら、そのスケーターはスケートのハードグッズブランドの服は着ちゃいけなかったりするんだ。かなり謎なことが起こってる。だからコンテストとかで上位に入るようなスケーターは、(違うブランドの)ロゴがふたつ付いてる服を着てたりするんだよ。あるスニーカーの会社なんか、契約で板にそのスニーカーブランドのステッカーを貼らなくちゃいけなかったりするんだけど、それやっちゃうと板のグラフィックが見えなくなるから、今度はボードブランドが困ることになる。わかんないけど、最近はすごく変な、情け容赦ない状況だよ。

全体として、ここ2年くらいでプロボードのセールスって世界的に落ちてきてると思う?

そうだと思うよ。間違いなく。2000年は月に6000本くらい俺の板が売れてたのに、2004年までには1000本にまで減ってたからね。これってプロスケーターの名前が通用しなくなったとか、そういうことじゃなくて、単純にプロボードってのが以前のようには売れなくなったんだよ。今はショップボード、ブランクボード、eBayボードとか色々あるからね。ショップのオーナーにとっても変な感じだよ。だって俺はたくさんのショップとも友達だからさ、ショップに行ってキッズたちにプロボードを買うように説教することなんて、俺にはできないよ。そんなクソ野郎にはなれない。

でも将来プロになりたいっていうキッズに対しては、「もし今君がスケート業界をサポートするなら、君がプロになる頃になっても業界は残っているだろう。でももし今サポートしなければ、君がプロになる年頃には業界はなくなってるよ」って言うよ。(ロブ)デューデックは10年前に、将来プロスケーターって存在はいなくなるだろうって話してた。10人くらいのプロが、すべてを支配してる大企業の傘下ブランドのライダーとして存在しているだけだろうってね。彼の考えでは、10人くらいのメジャーなプロが大金を稼いで、残りの奴らはただ楽しみのために滑ってるか、僅かな金を稼いでるくらいだろうってことだった。俺はそれを聞いて、そんなことは起こらないよって思ってる半面、たったここ5年での大きな変化ってのも見てきてるからね・・・

scan courtesy of chromeball

まだ君がスケートでお金を稼ぐようになる前、君はMortal Kombat(2D格闘ゲーム)で賭けゲームをやってたって言ってたけど、どのくらいのお金を賭けてたの?他に毎日の生活を支えるためにやってた事についても教えて。

1ゲームにつき10ドルから40ドル賭けてたね。だいたいいつもセブンイレブンでプレイして、大きなゲームのときはモールに行ってた。負けた奴が金を払いたくないからって、俺に銃を向けてきたなんてこともあったよ。



あと、セブンイレブンは午後の2時に、あの一日中ぐるぐる回ってるホットドッグを交換するから、その時間に行ってたね。ホットドッグを新しいのと交換して古いのを捨てるから、その捨てるやつをもらってたんだ。他にはCountry Fried Chickenっていうチキン食べ放題のスポットがレストランの裏にあってさ、誰かが食い終わったら、テーブルに皿がそのまま残るだろ?その皿を使ってフロントまで行って「ポテトが気に入らなかったから新しい皿に変えていいか?」って聞いてさ、新しい皿をゲットして食いまくってたよ。

でも色々やってた中でもベストのやつは、アントってやつがいてさ、今じゃ彼は親友だよ。そいつはフルタイムの仕事をしてたんだけど、俺らは毎週金曜日にそいつの給料を勝手に取りに行って、その金をアントに渡さなかったりしてたね。アントは今じゃファミリーだよ。俺らはもうみんな大人になったからさ、今じゃそういう馬鹿なこととかは笑い話さ。でもアントが俺たちと一緒につるみたがってたんだからさ、まぁそうなるよって話だよね。

別のインタビューで、君が初めてサンフランシスコに来たとき、EMBに行ったらローカルの奴らが超感じ悪かったって言ってたよね?君にはそういう風に見えて、そしてそうあるべきだとも言ってたね。どうしてそういうことって大事なことだと思うの?

