2014年2月7日金曜日

SKATEBOARDING VS. THE OLYMPICS: A BRIEF HISTORY by JENKEM



JENKEMに載っている、スケートがオリンピックになることについての記事です。インタビューではありません。

けっこう知らなかった動きがアメリカでは進行してたんですね。







スケートボードの外から入ってきた企業が、俺たちの愛するスケートボードを本来のものとは違う形で世の中に提示しているのを見るのは、見るに耐えないものだ。1995年の第1回目のXゲームの時もそうだった。Xゲームはスケートボードを「エクストリーム・スポーツ」として取り上げ、それはスケートコミュニティからは嫌われたが、一般的には大ウケしてブームが生まれた(もしくは、スケートが大衆ウケした別の時代もカウントするなら、再燃したと言ったほうがいいかもしれない)。大抵の場合、俺たちはこういうでっちあげられた大会で誰が優勝しようが気にしない。ただ俺たちスケーターがやっていることのほんの一部を、一般大衆が垣間見ることができる珍しい機会ってくらいのものだ。そこに参加している金儲けしたい企業のことについても同じだ。

Xゲームの第一回目から15年が過ぎ、スケートボードはすっかり大衆に受け入れられて、今じゃ奴らは2016年夏のオリンピックの競技にスケートボードを入れようと躍起になりはじめている。俺たちスケーターがそうなって欲しいと思っているかどうかなんてお構いナシに、だ。そしてはっきり言っておくと、俺たちスケーターはスケートボードがオリンピックの競技になって欲しいなんて思ってない。少なくとも俺はそうだ。



そこでローカルのパークに行き、そこにいるやつらにスケートがオリンピックの競技になることについてどう思うのかを聞いてみた。驚いたことに、ほとんどのキッズたちは賛成のようだった。「エストニアとかの国のスケートがどういうものなのか見られるのは、結構クールだと思うよ」とは俺の友人のオリバー。そのパークでのみんなの考え方は、概して俺が考えていたよりもずっと、スケートがオリンピック競技になることに肯定的だった。若い世代のスケーターたちが、こうしたスケートの未来に対してオープンだってのは中々新鮮な発見だった。しかし、これはオープンなのだろうか、それとも何も考えてないだけなのだろうか。たぶん、キッズたちは実際にスケートボードがオリンピック競技になってしまったら、俺たちスケーターの歴史が、どういう風にでっちあげられてしまうことになるのか、気付いていないんだろう。



90年代の初期から、俺たちスケーターのシーンやクリエイティビティを代表してきたジェイソン・ジェシーというプロスケーターがいるんだが、彼が言っていたこんな言葉を思い出す。

「俺はスケートボードを愛しているんだ。だからスケートボードに死んで欲しい」

最初にこれを聞いたときは意味が分からなかったが、スケートボードのスピリットが変わっていくのを理解するにつれて、このジェイソンの言葉に共感するようになった。スケートボードがリトルリーグみたいになるくらいなら、いっそのことスケートボードは無くなったほうがいい。

今のキッズたちはスケートボードはスポーツじゃないってことを分かっていないのか?キッズたちは、俺たちが変人扱いされてむしろ喜ぶような奴らだってことを、分かってないのか?オリンピック競技にスケートボードが入ってしまうってことは、スケートボードが代表している全てのものに反するものだってことを、分かっていないのか?奴らは分かっちゃいない。なぜならおそらく、スケートボードはもう何か別のものになり始めているからだ。



スケートボードがどんなものになろうとしているにせよ、NBC(アメリカのTV局)とIOC(国際オリンピック協議会)は、今のうちに若い世代の注意を引いておかないと、将来オリンピックの価値と利益を下げることに繋がってしまうってことを理解していて、そのために、スケートボードは今なんとも微妙な立場に立たされている。スケートボードで最も名が知られている「アスリート」であるトニー・ホークは、このスケートボードが立たされている状況に気がついている。「夏の大会に関して言えば、スケートボードがオリンピックを必要としている以上に、オリンピックはスケートボードを必要としているよ。「クール」の要素が欲しいなら、今すぐにでも競技に入れるべきだろうね」


