2014年7月31日木曜日

SAM MCGUIRE インタビュー by JENKEM

JENKEMに載ってた、SAM MCGUIREというフォトグラファーのインタビューです。

ついに業界内でカミングアウトする人が現れました。これに続くプロはいるのでしょうか。

ともかく、良い友達がいて良かったね〜!と思います。

元記事:http://www.jenkemmag.com/home/2014/06/17/an-interview-with-skateboardings-gayest-photographer-sam-mcguire/

JENKEM:http://www.jenkemmag.com/home/


photo: sam mcguire

長年スケート業界でフォトグラファーとして働き、また何年もの間、自分がゲイであるという事実にもがき苦しんでいたサムは、一つの結論に達していた。それはこの二つの世界は、共存できないということ。

スケートボーディングは伝統的に、性的な指向については閉鎖的な考え方のままだ。現在でもゲイであることを公にしているプロスケーターは一人もいない。こういった状況から、サムは脱け出したかった。彼は30歳になったらスケート業界を去り、Facebook上でカミングアウトして、ゲイ差別のないアイスランドで暮らすという計画を立てていた。

そしてサムは先週30歳になったんだが、彼はその計画を実行しなかったことを、ここに喜びと共に報告したい。彼は計画を実行する代わりに、カミングアウトをし、自分の苦労を世界中の人々と共有することに決めた。以下はそんなサムの話だ。




君はしばらくスケート業界でフォトグラファーとして働いているよね。カミングアウトしようと決心したのはいつ?

2年前に、もう限界だってところまできてた時期があった。本当に辛い二重生活を送ってたんだ。その頃僕にははデートしている相手がいたんだけど、人前では喋り方とかを変えて本来の自分を隠す必要があった。でも僕は嘘をつくのは得意じゃないんだ。だんだんと、何人かの人たちに打ち明けるようになった。僕の知り合いたちは(自分がゲイだってことを)気にしないみたいだったから、それで多分僕は自信がついたんだと思う。スケートの世界は狭いからね、もし5人の人に打ち明けたら、その人たちがまた別の5人に話す。そうやって広まれば簡単だと思ったんだ。

本当のターニングポイントは、フォトグラファーのOliver Bartonから電話をもらったときだよ。彼のおかげで僕はスケートの写真を撮るようになったといっても過言じゃないんだけど、幸運なことに僕は彼とは長い付き合いで、良き友達同士になった。ある日彼と(電話で)話しているときに、彼から直球でこう聞かれたんだよ。「辛いんだろ?」ってね。それで僕は「何が…?」って聞き返した。彼は「辛いんだろ?誰にだったら打ち明けられるのか、それを見極めないといけないと思ってる?」って聞いてきた。僕は「どういう意味?」って聞き返した。そしたら「おいおい、俺は君が抱えているものが何か分かってるよ」って言われたんだ。そのとき僕は車を運転してたんだけど、車を路肩に停めて泣き崩れてしまった。


photo: sam mcguire

それまで誰一人として、僕にそう聞いてくれる人はいなかった。その頃の僕はどうにもならなくなってて、ゲイであることにもがき苦しんでいたんだ。勘違いしないでよ、僕には素晴らしい友達たちがいるよ。ただ、これはセンシティブなことだからさ。彼は僕に手を差し伸べてくれて、僕の肩にのしかかっていた重荷を取り除いてくれた最初の人だった。それに当時の僕は健康でもなかったから、誰かに「大丈夫?」って言ってもらえたのは、なんと言うか、人生が変わったような感じだった。

僕はそこで多分30分はずっと泣いていたと思う。まるで誰かが死んだみたいにね。あんまりドラマチックにしたくはないけど、でも確かに僕の中の一部分はそこで死んだんだ。もしかしたら自分は幸せになれるのかもしれないと感じた。長い間、僕は惨めで、怯えていて、自分が何かを出来るとは考えられなかった。そんな時に人から電話をもらって、そんなことを言ってもらえた…。本気で死ぬことを考えていたし、自分は永遠に幸せにはなれないだろうと思っていた。でも、もしかしたらスケートボーディングはみんなが思っているように同性愛者に対して偏見を持っている世界じゃないかもしれない、と考えられるようになったんだ。一度みんなを信じてみようと思った。その時、「そうだ、オリバーが電話をくれて大丈夫だよって言ってくれたんだ。今更何を恐れる必要があるんだ?」って思ったんだ。

何をそんなに恐れてたの?最悪な悪夢的な状況ってどんなもの?



