2013年12月4日水曜日

Marc Johnson Interview by JENKEM

JENKEMに載っているMarc Johnsonのインタビューです。
長いけど、面白いので読んでみてください。

元記事↓

JENKEM:



このインタビューは、JENKEMが始まって以来の、一番長く、パーソナルで、そして最も誠実なインタビューだ。メールでやり取りをして、マークはこちらからの質問全てに、詳しく、正直に答えてくれた。まるで長年付き合ってきた友達に対するように。会社経営の経験、10以上のフルパート、20年以上のスケートボーディングを持つマークほどに、スケートのことを知っている人間はあまりいない。長いインタビューだが、あまり語られることのなかった色々な事を知ることができるだろう。

ブライアン・アンダーソンがGirlを辞め、ジェイソン・ディルとAVEがAlien Workshopを辞め、他のブランドもチームの再編が始まっているね。どうしてみんな急にこういう劇的な決断をし始めたんだと思う?こういうメジャーなチームの変化はスケートボーディング全体にどういう影響を及ぼすと思う?

どうして上に挙げたようなスケーターたちが「劇的な」決断をし始めたのかを、ストーリー形式で答えてみるね。それはこんな感じだ:

君は家を建てる大工だとしよう。誰かが電話してきて、彼らの家を建てる仕事を持ち掛けてきたとする。彼らもハンマーやのこぎりの使い方を知っているが、彼らだけで家を完成させることはできない。それで、腕のいい大工を雇って、彼らの家を完成させようってわけだ。そのほうが簡単だからね。みんなで作業を分担して、何年か経って家が完成する。そして家が完成したとき、君の仕事も終わる。

終わりだよ。完成した家に戻って、そこに住んだり、住むまでいかなくても、そこで寝ようとしただけでも君は放り出されてしまうだろう。「でもこの家を建てたのは俺だ!」と君は言うかもしれないが、そこでオーナーは言うんだ。「そうだな、でも俺はこの家を建てるための給料をお前に払ったんだよ。もう家は完成したんだ。出て行け」ってね。分かるよね?オーナーが正しいんだよ。君は彼の家を建てただけなんだ。自分自身の家ではなく。

みんな他人のために家を建て続けることが嫌になって、自分たちの家を建てたくなったんだろう。家を建てるために必要な経験はもう確実に持っているからね。スケートボーディングの経験がある人間によって立てられた家がもっと増えるべきだ。ビデオパートの撮影や、クソみたいな奴らに指示をされながらクソみたいなツアーに行くことがどういうことかとか、そういうことを知ってる人間によって建てられた家が増えるべきなんだよ。スケートと共に地獄を経験した人たちさ。スケートを使って大金を稼ごうとしている奴らじゃなくてね。奴らはスケートで大金を稼いでいる間にも、スケーターの顔にでっかいクソを垂れて、契約を繰り返し、会計報告を操作し続けているんだ。だから(自分たちの会社を始めようとしているスケーターには)「やれよ!」って感じだよ。スケートボードはスケーターたちのものだ。


昔のインタビューで、君はこう言っていたね。
「スケートボーディングにハマる理由に、ルールに従ったりするのが嫌だからってのがあるけど、今の俺たちを見てみろよ、ルールばっかりじゃないか。これはやっちゃいけない、このトリックはダサい、とかね」
でもスケートって昔からそういうものじゃなかったかな?どの時代にも、何がアリで何がナシか、特有のルールがあったよね。

そうだね、ぶっちゃけその通りだよ。スケートに本来ルールはない、だけどスケートボードのコミュニティの中では、暗黙のルールってのが常に存在してきた。こういうルールってのは、他の物事と同じように変わっていくものさ。ぶっちゃけ今のスケートの状態ってのはすごくいいよ。何がクールで何がクールじゃないかを、16歳のガキが決めてスケートボードの幅が狭くなるような時代は終わったんだ。16歳のガキどもがスケートを支配してるのを想像できる?90年代初期ってのは実際そういう時代だったんだ。特定のトリックや決まった格好をしてないと、スポンサーは付かないし、スポンサーが付いていてもチームから外されてしまう。バーチカルのスケーターたちが最初にそれをくらったよ。それから他の多くのストリートスケーターもね。年月を経てスケートボーディングは本当に変わったよ。昔はスケーターでいるってことはクレイジーな時期だった。今は、もっと広がりがあっていろんな種類のスケートが受け入れられ、プロモートされサポートされている。これからスケートの会社は沢山の違ったタイプのスケーターをサポートするようになっていくよ。