しかし、オリンピックの競技になるためには、その競技は完全に組織化されていなくてはならない。スケートボーダーにとっては関係のない世界だ。スケートボードにはそうした公式組織がないため、IOCは別の組織を使ってスケートボードをオリンピックの競技にしようと画策した。

スケートボードを自分たちのスポーツだと主張する組織のひとつに、ローラースケーターたちで作られたFIRS(国際ローラースポーツ協議会)という団体があった。ローラースケートをスケートボードの公式組織にしてしまうことは、スノーボードの公式組織をスキーの団体にしてしまうようなものだ。そしてそれは2008年の冬季オリンピックで実際に起きたことでもある。スノーボードは冬季オリンピックで大きな成功を収め、新しい観客と大きな利益をもたらしたが、全てがむちゃくちゃで、スノーボーダーたちとIOCの間に激しい対立を生んだ。この結果を受けて、IOCは2016年のオリンピックでスケートボードを競技に入れるために、組む相手を考え直すようになった。


そして今、ローラースケーターの代わりに、あるスケートボーダーたちが俺たちスケーターの公式組織になろうとしている。この組織はISF(国際スケートボード連盟)という名前で、そこに名を連ねている人々の顔ぶれはなかなかのものだ。トニー・ホーク、クリス・ミラー、トッド・スワンク。彼らはスケート業界の主要人物たちだ。そのリストの中に、ひときわISFにスケーター組織としての信頼性を与える名前があった。その人物とは、これまでスケートボードがメインストリームになること、スポーツになること、そしておそらくオリンピックの競技になってしまうことに、誰よりも反対してきた人物、デイヴ・カーニーその人だ。




カーニーは悪名高き(そして最高な)Big Brotherマガジンのライターおよび編集者として、長年カウンターカルチャーのアイコン的存在となってきた。カーニーは彼独特のユーモアと、スケートボードのトレンドやスケートボードを利用しようとする奴らに対する鋭いツッコミで知られている。かつてアメリカのいたるところに安っぽい組み立て式のスケートパークが出来始めたとき、カーニーは明確に反対を表明し、こうしたパークを作っている企業や政治家を名指しで批判してきた。カーニーはスケートボードがオリンピックの競技になることについて、反対の意見を出した最初の人でもある。それだけに、カーニーがISFに参加しているのは、非常に不思議だ。


「俺らが望もうが望むまいが、スケートボードはオリンピック競技になるよ」

スケートボードとオリンピックについての記事の中で、カーニーはこのように書いている。

「俺は嫌だよ。でもNBCとIOCはスケートボードを欲しがってる。どんな方法を使ってもね。もし俺たちスケーターがやらなければ、他にスケートボードの公式組織を名乗る奴らが出てきてやるよ。」

今はなきBig Brotherマガジンの熱心な読者であった俺にとって、カーニーは尊敬するジャーナリストの一人で、俺は何か分からない話があると時々カーニーにメールを送ったりしていた。そこで今回も、ISFについてカーニーにメールで質問を送ってみることにした。


「ISFが俺たちスケーターの公式な団体組織となって、単純にIOCの要求、つまりスケートボードをオリンピック競技にしたいっていう要請を断ればいいんじゃないの?」

カーニーから返信が来た。

「正直な話、俺たちは拒否したんだ。俺たちは今とてもユニークな立場にいて、『もしお前がスケートボードを欲しいのなら、スケートボードのやり方でならいいぜ』って言えるんだ。」


しかし、物事はそう単純じゃない。オリンピックは古い組織だ。スケートボードのような、評価の仕方が難しいアブストラクトなものに合わせて、それまでの堅苦しいオリンピックのジャッジのシステムを変えるのは難しいだろう。IOCがスケートボードをありのままの姿のまま、オリンピックの競技として成立させるために、どのように変わっていくのか見ものだ。

こうなると、他のISFの幹部の中の、スケーターではないメンバーのことが気になってくる。特に取締役のゲイリー・リアムの動機が知りたいところだ。ゲイリー・リアムはCamp Woodwardというサマーキャンプ施設のオーナーで、子供たちはそこで夏休みにスケートボード、BMX、ローラーブレード、体操、チアリーディングなどの活動に参加する。