正直にいうと、たぶん環境のせいだと思う。俺は他人から受け入れられるためには何かをしないといけない時代で育ったからね。今の時代はもうそういう必要はないけど。でも俺はそういう風に育って、それが俺の知ってることだった。キッズたちは何かをして、自分でリスペクトを勝ち取らないといけなかったんだ。でも今でもそういう考え方をしていたら、ちょっと嫌な奴になっちゃうけどね。俺は今でも、カルフォルニアのカールスバッドで、どこかに行くときに誘われなかったりすることもあり得るよ。俺がそういう嫌な奴になる可能性があるからね。(笑)(昔と今では)違う世界だよ。俺がEMBやLovePark、Pulaskiパークとかのスポットに行ったとき、俺は自分のやるべきことをやって、リスペクトを得る必要があった。じゃないと俺は板を盗まれて終わってたと思うよ。奴らにカツアゲされてた可能性もあったけど、やり方を間違えずに自分のために立ち上がっていれば、認められるっていう感じだったね。


AVEとDillがMikey(Taylor)をAlien Workshopから追い出したあとで、彼らまで出て行ってしまったね。ムチャクチャだなって思う?

正直思うね。実際わけわかんないよ。そもそもDillとAVEがエイリアンを抜けたってことが考えられない。俺は今でもエイリアンのことを愛してる。彼らとは長いこと一緒だったからね。Carter(Alien Workshop創始者)は俺にとって親父みたいなもんだし、デューデックは俺にとってメンターみたいなもんだよ。何があっても、俺はエイリアンのことが本当に好きなんだ。エイリアンが進んでいた方向も、どこに行こうとしていたのかも知ってる。俺がエイリアンを辞めたとき、DillとAVEは自分たちの友達をチームに入れ始めた。Kevin(Terpening)とかね。DillとAVEがMikey TaylorやデューデックのMeatyのグラフィックの板とかについて、どういう風に思っていたのかも知ってる。

でもさ、ハードグッズのカンパニーはマジで大変だってさっき言っただろ?よく考えてみればわかるけどさ、エイリアンがライダーたちに払ってる給料はものすごい額のはずだよ。エイリアンとハビタット(兄弟ブランド)は特にそうさ。でもソフトグッズの売り上げがいいってわけでもない。どこに行ってもエイリアンの服を着てる奴を見かける、なんてことないだろ?だから俺個人としては、Meatyボードとかそういうものに対してムカついたりとかはなかったよ。だってそういうのが売れまくれば、それでプロたちに給料を払えるんだからね。問題ないよ。

俺がAlien Workshopを辞めたのは、自分の発言権がなくなったからさ。AVEやDillとかあいつらは発言権を持ってたけど、俺は自分ひとりの世界だった。それが今じゃあいつらが辞めただって?発言権を持つために?俺からしたら「お前らマジかよ」って感じだよ。しかもGrant(Taylor)まで抜けたんだって?マジで最悪だし、悲しくなる。ロブ(デューデック)は俺の友達だし、こういうライダーがどんどん抜けてくってことが、どれほどカンパニーにとってダメージになるかも分かってる。俺は個人的に、Carterや他のみんなに同情するよ。
          
ほんと信じられないよ。Mikeyがやられたみたいに俺もAVEとDillに辞めさせられた、とは言わないけど、まあほぼ同じようなもんさ。俺は奴らから直接面と向かって辞めろとか言われたわけじゃないけどね。で、今は奴らも辞めちまった。やりきれないよ。TransworldのCinematographer Projectのエイリアンのパートを観たけど、超ヤバかったよ。時々観るんだけど、かっこよすぎて感情的になる。でも、俺がそこにハマらないってことも分かるんだ。それでも俺はAlien Workshopが好きだし、彼らには成功して欲しい。だからエイリアンが崩壊していくのを見るのはマジできついよ。Gilbert(Crockett)には残ってほしいな。あいつはマジでかっこいいよ。Jake(Johnson)も好きだし、(Tyler)Bledsoeもだね。Bledsoeは今はもう体の調子もいいと思う。

たぶん今はただ、そういう大変な時期なんだろうね。Alien Workshopはまたオーナーシップが一部変わったけど、それはいいことだと思う?(訳注:財政上の問題で、Alienは2008年にBurtonに身売りしたが、2012年に初期からのライダーであるRob Dyrdek がBurtonから買い戻した経緯がある)