今でも暗黙のルールってのはあるけど、前よりもゆるいし、誰かイケてる奴が出てきてやってしまえばそのルールは簡単に破られる。何がクールかってのは常に変わっていくものさ。面白いのは、おおっぴらに何かや誰かを嫌ってる奴らって、流行のおかげでその嫌ってたものや人物がアリになったら、すぐに流行りに乗っかるんだよ。ヘイターから大ファンに一夜で変身さ。そいつらがどんな奴らか分かるよね。スケートボーディングはそんなことばっかりだよ。こういう馬鹿たちと付き合っていかないといけないんだ。家畜の思考とね。ボルトロン(ロボットアニメ)みたいに合体しないと、考えひとつ自分では決められないんだ。こういう奴らはマジでジョークだよ。こういう奴らが流行に乗っかりたがるのは、スケートボードのシーンで自分の小さな居場所を確保するためだったり、スケートボーディングに対して自分では何も貢献するものを持っていないからなんだ。奴らは居場所を確保して、大多数の意見にただ頷いているだけ。大好きから大嫌いに一夜で変われるし、大嫌いから大好きにも一夜で変われる。そういったことが奴らの顔に出るのを見るのは最高さ。アホ炸裂だよ。


君はストリート・リーグが始まって最初の年には出場していたのに、それからは出なくなったね。何があったの?

クビになったんだよ。Pretty Sweetの撮影中に足首をやっちゃってね。Drydekはアシスタントを使って俺をクビにしたよ。クビになって良かったけどね。ストリートリーグでいい成績を残してるみんなに対してはおめでとうって気持ちだけど、俺個人はああいったTVだったりルールだったり条件だったりと付き合うのは御免だ。最初のシーズンは、今まで会ったことのない奴らともスケートできたから楽しかったけど、俺的にはああいう感じのものは違うんだ。ストリートリーグ的なものと俺のやってることは関係ないね。

スケートのために、ステロイドとか、他のいろんな “パフォーマンスを向上させるためのドラッグ”に手を出してみようと思ったことはある?コンテストのためとかパートの撮影のためとか?試してみなって言われたことってある?

イエスだよ。特定のビデオのために、パフォーマンスを向上させるためのドラッグに手を出したことがある。監禁されてるような状態でスケートするために、ビールとウイスキーを飲んでた。ビールとウイスキーは人から飲みなよって言われたんだけど、赤ワインは俺のアイデアだ。酒が必要だったのは今では恥ずかしいけれど、でもある程度はそれで救われたんだ。自分の人生の中でも最もタフな時期のひとつを乗り切るためにね。こんなこと言っちゃったら(2007年に獲った)スケーター・オブ・ジ・イヤーが無効になっちゃうかな?もう長い間シラフだけどね。

どうやったらそんなに謙虚でいられるの?

俺は自分で自分のことを謙虚だなんて思ってないよ。ただ、自分がプロスケーターだからとかその他の理由で、自分が他の人たちよりも優れているだなんて思わないんだ。大きな目でみたら、俺なんて特別でも何でもない。俺は俺でしかないんだ。みんなそうだよ。誰だって間違いを犯すし、誰だって可能性を持ってる。俺は沢山の間違いを犯してきて、そしてそれに気付いて、犯してきた間違いから学ぼうと努力しているんだ。賢い人たちは良い選択をする。だから賢い人なんだ。謙虚な人っていうのは、自分で何もかもを分かっている訳じゃないってことを知っていて、それを受け入れて、より良い人間になろうと努力する人だ。馬鹿であることを誇りに思ったりしちゃいけない。馬鹿であることをやめるために真面目に努力することを誇るべきだよ。


君の家族について殆ど聞いたことがないんだけど、昔君は「自分には基本的に家族はいない。生物学的に俺の親は俺を身ごもったわけだけど、その俺を生んだ人たちは俺のことを屁とも思ってなかった。だから俺に家族ってのはいないんだ。」
それから家族とは連絡を取るようになったりした?今自分自身が父親になって、自分の家庭を築いていく上で、そういう身の上ってのは影響してる?

