2014年1月27日月曜日

Josh Kalis Interview by JENKEM


JENLEMに掲載されているJosh Kalisのインタビューです。

今回も熱いっす。美学があるって大事だなと思います。

元記事:
http://www.jenkemmag.com/home/2014/01/06/the-josh-kalis-interview/
JENKEM:
http://www.jenkemmag.com/

photo courtesy of DC

ジョシュ・ケイリスと、俺が今までインタビューしてきた他のスケーターたちが違うところは、ジョシュは実際に(スケートのことを)気にかけているところだ。自身のキャリアやスポンサーについてだけではなく、彼はスケートボーディングとそのカルチャーについてのより大きな視点を持っている。カリフォルニアあたりのエリートだけが滑れるプライベートパークでしかスケートしないような他のプロスケーターと違って、ジョシュはJKwonプラザに毎週日曜日にやってきて、誰とでも、みんなとスケートしている。彼をインタビューするのは、その辺のスポットにいるスケートが大好きな奴と話をしているのに近い。ジョークを飛ばしあったり、いろいろな噂話やスケート話に夢中になったり。もしスケートにポリティカルなシステムがあったとして、君や俺みたいなやつが誰かに投票して、スケートボーディングの世界で俺たちの声を代表してもらうとしたら、俺はジョシュに一票入れるだろう。


2年かそこらで入れ替わるプロスケーターの世界で、君は15年以上ものキャリアを保ち、トレンドや景気の上下に左右されずに生き残っているよね。どうやったらそんなに長い間プロスケーターでいられるの?

俺はただ好きなだけだよ。スケートするのが大好きなんだ。俺が唯一スケートやプロスケーターの世界に関わりたくないなと思う時ってのは、それが退屈で、JKwonやEMB、Love Parkみたいなスポットも無く、カルチャーが無くなってるような時だけだよ。もし自分がスケートカルチャーに属せなくなったら、それは俺がもう関心を持てなくなったってことで、最悪な時さ。前からずっと言ってきてることだけど、一度スケートで金をもらったら、好き嫌いに関わらず、その瞬間にスケートは仕事になる。俺はスケートを自分のキャリアにすることを選んだ。そこに対しては真摯でいないといけない。俺は自分ができる限りのベストを、できる限り長い間やらなくちゃならないんだ。スケートは常に自由や自己表現、楽しさ、ルールに縛られないことなんかを表すものだけど、金を受け取るようになったら、そこには責任が生まれるんだ。たとえ金をもらっていても、好き勝手にやってていいんだって思ってる奴らもいるけどね。でも現実としては、たとえば法廷で人々を代表して、それでお金をもらってるようなことと、なんら変わらないんだよ。わかる?俺はそういう風に考えてるよ。

スケート業界に入りたがっている友達たちにはいつも言うんだけど、もしその扉が開いたなら、自分でプッシュして入っていかなくちゃならない。だって誰も君を引き入れてなんてくれないんだからね。毎日俺は見てるよ。キッズたちはフローになったり、月に何百ドルとかお金をもらい始めたりしても、何もしないんだ。ただ待つだけ。フォトグラファーやフィルマーを待って待って、待ち続ける。そして気づいたら7年とか経ってて、まだフローのままだ。自分でプッシュし続けないとダメなんだよ。俺は今37歳で、プロボード、プロシューズ、プロウィールを出して、すべてやり尽くしたように思えるけど、実際はまだ扉は開き続けてる。俺はリタイアなんてできないよ。まだまだプッシュするものがあるし、使うべきリソースや、手助けするべき人たちがいる。俺には前に進む以外に道はないんだ。

photo: mike blabac

君は今はDGKのライダーだけど、今まで自分のボードブランドを始めようとか思ったことってある?

わかんない。一度も自分のボードブランドを持ったことがないから間違ってるかもしれないけど、今は(ボードブランドにとっては)かなり大変な時期なんじゃないかな。そんなに儲かるとは思えないんだ。eBayでボード100枚が10ドルで落とせたりするんだぜ?俺が見る限り、板とかのハードグッズで金を稼ぐのは相当大変だよ。考えても見てよ、俺がスケートを始めた1987年とか88年のころ、板の値段は50ドルだった。今も板の値段は50ドルだけど、他のすべての費用が上がってる。でもだからと言って、1週間くらいしか板がもたないのに、どうやって(板の値段を上げて)キッズたちから金をもっと取れっていうんだ?