正直に本当のことを話すけど、ロブは真剣にエイリアンをあるべき姿に保つために努力してたんだ。プロライダーたちにも発言権を与えて、みんなで正しい方向に進もうとしてた。でもロブはAlien Workshopをキープするために破産しそうになってたんだよ。これはみんなが知らないことだけどね。俺から見た印象だと、彼は自分のポケットマネーで全ての支払いをしていた。他のすべてのものから得ている収入よりも、エイリアンのために支払っているお金のほうが多かったんだ。相当きつかったみたいだよ。だからロブは何かしなくちゃならなかった。エイリアンを存続させるために何百万ドルって金を失ってた。ロブはそれを、元々のエイリアンのオーナーたちや、抱えているプロたち、俺たち全員のためにやってたんだ。単純に大変すぎたよ。今は、エイリアンのオーナーシップは別の会社と半々になってる。この別の新しい会社はチャドってやつが社長で、彼はジェイミー・トーマスの会社Black Box(Zero、Mystery、Fallen Footwearなど)を築き上げる手助けをした男だ。だから良くなっていくと思うよ。
kalis at jkwon plaza / photo: daisuke takahashi

エナジー・ドリンクの会社から契約のオファーが来てたって聞いたけど、どうして断ったの?かなりいい給料をもらえるはずだったと思うけど?

それはサインをすれば成立するってくらいまで話が行ってたわけじゃなくて、ちょっとそういう話があったってだけだよ。契約の話を続けるかどうかは、半分は俺次第、もう半分は向こう次第ってとこだった。でも俺はそういう会社と契約したくなかったんだ。あるサイン会の会場でさ、テーブルの上にエナジードリンクが所狭しと並べられてて、キッズたちがそれを手に取って飲んでるのを見たんだ。自分の娘がこういう飲み物を飲んでもいいと思うかって?絶対ダメだ。間違ってもない。入ってるカフェインとか、それが何なのかも分からないような色んなもんのことを考えてみろよ。自分の子供にあげられないようなものに、自分の名前は使わせられない。だから電話をかけ直さなかったし、向こうからもかかってこなかった。だから(契約しなかったのは)お互いにとって良かったと思うよ。でも確かにそういう契約のチャンスはあった。ただ俺はそれに乗っかりたくなかったんだ。

君みたいに長く健康なキャリアを持つために、これからのスケーターたちにアドバイスとかってある?

ほとんどの人が理解していないのは、トリックについてだね。単純にトリックだけじゃ、キャリアは長続きしないよ。パーソナリティ、ライフスタイル、カルチャー、そういうスケートカルチャーを生き、リスペクトしてるスケーターだけが長く続けることができる。そういうスケーターなら、何もクレイジーなトリックをやらなくても、板は売れるしシューズも売れる。なぜなら彼らはスケートボードに生きて、スケートボードを呼吸しているからなんだ。Gino(Ianuucci)とかがそうだね。何でもいいから、彼がやりたいことをやってビデオパートを作ってくれたら、それだけで最高さ。

若いキッズたちはそういうことに気づいてなくて、Nyjah(Huston)やShane O’Neillがどんだけ難しいトリックを更新してくれるかってことを見たがってる。別にNyjahやShaneのことを悪く言おうとしてるわけじゃないよ。ただ彼らはトリックに関してマジでヤバいから名前を出しただけさ。今から10年も経てば、今の若いヤバいプロたちの中で、どいつらがアイコン的存在になっているのかを知ることができるだろう。誰が40歳になってもまだプロでい続けているかをね。そういう奴らはきっと、個性やライフスタイルを持っていて、スケートカルチャーを生きている奴らさ。(Marc)Suciuとかね。Suciuのことも、Ishodのことも俺は個人的に知らないけど、この二人はずっとプロでい続けると思うよ。



もう一つの要素としては、一度にやりすぎるなってことだね。ほとんどの人はどういう風に、ビデオパートを残していけばいいかってことを理解していない。たった一つのビデオパートのためだけに、自分の全てを賭けて自殺行為をするなってこと。それから先も(キャリアは)何年もあるんだぜ?うまく分散させないと、パートを追いかけ続けることになるよ。クレイジーにスケートするんじゃなくて、賢くスケートして、どういうトリックをやるのかを、ある意味戦略的に考えるんだ。あんまり早く自分が持ってるものを出し切っちゃうと、4年くらいで君のパートは下り坂になっていくよ。今までもクソヤバい奴らは登場してきたけど、4年間のうちに3回膝の手術をしたりして、それっきりさ。ものすごいパートを残す奴らっているけどさ、それから5年間次のパートが作れないなんてことになっちゃダメだよ。俺的に、そういうのは賢くない。

スケートって時代によって色々あるけど、今の時代(2010~2015年)はどういう時代だったって将来言われると思う?