自分自身は家族的な経験ってのが殆どないんだ。親戚のほとんどはもう死んじゃったし、他の知ってる親戚とも連絡を取ったりはしてない。子供のとき、俺の親父は何もしてくれなかった。めちゃくちゃ貧乏だったよ。でも親父の家族は金を持ってた。金持ちだったんだ。でも俺の親父はイカレてたから、親父の家族たちは俺らとは距離を置くようにしていた。親父が失踪して俺らが全然食えてなかったとき、俺の母親は、ばあちゃんから「あんたたちは私にはもう関係ないから」って言われたし、妹と俺はとんでもない期待はずれに成長したなって言われた。むちゃくちゃだよ。親戚とは常に一方通行で、連絡をとるには俺たちから電話をするか、向こうに出向いていかなきゃならなかった。そして何も返ってこなかったよ。そして連絡することをやめたんだ。あの人たちは忙しいんだろう、たぶん。色々と素晴らしい家族ってのも知ってるし、家族ってのは素晴らしいものになれるってのも分かってる。ただ、俺はそういう家庭に生まれなかったんだ。でも気にしてないよ。いつか俺自身の家族を持つんだ。

もし、大企業のスポーツブランドが、今君が受け取っている給料の2、3倍の給料を払うって言ってきたら、Lakaiを辞めて移籍する?

オーケー、それはNOだ。俺はメインストリームのスポーツシューズブランドのチームには入らないよ。俺は大企業のシューズブランドのためにスケートしたりしない。

どうして?

大企業は規則を設けていて、スケートショップはその大企業ブランドの人気のあるモデルを取り扱いたいなら、強制的に他の全てのモデルも取り扱わなくちゃならないんだ。強制的に、大企業のモデルの全てを取り扱わないといけないんだよ。もしこれらのシューズが売れなかったら、スケートショップはその大企業に借金している状態になって、借金は店が潰れるまで増え続けるんだ。ローカルのスケートショップは大企業に大きな借金ができ、それをなんとかするために、その人気のあるモデルを売り続けなくちゃならない。そしてもっと深刻な借金状態に陥っていくんだ。なぜなら他のモデルが全く売れないからさ。誰も欲しがらない。でもスケートショップは強制的に他のモデルを取り扱い続けなくちゃならない。ひとつの人気モデルを売ることができるようにね。こうなったらスケートショップ側にはどのモデルをオーダーするのかの選択権はない。ランダムにシューズがショップに送られてきて、オーダーしてもいないモデルのために、ショップは大企業への借金をどんどん増やしていく羽目になるんだ。
一体どんな奴がスケートショップにそんなことをするんだ?

明らかに、スケートショップやスケートボーディング、スケーターのことを考えていない奴らさ。最悪だよ。スケートシューズのブランドはスケートショップにそんなことはしない。スケートシューズブランドはスケートショップに、どのモデルを仕入れたいかを選んでもらう。スケートシューズブランドは、スケートショップにやりたくないことをやらせたりしないし、ショップを強引に借金隷属状態に追い込んだりしない。



スケートシューズブランドが今苦戦している理由は、何人かの人間が大企業のシューズブランドに「YES」と言ってしまったからだよ。何人かが大金を手に入れることを選んだら、他のやつらもどんどん同じことをし始めた。これらの大金を選んだ人たちは、俺たちのスケートボーディング業界で、大企業ブランドをアリにしたんだ。何人かのプロたちは大金をもらって、大企業がスケートボーディングに参入してくることを後押しし、そしてキッズたちはそれを見て、「○○が大企業を支持してるんだから、大企業ブランドってクールなんだろ?」って思うようになる。キッズたちはスケート人気がなかった時期、大企業たちがスケートボードになんて触れようともしなかった頃を知らないんだ。

大企業たちはスケート業界に沢山金が流れていることを見つけるまで、スケートボードのことなんて気にもしていなかったよ。スケートに関わっている会社を合わせると、とんでもない額の金が生み出されている。最近はスケートをするキッズってのは腐るほどいて、若い奴らのやることとしてスケートボーディングは広く受け入れられている。スケートのプロダクトを売るビジネスに関わっていれば、とても儲かるんだ。スケートボードは本当にメインストリームなものになってしまって、スケートをしない人でもスケートに関係する服やシューズを買うようになった。

ユースカルチャーはマジで儲かるビジネスなんだ。そしてスケートは今ではユースカルチャーの大部分を占めるようになった。多くの企業がスケートパークにリムジンで乗り付けてきて、小切手を切るんだ。なぜならリスペクトされたプロスケーターたちが「クールだ」とキッズたちに伝えない限り、誰も大企業のことなんて気にもしないからさ。だから大企業はプロたちに大金を払い、プロたちはその数字を見ながら「こいつは小さいシューズブランドに在籍したままだったら一生お目にかかれない金額じゃないか。自分にとって最善の選択をしないと」って言うのさ。
もう一回読んでくれよ、そいつらは「自分にとって最善の選択をしないと」って言うんだ。