だから会社はTシャツやスウェット、パンツとかのソフトグッズを売ってお金を稼いでるんだよね。

そうだね。でもそこでも軋轢があるんだけど、もしスケーターが別でアパレルブランドと契約してたら、そのスケーターはスケートのハードグッズブランドの服は着ちゃいけなかったりするんだ。かなり謎なことが起こってる。だからコンテストとかで上位に入るようなスケーターは、(違うブランドの)ロゴがふたつ付いてる服を着てたりするんだよ。あるスニーカーの会社なんか、契約で板にそのスニーカーブランドのステッカーを貼らなくちゃいけなかったりするんだけど、それやっちゃうと板のグラフィックが見えなくなるから、今度はボードブランドが困ることになる。わかんないけど、最近はすごく変な、情け容赦ない状況だよ。

全体として、ここ2年くらいでプロボードのセールスって世界的に落ちてきてると思う?

そうだと思うよ。間違いなく。2000年は月に6000本くらい俺の板が売れてたのに、2004年までには1000本にまで減ってたからね。これってプロスケーターの名前が通用しなくなったとか、そういうことじゃなくて、単純にプロボードってのが以前のようには売れなくなったんだよ。今はショップボード、ブランクボード、eBayボードとか色々あるからね。ショップのオーナーにとっても変な感じだよ。だって俺はたくさんのショップとも友達だからさ、ショップに行ってキッズたちにプロボードを買うように説教することなんて、俺にはできないよ。そんなクソ野郎にはなれない。

でも将来プロになりたいっていうキッズに対しては、「もし今君がスケート業界をサポートするなら、君がプロになる頃になっても業界は残っているだろう。でももし今サポートしなければ、君がプロになる年頃には業界はなくなってるよ」って言うよ。(ロブ)デューデックは10年前に、将来プロスケーターって存在はいなくなるだろうって話してた。10人くらいのプロが、すべてを支配してる大企業の傘下ブランドのライダーとして存在しているだけだろうってね。彼の考えでは、10人くらいのメジャーなプロが大金を稼いで、残りの奴らはただ楽しみのために滑ってるか、僅かな金を稼いでるくらいだろうってことだった。俺はそれを聞いて、そんなことは起こらないよって思ってる半面、たったここ5年での大きな変化ってのも見てきてるからね・・・

scan courtesy of chromeball

まだ君がスケートでお金を稼ぐようになる前、君はMortal Kombat(2D格闘ゲーム)で賭けゲームをやってたって言ってたけど、どのくらいのお金を賭けてたの?他に毎日の生活を支えるためにやってた事についても教えて。

1ゲームにつき10ドルから40ドル賭けてたね。だいたいいつもセブンイレブンでプレイして、大きなゲームのときはモールに行ってた。負けた奴が金を払いたくないからって、俺に銃を向けてきたなんてこともあったよ。



あと、セブンイレブンは午後の2時に、あの一日中ぐるぐる回ってるホットドッグを交換するから、その時間に行ってたね。ホットドッグを新しいのと交換して古いのを捨てるから、その捨てるやつをもらってたんだ。他にはCountry Fried Chickenっていうチキン食べ放題のスポットがレストランの裏にあってさ、誰かが食い終わったら、テーブルに皿がそのまま残るだろ?その皿を使ってフロントまで行って「ポテトが気に入らなかったから新しい皿に変えていいか?」って聞いてさ、新しい皿をゲットして食いまくってたよ。

でも色々やってた中でもベストのやつは、アントってやつがいてさ、今じゃ彼は親友だよ。そいつはフルタイムの仕事をしてたんだけど、俺らは毎週金曜日にそいつの給料を勝手に取りに行って、その金をアントに渡さなかったりしてたね。アントは今じゃファミリーだよ。俺らはもうみんな大人になったからさ、今じゃそういう馬鹿なこととかは笑い話さ。でもアントが俺たちと一緒につるみたがってたんだからさ、まぁそうなるよって話だよね。

別のインタビューで、君が初めてサンフランシスコに来たとき、EMBに行ったらローカルの奴らが超感じ悪かったって言ってたよね?君にはそういう風に見えて、そしてそうあるべきだとも言ってたね。どうしてそういうことって大事なことだと思うの?

正直にいうと、たぶん環境のせいだと思う。俺は他人から受け入れられるためには何かをしないといけない時代で育ったからね。今の時代はもうそういう必要はないけど。でも俺はそういう風に育って、それが俺の知ってることだった。キッズたちは何かをして、自分でリスペクトを勝ち取らないといけなかったんだ。でも今でもそういう考え方をしていたら、ちょっと嫌な奴になっちゃうけどね。俺は今でも、カルフォルニアのカールスバッドで、どこかに行くときに誘われなかったりすることもあり得るよ。俺がそういう嫌な奴になる可能性があるからね。(笑)(昔と今では)違う世界だよ。俺がEMBやLovePark、Pulaskiパークとかのスポットに行ったとき、俺は自分のやるべきことをやって、リスペクトを得る必要があった。じゃないと俺は板を盗まれて終わってたと思うよ。奴らにカツアゲされてた可能性もあったけど、やり方を間違えずに自分のために立ち上がっていれば、認められるっていう感じだったね。


AVEとDillがMikey(Taylor)をAlien Workshopから追い出したあとで、彼らまで出て行ってしまったね。ムチャクチャだなって思う?