リアムについて、そして彼がISFに参加していることについてのいくつかの記事を読んだが、その中に彼や彼の動機について否定的に書かれたものがあった。その記事では、IOCからスポーツ振興のために巨額の金がISFに流れるだろうということ、そしてリアムが所有するWoodwardへの参加者も確実に増えるだろうということが書いてあった。こうした記事を読むにつれて、自分の中で疑念が出てきた。


だが、カーニーに話を聞いて、リアムの動機について少し安心できるようになった。

「俺はゲイリー(リアム)のことをよく知ってるから言えるけど、彼はスケートボードをレイプしようとなんて考えてないよ」

「長年サマーキャンプを開いて子供たちがスケートできる場所を提供してきているし、実際よくやっているよ。彼はもっと大きな絵を描いているんじゃないかと思うんだ。スケートボードと、それが子供たちに与える独立心やクリエイティビティ、自信なんかの価値についてね。」


実際にリアムと話がしたいと思いカーニーに相談すると、彼は電話でリアムと話せるようにしてくれた。そこでリアムから、今まで自分では思いもよらなかった話を聞かされた。アメリカでは、スポーツに特に政府から補助金が出たりはしないが、他の国ではそういったお金があるそうだ。そしてスケートボードがオリンピック競技になれば、そうしたアメリカ以外の国のスケーターたちにとって大きな恩恵があるという。

例えば、オリンピックから得たお金で、エストニアなんかにもスケートパークが沢山できるようになる。リアム自身はスケーターではないけれども、俺たちスケーターがやっていることのクリエイティブな部分を理解し、それを守っていくべきだと考えている。スケートボードがオリンピック競技になることで彼が一番心配しているのは、フィギアスケートや体操のように、オリンピックの古臭い堅苦しい採点方法によって、スケートボードのクリエイティビティが殺されてしまうことだ。リアムは、オリンピック委員会には、スケートボードは他のスケートコンテストと同様の採点方法を取らせ、体操やアイススケートのような採点方法にはさせない、ということを話してくれた。リアムや他のISFのメンバーたちが願っているのは、「勝者と敗者」に分けるオリンピックのメンタリティの中で、スケートボードのクリエイティブな精神を保つことだ。


そこに金が生まれている限り、スケートボードを利用して、パッケージ化し大儲けしようと企む連中は出てくる。そして間違いなく、将来オリンピックはスケートボードを競技に加えることになるだろう。それが2016年か2024年か、それともその後になるとしても。最悪だ。しかし、デイヴ・カーニーやトニー・ホークのような人たちがいて、スケートがオリンピック競技になることのダメージを最低限に食い止めようとしているのを知って、俺は少しだけ安心できるようになった。まだ俺たちには希望があるのかもしれない。



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上の記事が出たのが2012年9月4日。

で、約一年後の2013年10月22日にこの件の情報が更新されました。

元記事:
http://www.jenkemmag.com/home/2013/10/22/the-push-for-skateboarding-the-olympics-continues/

ISFからこんな動画が出てました。今はISFのHPから削除されてますが(たぶん苦情が半端なかったんだと思う)、Vimeoに残ってます。



ひどい。へぼい。ダサい。ありえん。
なんすかこれは。

しかも上の記事だとISFにはトニー・ホーク、クリス・ミラー、トッド・スワンク、デイヴ・カーニーらが関わってると書かれていますが、サイトを確認しても彼らの名前はありません。

で、役員のページを見てみると、はっきり言って誰やねんお前ら状態です。

勝手にオリンピック競技にされちゃう前に、我々もいろいろと知ってないとマズイかもですね。



5 件のコメント:

  1. スケートボードの外から入ってきた企業が、俺たちの愛するスケートボードを本来のものとは違う形で世の中に提示しているのを見るのは、見るに耐えないものだ。1995年の第1回目のXゲームの時もそうだった。Xゲームはスケートボードを「 ... スケボー.blogspot.com

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