でもこれは理解できるよ。だってさ、10年15年も階段飛んでさ、それでギリギリいろんな支払いができるくらいの状態のときに、スーツ着てネクタイ締めた奴らに雇われた、スケーターの格好をした奴がやってきて、100年たってもお目にかかれないような金額を提示してくるんだぜ?たいていの奴がそっちに行くだろ。自分にとって最善を尽くさないと。そうだろ?だからきっと、君でもその金を選ぶよ。

プロでいられるのは平均して5年だ。ほとんどのプロは、2つくらいのビデオパートと、昔の自分の古いプロモデルで一杯になった部屋以外、何も残っているものがない状態でスケートシーンから姿を消していく。スケート外の世界で通用するものなど何一つない状態で社会に放り出されるんだ。そして手元に残ったものの中でも最も少ないものが、金さ。一度使い物にならなくなって、売れなくなったプロのことを会社が気にしてくれると思うかい?あり得ないよ。スケーターは自立しなくちゃならない。君の好きなプロスケーターの将来なんて、どこの会社も気にしちゃくれない。そういうもんさ。俺は23年間それを見てきたよ。

クビになったら、プロスケーターってのは大抵何もない状態でスケートシーンから消えていく。特に、現実社会で仕事を見つけられる経験やスキルなんてない。スケート以外何も学ばないままプロの期間が長くなれば長くなるほど、スケート業界以外では必要とされない存在になっていく。ある時期までくると、実質的にスケート業界の外では雇ってもらえないようになる。どうにもならない状態さ。自分の好きなもののために何年もの歳月を費やしたおかげで、スケートボードが終わった後の準備をする時間がないんだ。

どういう風になろうとも、一度会社が必要としなくなったら、会社はプロを切る。そのプロが去っていくときに、侮辱して追い出すときだってある。その後そいつがどうなろうと知ったこっちゃない。会社の問題じゃないんだ。プロスケーターたちは、ステアを飛んだりハンドレールに突っ込んだりっていう、自殺行為をしながらその会社を「クール」にし、全てを会社にささげて、そしてそれが終わったら自力で生きろって言われるんだ。会社はプロに素晴らしいスケートをさせるために少しばかりの金を払い、プロは自分が夢見た生活をしばらく味わって、それが終わったら使い物にならなくなる。


だからみんなが(大企業の)金を選ぶのは不思議じゃないよ。みんな自分の友達だったり同僚たちがコアなスケート会社からひどい扱いをされるのを見てきてるんだ!もらえるときに金をもらい、そしてスケート会社から放り出されたときのために、別のなにかを用意しておくんだ。

コインの裏表だよ。正直、今まで出会った中で一番いかがわしくて、ケチで、強欲で不誠実な奴らってのは、“コア”なスケートの会社を運営している元スケーターたちだったよ。ただ単にその会社が“コア”だからって、それを運営しているのがいい人たちだってことにはならない。そいつらだって、大金を稼ごうとしている人間であることに変わりはないんだ。自己中のクソ野郎どもが昔何年間かスケートしてたなんて、そんな事実は何の意味もない。そして多くの場合、こういう元プロたちってのはクソ野郎だ。

大企業が、きっと彼らだけでは実際のスケートを通して得ることなんてできなかった、スケートシーンへの道とストリートからの支持を得た今となっては、“コア”な会社は重い腰を上げて、姿勢を正さないといけなくなった。大企業ってのは実際、ビジネスに長けてるんだ。大企業ってのはそういうことのトップだよ。彼らはビジネスを効率的に、徹底的に行い、プロスケーターたちに、彼らの実際の価値により近い金額を、喜んで払う。「スケーターは馬鹿だから、与えるものならなんても受け取る」なんて考えて、払う金をごまかしたり、低く見積もったりせずにね。大企業は、“コア”な会社を倒産の恐怖に追い込んでいる。だから“コア”な会社は今こそビジネスを適切に行って、努力をして、自分のところのライダーたちをきちんとケアしなくちゃならない。昔みたいに「俺たちはスケートボーディングの人気ブランドだ。別にライダーたちに良くしたり、ケアする方法を知っている必要なんてない。ケアする必要もない。ファックだ。だいたい他にこいつらは行くところあんのか?」なんてことはもう通用しない。今ならスケーターたちは大企業ブランドに行ける。それを“コア”なシューズブランドは恐れているんだ。