本当に正直に話すと、自分の周りの人たちが、ゲイの人たちについてかなりエグいことを言っている場にいたことが何度かあったんだ。だから最悪のシナリオは、そこで自分がブチ切れちゃって結果ボコボコにされること、だね。ほとんどの場合、ただ単にみんな馬鹿話をしているだけだったけどね。以前そういうことを言ってた人たちも、実際はものすごくサポートしてくれたし。ただ当時はこわかったんだ。そういう場にいて、そして周りの人たちがどういう反応をするのか、全く見当がつかなかったからね。

前に一度旅先でこういうことがあった。僕たちのホスト役をしてくれた人が冗談で、みんなに向かってゲイについてのジョークを飛ばしてたんだ。「ふん、ここにいる奴らはみんなゲイじゃないって知ってるけど、もし誰かがゲイだって言うなら俺はそいつをボッコボコにしてやるぜ」なんてね。ただの冗談だから大げさな話にはしたくないけど、でも実際にそうやってゲイであることが理由で暴行された人の話をニュースやなんかで聞いてるから、本当に怖かった。最近はもちろんそんなことないけど、正直言ってちょっとビビってた。

そのときの旅は、思い返してみるとなかなか面白かったよ。みんなに(自分がゲイだってのが)バレるのが怖くて、ポルノサイトすら見ることができなかった。もしかしたらインターネットのルーターから、僕がチェックしたウェブサイトの履歴をチェックできるかもしれない、って真剣に考えたよ。ものすごくクレイジーに聞こえるかもしれないけど、当時は現実的な恐怖だった。だからCNNしか見ないでいたほうが良いって考えてた。

photo: sam mcguire

スケートボーディングは他のスポーツなんかと比べて、同性愛者に対する偏見は強いと思う?

他のスポーツはほとんどがチームでやるものだから少し複雑だけど、その質問に簡単に答えるなら、そうは思わないよ。スケートをするのに、わざわざ他の人にもスケートを始めてもらう必要はないけど、他のスポーツだと、一人でやるのはとても難しい。フットボールは自分一人じゃできない。だからもしフットボールをやる人間が町中で君一人で、しかも君がゲイの人を嫌ってたとしたら、ちょっと終了だよね。でも、もしスケートをする人間が町中で君だけだったとしても、スケートはできる。ただ孤独なだけさ。僕が思うに、スケートはスケートであるが故に、より忍耐が必要とされるものだと思うんだ。ストリートでは毎日いろんなタイプの人たちに遭うし、対処しないといけない。それに(スケートは)ちょっと不安定なスポーツだし、僕たちはみんなちょっと変わってる。プロですら、置いてけぼりにされたように感じることがある。大手メーカーからプロモデルのシューズを出してるプロですら、(自分の立場に)不安を感じることがあるんだ。スケートボーディングは(他のスポーツよりも)、世間からのはみ出し者との親和性は高いと思う。


photo: sam mcguire

どうしてスケーターや業界で働く人たちは、そんなに不安を抱えてるんだと思う?

奇妙な業界だからね、物事はものすごい早さで変わって行くし。多くの人は大金を稼いだりできないし、予期せぬ出来事が起こりうる。例えばSean Malto。彼はナイキからのサポートを受けて、自分の怪我をうまくマーケティングのキャンペーンに使ってもらえたけど(訳注:ステアでミスって足首を思いっきり捻ってしまったらしい)、彼は本当にラッキーだよ。他の人だったら膝をダメにしちゃったらそれで終了だからね。