うーんどうだろう?今は色んな事が起きてるからね。トラニー(パーク、プール系スケート)の人気が復活してすごい勢いだし。すごくいい質問だね。今の時代が将来どういう時代だったって言われるか?「Hodgepodge(ごちゃ混ぜ)」かな。(笑)最初に頭に浮かんだのはこの言葉だね。二つ目は、「Survival of the Fittest(適者生存)」。昔からのプロにとっても、新しいプロにとっても、アマチュアにとっても、みんなに厳しい時代だよ。今これからプロになろうってキッズはかわいそうだね。むちゃくちゃ大変だよ。


Mobb Deep "Survival Of the Fittest" Remix


2014年1月13日月曜日

Alex Olson Interview by JENKEM


JENKEMに掲載されてたアレックス・オルソンのインタビューです。
リクエストあったので訳しました。

どうしてガールを辞めたのか、さらにどうしてブライアン・アンダーソンの3Dまで始まる前に辞めてしまったのか、そして自身で立ち上げるという新ブランドについて話してます。

なかなか面白いです。けっこう共感できます

彼のゲイ疑惑ははっきりしませんが、ブライアン・アンダーソンは確定っぽい気がします。


元記事↓

JENKEM↓


アレックス・オルソンが3D Skateboardsを辞めると聞いたときは、クソ野郎だと思った。2か月前に彼はGirl Skateboardsを辞め、ブライアン・アンダーソンの立ち上げた新しいカンパニー、3D Skateboardsに加入したばかりだった。そして今、3Dの最初のボードもリリースされないうちに、3Dも辞めてしまった。これはインスタグラム上で騒ぎを起こして楽しんでいるだけなのか、それとも何かの変なドッキリなのか。Alexに電話で話し、物事の真相を聞くことができた。

5月に君はガールを辞めたよね。辞める時はうまくいった?

いや、あんまり。ていうか、誰だって他の人からダサいとか言われたくないだろ。別に俺がマジで「お前らダサいんだよ!」なんて言ったわけじゃないけど、俺は彼らに自分が感じていることを正直に伝えたんだ。言われたほうにしたら、そういうのを受け入れるのは難しいよ。彼女から別れ話をされて、その理由を聞かされてるようなもんさ。最悪に決まってるじゃん。彼らにその話をするのはマジでキツかったよ。だって、彼らが俺のことを信じてくれて、いろいろと手助けしてくれたおかげで今の俺があるんだからね。

どうして辞めたかったの?

俺が小さい頃から見てきたスケーターたちは、もう既にガールのライダーじゃなかったり、スケートをしてなかった。ジノ、スコット・ジョンストン、ブライアン・アンダーソンとかね。彼らは単純に年を取ってしまったし、俺は年齢的にチームの真ん中にいて、自分と同じ年頃のライダーがいなかった。他のライダーはみんな俺よりもだいぶ若いし、チームの中で自分がまるで態度の悪い厄介者のように思えたんだ。若いやつらは最近酒を覚え始めたばかりでさ、俺もそれに付き合ったりしたけど、なんだか立場的に微妙な感じになっていったんだ。「Pretty Sweet」の扱われ方も好きになれなかったし。まあ、それはそれだけど。彼らはああいう風にする以外、他に選択肢はなかったしね。タイ(エヴァンス)はフッテージを人質にとって、彼らがフッテージで何かやろうとするのを妨げていたみたいで、どうにもならない感じになってた。ある意味かなり強引なやり方だったよ。彼らの責任じゃないけどね。俺は別に悪口を言おうとしてるわけじゃなくて、単純に出来上がったものが「製品」っぽいんだよね。(Pretty Sweetに)参加できて有難いとは思ってるよ。キッズたちはこういうビデオを観て、そしてキッズたちの人生が変わるんだからね。そういう面からみると、Pretty Sweetみたいなプロジェクトに参加できたのは素晴らしいことだよ。俺らが子供のころに観たパウエルのビデオや、アニマル・チンみたいなもんさ。

ガールのチームでは、誰と一番つるんでたの?