コアなブランドは調子に乗りすぎて状況について行けてなくて、頭を働かせるのが遅かったんだ。ナマケモノと一緒で、こういう大きなコアなシューズブランドは、大企業がやってきてライダーたちを盗んで行った間に、寝てたんだよ。コアブランドは、車のヘッドライトに照らされてどうしていいか分からないで突っ立っている馬鹿な鹿みたいに、自分らのポリシーの中ではすぐに変わることができなかった。今ではみんなが「スケーターが運営している会社です」っていう旗を振って走り回っている。

大企業のシューズブランドが参入してきてコアなブランドの立場を脅かすようになる前は、誰も「スケーターがやっている」かどうかなんて気にしてなかった。大企業がスケーターたちを、本当にプロフェッショナルなアスリートとして扱うようになる前は、コアブランドのビジネスがどういう風に行われてて、ライダーとの関係がどうなっているのかなんて、誰ひとり気にしちゃいなかったよ。昔は、ローカルスケートショップのオーナーのリビングの床にピザとコーラが転がっている頃、コアブランドのオーナーはビーチ沿いの家でピニャコラーダを飲みながら、次のセールス会議の話をしているような感じだったんだ。

大企業はスケートショップや他のブランドを、シンプルに強欲から潰そうとしているのかもしれない。でも大企業は自分のところのライダーの面倒を見るし、彼らがやるべきことをやる助けをしてくれる。ぶっちゃけやりすぎなくらいだよ。今は、プロスケーターとしてはとても変な感じの状況になってる。スケートボーディングの生命線の大部分を犠牲にして、自分の利益を考えるか、それとも生命線、つまりスケートショップをサポートして、より健康的なブランドと小売店の関係を築くことを考え、少ない給料でよしとするか。どっちにしろスケートはするんだからね。


どっちもどっちさ。君が愛しているもの全てを飲み込んでいく、強欲なスケートショップ・キラーだけども、所属するライダーたちを、本当に価値のあるアスリートのように扱ってくれるほうを選ぶか、それとも、一度ライダーの価値がなくなれば放置し、不誠実で、冷遇するような、一方通行の“天気”のような関係性だけど、ショップとともに業界全体を良くしようとするコアブランドを選んで、コアに徹するか。これはビジネスであって、スケートボーディングじゃない。

ここで“天気”のようなって言ったのは、例えばもし君が人気があって、誰もが認める存在でスケート界を席巻しているときは、彼らはめちゃくちゃ君に良くしてくれるし、何でもしてくれる。だけど、一度そこから落ちてしまい、新しいキッズがスポットライトを浴びるようになると、途端に彼らはまるで君がタコスのトラックの展示会での残り物かのように、君のことを捨てるんだ。その時に、君は自分だどれだけ“クール”で、君の“友達”が何者だったのかを知るんだ。それが“天気”ってこと(訳注:「変わりやすい」という意味かと)。ほとんどのブランドはそういう風にまわってる。会社側も言うんだよ、「我々は我々にとっての最善を尽くさなくてはならない」ってね。

言いたいのは、そのブランドが大きかろうと小さかろうと、スケーターたちが「クールだ」って言わない限り、そのブランドは何でもないんだ。プロダクトなんて誰だって作れる。スケーターたちが、そのブランドが周りからどう思われるのかを決めるんだ。スケーターたちがブランドをアリにするから、キッズはそのブランドの商品を欲しいと思うんだ。最終的に、スケーターたちが、ブランドが商品を動かせるかどうかを決めるんだよ。ほとんどの会社はスケーターたちをアホだとしか思っていない。多くの会社はスケーターのことを無知で自由にできる会社の資産くらいにしか見ていない。スケーターは契約書も読めないし、違いも分からないし、他により良いものがあるなんてことも知らないから、与えれば何でも受け取るし、2とか3とか5とかの後ろに0を何個か付ければ、それですごく良いように見えるだろ、としか思ってないんだ。

事実、スケートブランドのいくつかは、スケーターたちがそのブランドを売れるものにしてくれたお陰で、ものすごい大金を稼いでいる。だけどその稼いだ金は、殆どスケーターには還元されない。こういったブランドが1年間で稼いでいる金額と比べれば、スケーターに払われている金なんてピーナッツみたいなものだよ。スケーターはテーブルクロスの上のパンくずとゴミを貰ってるようなもんさ。