NFL(アメリカン・フットボール)の契約がどうなっているのか分からないけど、選手がもし怪我をしてしまったら別の契約に移行して、最低でもリーグが保証している最低賃金は得ることができるみたいだね。でもスケートだと、そうはいかない。スケーターが怪我をして半年も経てば、スポンサーたちは一体どうなってるんだと思い始める。なんでこいつに給料を払ってるんだってね。ニューカマーたちが後ろには控えていて、そのポジションを狙ってしのぎを削ってる。競争だよ。それはほんの一時の間にすぎないかもしれないけど、そういったことが不安な環境を作り出しているんだ。

それに、これは誰も否定しないと思うんだけど、スケート業界はとても狭くて全て繋がってるから、ときどき噂話好きの集まりみたいになる。そういったことも不安な状況を作りだす要因だね。例えばDylan Riederなんか、彼はファッションがすごく独自だし、ドラマティックなVネックシャツやチーム・ハンサムのバイブスを持ってるから、みんなそこばかりに目を向けて悪口を言ってる。誰も彼のスケーティングの凄さなんて気にせずにね。

Dylanがただ指にリングを4つはめてるからって馬鹿にされるような、そういう状況で、誰がカミングアウトなんてしたいと思う?彼はスケーターなんだから、ただスケートさせればいいじゃないか。Lebron James(NBAの選手)が私生活で何をしようと誰も何も言わないよ。誰もLebron Jamesのことを逐一チェックしたりしない。もしそんなことになったら、バスケットボールも(スケートみたいに)より不安定なものになり始めると思う。

photo: sam mcguire

一緒にいると気分が悪くなるっていうのが理由で、特定の仕事やスケートのクルーから距離を置いた時期ってある?

そうだね…正直僕のほぼ全キャリアを通してそんな感じだよ。これはもっと、他人と僕との個人的な関係の話だと思うけど。だってスケートボーディングでは、一緒に働いてる人たちとすごく良い友達になりやすいからね。エディターとフォトエディターみたいにさ。…長年すごく苦しんだよ。間違いなく僕はそういうことと向き合ってきたけど、きっとそうした経験は、人と一緒にいるときに変な感じにならないようにしたり、より良い関係性を作るのに役立ったと思う。

ツアーのときに、もう本当に気分が悪くて立ち去りたくなったことが一度だけある。僕らが夕食をとっているとき、その場にたまたま沢山のゲイの人たちや、ドラッグクイーン、オカマたちがいたんだけど、僕たちのクルーの一人が特に、(ゲイの人たちに対する)自分の考えを声に出して言っていたんだ。それで僕は外に出て、電話をしているフリをして、なんと言うか、隠れた。最終的に他の何人かが彼を咎めたんだけど、それでそいつはキレちゃって、先にツアーから立ち去ってしまった。僕が本当にその場から逃れる必要があると感じたのは、そのときだけだね。

photo: sam mcguire

公の場で、ゲイであることを言いふらされたことってある?

前にMaltoがこっちに来てるとき、West HollywoodでSammy Winterのプロ昇格を祝うパーティがあったから行ったんだけど、そこにWeiger (Van Wagenigen)もいたんだ。Weigerのことを説明するのは難しいけど、彼は最高だよ。本当に良い奴で、人をからかうのも上手いんだけどさ、彼は単純に思っていることを口に出すんだ。Weigerは「サム!君がホモだって聞いたぞ!」ってみんなの前で大声で言ってきた。それから続けて「超クールだよ!超クールだ!すんごい大変だっただろ?」って言ってきた。それで僕は「そうだね、それについては上手く話せないけど」って返した。そしたら彼は「だろうね、俺だってチンポしゃぶる話はしたくないと思う!」って言ってきたよ。(笑)

Weigerの言ったことは間違いなく的を得てたからさ、みんなが笑ってたよ。変な感じだけど、これはちょっと良かった。カミングアウトで一番ぎこちないものの一つは、自分で自分を他の人たちから切り離してしまうことだと思うんだ。自分と、そしてその他の人たちってね。でもこのときは、僕はそのバーにいる人たちの一人にすぎないって感じだった。馬鹿みたいに聞こえるかもしれないけど、長い間秘密にしていたからさ、ただもう人に知ってもらいたくなっていたんだ。そうすれば次に行けるからね。だからパーフェクトだったよ。

みんな誰も気にしてなかったしね。Weigerは「今夜は君のカミングアウトを祝うパーティにしようぜ!」って言ってきてさ、みんなのところに行って「サムがゲイだって知ってた?」て言ってまわってた。Jerry Hsuのところにも「サムがゲイだって知ってた?」って聞いてさ、Jerryは「いや、まじで!?ヤバい!クールじゃん」って言ってくれた。ハイファイヴしたよ。

photo: sam mcguire

もしプロスケーターがカミングアウトしたとしたら、それは大事件だと思う?そのプロのスポンサーは気にすると思う?