ブライアン(アンダーソン)だね。だからブライアンがガールを辞めるって言ったとき、俺が残る理由はもうないな、って思ったんだ。俺がかっこいいと思う人はブライアンと、あとマイク(キャロル)くらいだった。マイクはアートや音楽に興味を持って楽しむことができる人で、そういうことにオープンだったけど、他のライダーはそういうのに興味がなかったり、オープンじゃなかった。



でもせっかくブライアン・アンダーソンと一緒にガールを辞めて、彼の新しいカンパニー3D Skateboardsのライダーになることになっていたのに、それもまた辞めちゃったね。

オーケー、3Dについては、Pretty Sweetの撮影をしているときから話してたことで、もし新しい会社を立ち上げるならっていうアイデアを出し合って楽しんでたんだ。それから1年が過ぎて、ブライアンから自分の会社を立ち上げるからライダーになってほしいって話を聞かされたんだ。それで俺は「もちろん!君がガールを辞めるんなら、俺は君のライダーになるよ。君は俺がガールに乗ってる理由の一つなんだから」って言ったんだ。そしてブライアンは会社を立ち上げ、俺はただ彼を信じるだけだった。彼のビジョンとか、クエイティブの方向性とか全部をね。

で、長い話を短くまとめると、3Dはなんだかガールと同じように見えたんだ。俺としては、Palaceがやってるようなことをやりたいって考えてた。そっちのほうがかっこよく思えたんだ。俺たちは別のビジョンを持ってたんだよ。ブライアンは安定した何かを求めていて、俺は何か実験的なことがしたかった。それで俺はブライアンに、「君は自分のやりたいことをやって、俺はそのお蔭で生活できるって感じだけど、俺もそうしたいんだ。俺も自分のカンパニーを始めたい」って言ったんだ。ブライアンは俺の親友だから、「迷惑をかけたくないから、辞めるなら今のほうがいいと思う。2シーズンとか経って俺が3Dに深く関わり過ぎてしまう前に」ってことも話した。俺はもうちょっと変わった感じのものが欲しかったんだ。個人的に、スケートは今すごく代わり映えしないものに感じる。だから小さなボードカンパニーが生まれている、今の流れはとてもいいと思うよ。

もしPalaceのチームから誘われたらどうする?それとも自分で一から全部を始めようとしてるの?

全部一から始めようとしてる。もう基本的に動き始めてるよ。おかげでモチベーションも取り戻したしね。だからガールを辞めたってところもあるんだ。Pretty Sweetが終わってから、全然滑らなくなってた。5ヵ月くらい板に触れさえしなかったよ。だから何か新しいことを始めれば、モチベーションが上がってスケートしたくなるだろうって思ったんだ。James Murphy(LCD Sound System)のビデオをたくさん観てたんだけど、彼はツアーだったり一度ついてしまった自分のイメージだったりが嫌になってしまって、自分の人生を取り戻すためにバンドを辞めたんだけど、俺も似たような感じだなって思った。だからそれからも少し影響を受けてるね。俺は何かクリエイティブなことがしたいんだ。スケートの外からの影響をスケートに持ち込んだり、スケートをまた別の何かに持ち込んだりしたい。同じような焼き直しの曲やダンスにはちょっと嫌気がさしてたし、俺はPalaceのビデオが好きなんだよね。俺の好きなスケートを表現してるんだ。Polarもだね。超難しいことをやろうとするんじゃなくて、もっとリアルなスケートなんだ。