正直思うね。実際わけわかんないよ。そもそもDillとAVEがエイリアンを抜けたってことが考えられない。俺は今でもエイリアンのことを愛してる。彼らとは長いこと一緒だったからね。Carter(Alien Workshop創始者)は俺にとって親父みたいなもんだし、デューデックは俺にとってメンターみたいなもんだよ。何があっても、俺はエイリアンのことが本当に好きなんだ。エイリアンが進んでいた方向も、どこに行こうとしていたのかも知ってる。俺がエイリアンを辞めたとき、DillとAVEは自分たちの友達をチームに入れ始めた。Kevin(Terpening)とかね。DillとAVEがMikey TaylorやデューデックのMeatyのグラフィックの板とかについて、どういう風に思っていたのかも知ってる。

でもさ、ハードグッズのカンパニーはマジで大変だってさっき言っただろ?よく考えてみればわかるけどさ、エイリアンがライダーたちに払ってる給料はものすごい額のはずだよ。エイリアンとハビタット(兄弟ブランド)は特にそうさ。でもソフトグッズの売り上げがいいってわけでもない。どこに行ってもエイリアンの服を着てる奴を見かける、なんてことないだろ?だから俺個人としては、Meatyボードとかそういうものに対してムカついたりとかはなかったよ。だってそういうのが売れまくれば、それでプロたちに給料を払えるんだからね。問題ないよ。

俺がAlien Workshopを辞めたのは、自分の発言権がなくなったからさ。AVEやDillとかあいつらは発言権を持ってたけど、俺は自分ひとりの世界だった。それが今じゃあいつらが辞めただって?発言権を持つために?俺からしたら「お前らマジかよ」って感じだよ。しかもGrant(Taylor)まで抜けたんだって?マジで最悪だし、悲しくなる。ロブ(デューデック)は俺の友達だし、こういうライダーがどんどん抜けてくってことが、どれほどカンパニーにとってダメージになるかも分かってる。俺は個人的に、Carterや他のみんなに同情するよ。
          
ほんと信じられないよ。Mikeyがやられたみたいに俺もAVEとDillに辞めさせられた、とは言わないけど、まあほぼ同じようなもんさ。俺は奴らから直接面と向かって辞めろとか言われたわけじゃないけどね。で、今は奴らも辞めちまった。やりきれないよ。TransworldのCinematographer Projectのエイリアンのパートを観たけど、超ヤバかったよ。時々観るんだけど、かっこよすぎて感情的になる。でも、俺がそこにハマらないってことも分かるんだ。それでも俺はAlien Workshopが好きだし、彼らには成功して欲しい。だからエイリアンが崩壊していくのを見るのはマジできついよ。Gilbert(Crockett)には残ってほしいな。あいつはマジでかっこいいよ。Jake(Johnson)も好きだし、(Tyler)Bledsoeもだね。Bledsoeは今はもう体の調子もいいと思う。

たぶん今はただ、そういう大変な時期なんだろうね。Alien Workshopはまたオーナーシップが一部変わったけど、それはいいことだと思う?(訳注:財政上の問題で、Alienは2008年にBurtonに身売りしたが、2012年に初期からのライダーであるRob Dyrdek がBurtonから買い戻した経緯がある)

正直に本当のことを話すけど、ロブは真剣にエイリアンをあるべき姿に保つために努力してたんだ。プロライダーたちにも発言権を与えて、みんなで正しい方向に進もうとしてた。でもロブはAlien Workshopをキープするために破産しそうになってたんだよ。これはみんなが知らないことだけどね。俺から見た印象だと、彼は自分のポケットマネーで全ての支払いをしていた。他のすべてのものから得ている収入よりも、エイリアンのために支払っているお金のほうが多かったんだ。相当きつかったみたいだよ。だからロブは何かしなくちゃならなかった。エイリアンを存続させるために何百万ドルって金を失ってた。ロブはそれを、元々のエイリアンのオーナーたちや、抱えているプロたち、俺たち全員のためにやってたんだ。単純に大変すぎたよ。今は、エイリアンのオーナーシップは別の会社と半々になってる。この別の新しい会社はチャドってやつが社長で、彼はジェイミー・トーマスの会社Black Box(Zero、Mystery、Fallen Footwearなど)を築き上げる手助けをした男だ。だから良くなっていくと思うよ。
kalis at jkwon plaza / photo: daisuke takahashi

エナジー・ドリンクの会社から契約のオファーが来てたって聞いたけど、どうして断ったの?かなりいい給料をもらえるはずだったと思うけど?