クソみたいな話だよ。(ブランドが)大きかろうが小さかろうが、みんな金のためにやっている。スケートのビジネスでは大金が生み出されている。そのブランドがどういう風に動かされるのかは、それぞれの会社で舵を取っている人間が誰なのかで決まる。(アホだと思われてる)スケーターだって、スケートに対して愛情も経験もない奴らより、よっぽどクールな選択をすることがある。この愛情っていうのは、スケートの経験がある人間だけが持てる種類の愛だ。世の中は変わっていく。人々は目を覚まして、どういう風にビジネスが動いているのかを見るべきだ。大金を稼ぐことを恐れる必要はないし、ビジネスで成功するために他人を侮辱したり蹴落したりする必要もない。単純に、そんな必要はないんだ。


個人的には、俺は大企業のシューズブランドのライダーにはならない。それは俺が誰とビジネスをするのかっていうのを重視しているからなんだ。たぶん俺はナイーブで、俺の想いは報いられていないかもしれないけど、俺は自分が関わっている会社のことが好きなんだ。俺が関わっている殆ど全ての会社は、スケーターが物事を決めている。俺は自分が知りたいと思っている以上にスケートビジネスのことを知っているし、長年にわたってコアなブランドのクソ野郎どもが、閉じた扉の向こうで何を言っていたのかも聞いてきている。スケーターはおしゃべりさ。喋るのが好きなんだよ。個人的な意見だけど、みんなは自分が何を買い、何をサポートするのかを、ちゃんと学んで決断をすべきだと思う。もし誰もキッズに物事の両面を教えなかったら、どうやってキッズたちは考えた上での決断をできるんだ?

俺は自分の人生の大部分と、努力と、気合と魂をLakaiに捧げてきた。なぜならスケーターが所有し、スケーターが運営し、スケーターがシューズのデザインをする会社だからだ。スケーターがビデオを作るし、俺はチームに在籍しているスケーターのことが本当に好きなんだ。俺はLakaiに関わっているみんなを子供の頃から見てきたし、影響されてきた。彼らが誰なのかを俺は知っている。俺にすごくいい給料を払ってくれるし、スケートショップに対しても、あるべき形で付き合っている。結局すべてパートナーシップなんだ。俺たちはスケートショップが必要だ。俺たちはスケートショップが好きだ。なぜなら俺たちはみんな同じ仲間だからさ。スケートボーダーなんだ。

Lakaiは俺の献身やサポートを金で得る必要なんてなかった。俺はLakaiに関わっている人たちのことを、チームに入るよりずっと前からサポートしてきたよ。Rick Howardの板にも、Mike Carrollの板にも、Kelly Birdの板にも、Scott Johnstonの板にも乗ってた。そして今俺は彼らと一緒に仕事をしている。彼らと一緒にツアーに行ったし、撮影中に彼らがストレスでまいっているのも見てきた。俺が経験してきたものと同じものを、彼らも経験しているのを見てきたんだ。Motel6の部屋もシェアしたし、Bojangle’sも一緒に食った。全身全霊で自分たちの愛するもののために撮影していて、文明的なものから3時間も離れた町で動けなくなってる時に、彼らにグリップテープやボルトにウィール、シューレースやソックスなんかをあげたもんさ。彼らは俺が飲んだくれて酷かった時期でもサポートし続けてくれて、クソみたいな態度や、むちゃくちゃな恥ずかしいことを散々やらかした後でも、俺から離れずにいてくれた。俺は、俺が経験してきたことを知っていて、そして俺と同じ経験をしてきた人たちによって作られた会社のためにスケートする。それが俺がサポートする会社だ。

変な感じの答えになっちゃってごめん。これを全部言うかどうかむちゃくちゃ悩んだんだけどね。俺はスケートボーダーで、そして今自分がここにいられることに感謝してる。

今までのスケートボーディングのキャリアの中で、一番誇りに思うことって何?

ここまでこられて、そして今まだここにいられるだけで感謝だよ。他の人が目標を達成することを手助けできたことや、自分の可能性を実現できたことについても幸せだと思ってる。ありがたいことに、全てを経て、俺は(スケートを)始めたころよりも良い人間になれたし、みんなにとって良い友人になれた。ワケわかんなくなったり、ネガティブになったり、変人みたいになった時期もあったけど、そういうのを全部乗り越えて、そこから学んだことでより良い人間になれたと思っているよ。