たしかに。

ひとつのトリックをメイクするのに7日かかって、やっとメイクったと思ったら、同じような難しいトリックをあと15個やんないといけない、とかじゃなくてね。もしかしたら俺が怠け者なだけなのかもしれないけど、Mouse(1997年のGirlのビデオ。クラシック)のアップデート版みたいなのを観たいんだ。それだと進歩にならないっていうのも分かってるけど、俺はただノーマルな良いスケートが見たいだけなんだ。どういうラインかに関係なく、AVE(Anthony Van Engelen)がラインをやってるのを見るほうが好きだ。Crailtap(Girl、Choco、Lakaiのこと)が小さなビデオを出すときは、君はアガると思うんだ。単純にスケートだからね。死ぬほど難しいこととかをやるわけじゃないから、身近に感じることができる。今のスケートってのは奇妙だよ。みんな「俺はメイクするためにこんなに頑張ったぞ!見てくれ!」みたいなメンタリティなんだよ。そしてそれが進歩で、それもいいけどさ、俺はスケートして楽しんで、そしてそういう楽しいところを見せたいんだ。今のスケートからは音楽やクリエイティビティの側面がどこかに行ってしまっていて、みんな「一番売れているもの」の焼き直しばかりだよ。たとえばマリファナの葉をのせれば物が売れるから、みんな作ってるんだ。アメリカや企業ってのはそういうもんさ。「iPodが売れてるらしいな、俺たちもMP3プレーヤーを作らないと」ってね。

5パネルのキャップやバケットハットとかもそうだね。

その通りだよ。「あいつら上手いこと稼いでるな、俺らもやろう」って感じさ。俺はそういうのが嫌なんだ。マジでそういうのから離れたい。俺はレコードをたくさん買うんだけど、たくさんのDJがディスコソングをリミックスしててさ、そのリミックス曲のホワイトレーベルのレコードが200枚しか出てなかったりするんだよ。リエディットものってマジで見つけるの大変なんだけど、そういう限定の、手に入る時にしか手に入らないものに魅かれるんだ。それがけっこう大事な部分だったりする。クオリティの高いものを作るんだ。そしてもしすごく売れるTシャツがあったとしても、同じTシャツの色違いを5つも作ったりなんてことはしない。そういうのは好きじゃないんだ。正直イラッとくる。クオリティの低いTシャツで経費を最小限に抑えて、最大限に儲けよう…みたいなメンタリティは今じゃマジで馬鹿だよ。俺からしたらさ、どうしてプレミアムなものを作らないんだろう?って思うんだ。クオリティが高ければみんな買うだろうし、いいものだって分かってるんだから、次もまた買うと思うんだ。



バイナルのレコードの売れ方を見て、俺はそう思ったんだ。もちろん大きな市場じゃないけど、俺は別に大企業になりたいわけじゃないし、売上とかも気にしない。俺が気にするのはかっこいいものを作るってことで、それで会社を維持することができたらそれでいいよ。面白いビデオを作りたい。もしナイキからパートを作るように言われたら、全力で気合入れたパートを作るよ。でもその一方で、よりクリエイティブなものにもしたい。安っぽいありきたりな風に聞こえるかもしれないけど、今俺がスケート界に感じているのはこんなところかな。音楽はスケートの世界で失われたものの中でも大きいよ。俺はそれを取り戻したい。今じゃ音楽とスケートって全然リンクしてないだろ。悲しいよ。

俺は若いキッズに音楽を紹介することができる。キッズたちはただ単にShazamを使って音楽を探す、なんてことはできないんだ。俺は音楽のそういうところも好きなんだ。これは若い奴らに音楽のジャンルを紹介するようなものなんだよ。ベタな言い方だけど、深いところでは、それが俺のアイデアなんだ。たとえばPalaceはセオ・パリッシュのようなバイブスを持ってる。俺はDJハーヴェイみたいなバイブスが欲しい。なんだかPalaceからかなり影響されてる感じだけど、俺と彼らはだいたい同じ年代で、だいたい同じような音楽が好きなんだよ。

君の会社を立ち上げるのに、手助けしてくれる人はいるの?

財政的なこととかを手助けしてくれる友達がいるよ。クリエイティブな部分は俺がソロでやる感じ。もしキッズたちが自分たちのやってることとかを俺に送ってくれて、俺がそれを気に入れば、キッズたちはそのバイブスを感じるし、俺も最高さ。ていうか、これって基本的にPalaceのパクリだね。(笑)残念ながら。Lev(Palaceの創始者)には、彼からインスピレーションを受けて、自分の会社を始めようと思ったってことをちゃんと話したよ。あとPolarもだね。他の人の気に障るようなことはしたくないからさ。

新しい会社の名前とかって決まってるの?White Labelとかってどう?