それはサインをすれば成立するってくらいまで話が行ってたわけじゃなくて、ちょっとそういう話があったってだけだよ。契約の話を続けるかどうかは、半分は俺次第、もう半分は向こう次第ってとこだった。でも俺はそういう会社と契約したくなかったんだ。あるサイン会の会場でさ、テーブルの上にエナジードリンクが所狭しと並べられてて、キッズたちがそれを手に取って飲んでるのを見たんだ。自分の娘がこういう飲み物を飲んでもいいと思うかって?絶対ダメだ。間違ってもない。入ってるカフェインとか、それが何なのかも分からないような色んなもんのことを考えてみろよ。自分の子供にあげられないようなものに、自分の名前は使わせられない。だから電話をかけ直さなかったし、向こうからもかかってこなかった。だから(契約しなかったのは)お互いにとって良かったと思うよ。でも確かにそういう契約のチャンスはあった。ただ俺はそれに乗っかりたくなかったんだ。

君みたいに長く健康なキャリアを持つために、これからのスケーターたちにアドバイスとかってある?

ほとんどの人が理解していないのは、トリックについてだね。単純にトリックだけじゃ、キャリアは長続きしないよ。パーソナリティ、ライフスタイル、カルチャー、そういうスケートカルチャーを生き、リスペクトしてるスケーターだけが長く続けることができる。そういうスケーターなら、何もクレイジーなトリックをやらなくても、板は売れるしシューズも売れる。なぜなら彼らはスケートボードに生きて、スケートボードを呼吸しているからなんだ。Gino(Ianuucci)とかがそうだね。何でもいいから、彼がやりたいことをやってビデオパートを作ってくれたら、それだけで最高さ。

若いキッズたちはそういうことに気づいてなくて、Nyjah(Huston)やShane O’Neillがどんだけ難しいトリックを更新してくれるかってことを見たがってる。別にNyjahやShaneのことを悪く言おうとしてるわけじゃないよ。ただ彼らはトリックに関してマジでヤバいから名前を出しただけさ。今から10年も経てば、今の若いヤバいプロたちの中で、どいつらがアイコン的存在になっているのかを知ることができるだろう。誰が40歳になってもまだプロでい続けているかをね。そういう奴らはきっと、個性やライフスタイルを持っていて、スケートカルチャーを生きている奴らさ。(Marc)Suciuとかね。Suciuのことも、Ishodのことも俺は個人的に知らないけど、この二人はずっとプロでい続けると思うよ。



もう一つの要素としては、一度にやりすぎるなってことだね。ほとんどの人はどういう風に、ビデオパートを残していけばいいかってことを理解していない。たった一つのビデオパートのためだけに、自分の全てを賭けて自殺行為をするなってこと。それから先も(キャリアは)何年もあるんだぜ?うまく分散させないと、パートを追いかけ続けることになるよ。クレイジーにスケートするんじゃなくて、賢くスケートして、どういうトリックをやるのかを、ある意味戦略的に考えるんだ。あんまり早く自分が持ってるものを出し切っちゃうと、4年くらいで君のパートは下り坂になっていくよ。今までもクソヤバい奴らは登場してきたけど、4年間のうちに3回膝の手術をしたりして、それっきりさ。ものすごいパートを残す奴らっているけどさ、それから5年間次のパートが作れないなんてことになっちゃダメだよ。俺的に、そういうのは賢くない。

スケートって時代によって色々あるけど、今の時代(2010~2015年)はどういう時代だったって将来言われると思う?

うーんどうだろう?今は色んな事が起きてるからね。トラニー(パーク、プール系スケート)の人気が復活してすごい勢いだし。すごくいい質問だね。今の時代が将来どういう時代だったって言われるか?「Hodgepodge(ごちゃ混ぜ)」かな。(笑)最初に頭に浮かんだのはこの言葉だね。二つ目は、「Survival of the Fittest(適者生存)」。昔からのプロにとっても、新しいプロにとっても、アマチュアにとっても、みんなに厳しい時代だよ。今これからプロになろうってキッズはかわいそうだね。むちゃくちゃ大変だよ。


Mobb Deep "Survival Of the Fittest" Remix


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