それは会社やそのスケーターによるんじゃないかな。これはタフな質問だよ。これは政治と同じくらい、ビジネスの話だからね。ゲイだからって会社がそのプロスケーターをクビにすると思うかって言ったら、それはノーだよ。それは既になんとなく証明されてると思う。でも会社が表立って、ゲイの権利を主張したようなシューズを出したりなんかして、ゲイであることを前面に打ち出して行くかって聞かれたら、それはないと思う。だってビジネス的にそれがいいことかどうか分からないからね。

カミングアウトするのが誰なのかによると思うよ。もし、やっとメディアに露出し始めたようなニューカマーのマチュアだったら、分からないよね。たぶん僕は人々に過剰に期待しているのかもしれないけど、ここはスケートだからさ、スケートの会社はどこもみんな凄く前衛的だよ。だからみんながみんな、そんなに閉鎖的な考え方をしているとは思えないんだ。もしかしたらそうかもしれない、でも僕にはそう思えないんだ。

誰かが「このステア、ゲイだ」(訳注:スラングで「gay」を「ダサい」とか「キモい」などの意味で使うことがよくある)みたいなことを言ってるのを聞いたらムッとする?

昔はね。でも今は単純に笑える。今ではそういうことを言う人はそんなに多くないよ。何かに対して「ゲイだ」って言うのは、その人を馬鹿に見せるだけさ。それは僕から見てってだけじゃなく、他の人から見てもそうだと思う。それは双方向的なものだよ。どうしてそれ(何かに対して「ゲイだ」って言うこと)が人を傷つけることになるのかを、言う人はちゃんと理解することが大切だと思う。誰かがアイスクリームを落としたとして、「うわー超ゲイ!」って言うとするよね、するとゲイの人たちは誰でも無意識的に「僕は落ちたアイスクリームぐらい残念な存在なの?」って思ってしまう。だから「ゲイだ」って言うことは人を傷付けることになるってことを、人々はちゃんと理解しないといけない。みんながあれやこれやをゲイだって言ってるおかげで、僕は死にたいと思ったことがあるし、誰が自分の友達なんだろうって恐くなってしまったことがある。僕も年をとって少し大人になってからは、変化には時間が必要だってことと、辛抱するのが大切だってことが、なんとなく分かるようになったけどね。

photo: sam mcguire

最後に何か言っておきたいことってある?このインタビューを読んだ人には、どういうことを感じ取って欲しい?

もし今辛い思いをしている人がいたとしたら、少なくとも誰か一人でもインスパイアして、その人たちの状況を解決することの役に立てればと願ってる。こういったことはスケートの世界では常にタブーとされてきたけど、物事は変わって行くから、今は昔と同じじゃないと思いたい。人々がこのことを考えたり話したりするきっかけになってくれればいいし、もしかしたら(ゲイであることが)オープンになることに繋がればいいし、苦労している他の人たちの助けになれればいいなと思う。

何かいい格言だったり、引用だったりを知ってればいいんだけど、僕から言えるアドバイスは、周りに合わせることについてあんまり悩まなくていいよってことだね。スケートボーディングは環境にうまく馴染めないはみ出し者たちから生まれたと、僕は思ってる。ただ周りに合わせるなんて馬鹿げてるし、普通の人たちは超つまんないから、そんな周りに合わせようとなんてしない人たちさ。ハッピーに、自分らしく、そしてお望みとあらばところんゲイでいて欲しい。人生に挫けず、そしてスケートをあきらめないで欲しい。

0 件のコメント:

コメントを投稿