それ俺も思いついたんだけど、ちょっとそれだとBlack Labelに似すぎなんだよね。名前を考えるのってマジで超大変だよ。でも同時に名前なんて大したことないんだけどね。何にせよその周りのものがブランドのアイデンティティを作っていくわけだから。イメージが先に来て、名前はほとんど二の次になる。


別のインタビューで、スケートに一時期飽き飽きしていたけど、自分のブログのおかげでやる気を失わずにすんだって言ってるのをみたけど、どういうことなの?

自分のことを気にしてくれてるってわけじゃないけど、何かしら興味を持ってくれてる人がいるってことに気が付いたってことかな、たぶん。その頃ってのはちょうどVansのライダーになったばかりの頃で、ニューメキシコへのツアーがあったんだ。そのツアーにはDaniel Lutheranもいたんだけど、どうやら俺は彼に対して嫌味な感じだったみたいなんだ。ニューメキシコって何もやることないからさ、感じ悪くなっちゃったんだ。俺は嫌なクソガキだったんだよ。

そのツアーから戻ったら、Vansのクリエイティブ・ディレクターから電話がきて「おい、一体何だっていうんだ?お前全然ツアーに乗り気じゃなかったらしいじゃないか。いいか、これはチャンスなんだ・・・」とかなんとか言われたんだ。その電話でヤラレちゃってさ、もし明日Vansをクビになったとしたら、俺はどこに行けばいいんだろう?トレードとかも何もない。自分の拠り所を持つには何をしたらいいだろう?って考えだんだ。それで写真を撮り始めて、ブログを始めてキッズたちからの質問に答えるようになって、そこでキッズたちから励まされたんだ。実際に俺のことを気にかけてくれるキッズたちがいるんだよ。そこから、俺はこれに背を向けちゃいけないってことに気付いたんだ。その頃の俺は、スケートがもうクリエイティブなものじゃなくなってしまったってイラついててさ、でもまだ23歳で、ちょうど大人になり始めの時期だったんだよね。

同じインタビューで、スケート業界のこともずっと気に入らなかったって言ってたけど、特にどういうものが気に入らないの?

すごくコントロールされてる感じとかが嫌だね。わかる?たぶん俺は80年代とか90年代を美化しすぎてるんだろうけど、それにしても昔はみんなクリエイティブだったと思うんだ。でももしかしたら、今と別に変わらないのかもしれない。同じだって言う人も当然いると思う。俺はいつもLord Of The Flies(邦題:蠅の王。小説)を引き合いに出すんだけど、当時はキッズが業界を支配していて、誰も気にしてなかった。誰も金なんて稼いでなかったから、もっとクリエイティブだった。今は誰も選択肢を持ってない。選択肢を持っている人にとっては・・・

君は反抗的な奴らが好きなんだね

その通り。今じゃもう誰も選択肢を持ってない。スケートコンテストに行けば、みんなドラッグでキマってるみたいに全員がハッピーだ。トムクルーズの嫁がロボットになっちゃう映画ってなんだっけ?Stepford Wivesだっけ?(訳注:ステップフォードという町に引っ越した主人公が、その町の住人の妻たちが皆、判で押したように完璧な妻であることに気付くところから始まるコメディ・ホラー)

「アレックスは甘やかされたクソガキだ。自分がどんなに素晴らしい会社を辞めたのか分かってない」みたいなコメントを読んで、悩んじゃったりする?

そういうコメントをしてくる奴らは俺のことを知らないのに、なんで俺のことを気にするんだろう?別にそういうコメントは全然気にならないよ。一度も会ったことがないんだから。もし俺のことをそれなりに長く知ってる人からそういうことを言われたら、もう少し影響されると思うけど。でも、全然分かってないのに俺のことを既に嫌ってる人もいる。たぶんジェラシーなのかな、それか、もし自分が同じチャンスを与えられていたら、もっと違うようにやってたのに、って思うからかなのかな。別にいいけどね。人それぞれ意見があっていい。たまにそういうコメント読むのって楽しいよ。

君のお父さん(Steve Olson)は、君の決断を応援してくれてる?そもそも彼に話した?

親父に3Dを辞めて、自分の会社を立ち上げるって話をしたとき、「おおいいじゃん、お前が何をやろうとも応援するぞ」って言ってくれたよ。親父は俺を110%応援してくれてる。もし俺が明日性転換の手術をするって言ったとしても、たぶん「それがお前のやりたいことなら、いいと思うよ」って言ってくれるよ。

君の新しいブランドで、お父さんにゲストアートとかやってもらう?

いや、ゲストアートの前にゲストパートだね。年取ったライダーのチームってのも考えてみたんだ。親父と、あとScott Oster。彼らに選択権はないよ。もうチームの一員さ。

他に新しいブランドのことで、話せることってある?

ブライアン・アンダーソンから、Fire Islandって本を買ってもらったんだけど、それが新しいブランドの雰囲気になるかな。人によってはトゥーマッチかもしれないけど。ざっくり言うと、Fire Islandっていうゲイのための大きな場所があって、そこに行けばゲイたちは自由にくつろげて、他人にゲイだってことを知られることを心配する必要もないんだ。それはLong Islandにあって、そこではゲイの人たちみんなオープンにゲイでいられるんだ。そして彼らは普通の仕事をして、誰にも彼らがゲイだってことを知られない。マジでクレイジーで、そして少し悲しい話だよ。彼らのほとんどはエイズが大流行したときに死んでしまったからね。クレイジーな時期の話なんだけど、俺はすごく興味があるんだ。

ってことは、君のカンパニーはすごくゲイな感じになるの?

すごいゲイな感じにはならないけど、同性愛差別と対極のものにはなるね。スケートの世界は完全に男の世界だけどさ、スケーターの中にもゲイは結構たくさんいるはずなんだ。ゲイだって知られてるプロが3人かそこらなんてことはあり得ないよ。だって一般に10人に1人はゲイだって言われてるんだぜ?今どのくらいの数のスケーターがいると思ってるんだ?将来スケーターの同窓会があったとして、みんな45歳くらいになっててさ、そこで「俺ゲイなんだ!」って言ってくれたらいいなと思うよ。

プロスケーターのキャリアの最中で、ゲイだって公に言うプロっていると思う?

わかんない。でも必要だよ。みんなが知るべき事のひとつだよ。(カミングアウトすることは)その人を強くするし、より多くの人にアピールできる。他のプロアスリートとかじゃカミングアウトする人たちがいるのに、スケーターには一人もいないなんて馬鹿げてるよ。(カミングアウトしても)悪いことなんて起きないし、スポンサーが付かなくなることもないし、チームを追い出されるなんてこともないよ。もしそんなことが起きたら、それはそいつらが逆に問題だよ。馬鹿な話さ。この業界はこんなに大きいのに、誰ひとりカミングアウトしてない。クレイジーだよ。

最後に、もうスケートなんて全部やめてしまおう、とか考えたことある?

そうだね。ていうか、だからクソくらえって言うんだよ。俺は自分のことをやる。もしそれが上手くいかなくても、俺は挑戦したし、自分ができるあらゆるスケートてのをやったし、スケートの全ての部分を見てきた。そして結局人は自分ができることしかできないんだよ。だから別にそんなに不安にもならないし、人生は続いていくし、スケート以外にも世の中には色んなものがあって、俺は他のことにも興味があるんだ。とは言っても俺はスケートを続けるけど、それは必ずしもスケートでお金を稼がないといけないってことじゃない。スケートは俺が生きていく上でやっていくもので、誤魔化したりウソをついたりする必要なんてない。もし明日スポンサー全部を失ったとしても、たぶん俺はスケートを続けるし、自分が作りたいものを作り続ける。人からサポートしてもらえれば有難いけど、してもらえなかったとしてもどうってことないよ。セラヴィ(フランスの慣用句で「人生なんてそんなもん」みたいな意味)さ。もしかしたらIn-N-Out(ハンバーガー屋)で将来働いているかもしれない。誰にも分からないよ。